3人の盗賊を護送した後、リオンとはしばしの休憩に入っていた
「やっぱりおいしい〜〜〜〜」
がとけてる』
「・・・・放っておけ」
3人を城に届けた後、足早に屋敷に着いた二人は早速マリアンお手製のかぼちゃパイを食べていた。
仕事へ行く前から楽しみにしていたは本当に溶けそうな勢いで悦に浸っていた。
そんな様子を面白そうに笑って見ていたマリアンは、二人にあわせた紅茶を用意していた。
「はー〜〜〜〜。幸せ・・・・」
「安い幸せだな」
「幸せに高いも安いもなかざんす」
「・・・・なんだその言葉は」
よく分からない上にノリずらいの言葉を聞いて、はあ〜・・・と、リオンはため息をついた。









my way of living 8
〜新制コント集団誕生〜








「つれて参りました」
「ごくろうだった」
7将軍の一人、イスアードが例の3人組を連れてきたところだった。
は、かぼちゃパイを3キレ食べたところで、いい加減痺れをきらせたリオンに無理やり城へつれてこられていた。
泣く泣く引っ張られていくに、マリアンは「ちゃんととっておきますから、後で食べようね」と声をかけてくれた。
大喜びで返事を返すに「まだ食べるのか」と呆れながら引きずってきたリオンだが、その後の「リオンもね」という言葉に顔を赤くし、少しスピードを上げて歩いた。
「素直じゃないよなー。嬉しいならそういえばいいのに」
「僕はそんなに暴食じゃない」
「じゃ俺全部食っちゃうよ」
「勝手にしろ」
「あ、そっか。プリンの方がいいもんねv」
「・・・・・・。黙っていろ」
ちなみに上の会話はとてつもなく小さな声での会話だ。
さすがに王の御前・・・・であるというのにもかかわらず、この食欲旺盛遊び大好き能天気痴呆少女は話すことをやめない。
それももはやいつものこととなってしまっていたのだが、それで自分たちが罰せられてはどうしようもないとリオンはいつもを黙らせる役をやっていた。
「王様じきじきになんの用かしら?」
「自分のしたことをよく思い出してみることだな」
「あら、あたしが何かした?皆目見当もつかないわ。ねぇスタン」
「え、え?」
黒髪の少女がしらばっくれた。
もちろんセインガルド王はそれに腹をたてて声を上げ、 7将軍の一番後ろにいるリオンの更に後ろに居たは、その様子を見ておおっ、と感心した。
「よっくやるねぇ」
「感心している割に気にくわなそうだな」
言葉のわりにやけに冷たいの声を聞いて、めずらしい現象だ、とリオンが言うと、よくわかったねとが驚いたように返事をした。
「・・・お前、顔に感情がでやすいという自覚がないのか?」
「え?俺って顔に感情でやすいの!?」
「・・・・・」
『すっごいでやすいよ』
ていうか話ずれてるね、と珍しくがつっこみを入れると、だってさーと話を戻した。
「凄い自分勝手だし。リオンのこと悪く言った」
「悪く言われるのはいつものことだろう」
『今回にかぎってすごく反応するね』
「んー。よくわからんけど引っかかるんだよね。嫌いなのかな?」
「僕に聞くな」
首をかしげながらリオンに聞き返すにつっこみが入ったところで、ヒューゴがセインガルド王の前へと出て行った。
「お待ちください、陛下」
「ヒューゴか、なんだ?」
「陛下はソーディアンの存在をご存知ですな」
「愚問だヒューゴ。それがどうしたというのだ」
「このものどもはソーディアンの使い手です」
「なんだと?その言葉に嘘偽りはなかろうな?」
「はい、リオンの報告によれば未熟ながらも使い手としての資質を有しているとのこと」
「ちょっと、未熟ってのはなによ・・・っ」
「どうでしょう、この者どもをストレイライズ神殿へ派遣するというのは?」
ストレイライズ神殿、という言葉が出たとたん、国王の顔がさっと変化した。
「ていうかさ、ストレイライズ神殿てストレイライズ大神殿じゃなかったっけ?」
「 ? なにを言っているんだお前?あそこは単なる“神殿”だ」
あらま。というを訝しげに見ていたリオンだったが、バチバチという発電音を聞いてばっとその顔を国王の座る玉座の下へと向けた。
玉座の前では、シンプルなティアラをつけた金髪の青年がぐったりとして倒れていた。
「おうっ、男がティアラつけてら」
「あれはオベロン社で開発した装置だっ」
うわぁお〜と笑いをこらえているに、リオンがこめかみをおさえながら訂正を入れた。
そうしている間に、例のティアラが他の二人にも取り付けられていた。
「いつまで触ってんのよ!とっとと離れなさいよ!」
「綺麗な飾りv」
「プッ、あのお姉さんいいキャラ!」
「喜ぶな馬鹿」
なんだかんだでティアラをとりつけられた3人は国王に任務をうけていた。
ストレイライズ神殿の様子を見てくる、という任務なのだが、見張り役等々にリオンが付くと言う話を聞くと、すぐに黒髪の少女が顔をしかめた。
「子供にそんなことまかせてもいいの?」
「おい」
「ぶぶっ!」
「笑うな!」
すかさずリオンがギロリと睨みをきかせたのだが、がその後すぐに笑いだしてしまい、リオンの怖さも緊張感も半減した。
「リオンの技量は7将軍にも匹敵するほどのものだ。心配には及ばん」
「それはそれは、とっても頼りになることで!」
「お前らこそ、僕の足を引っ張るなよ」
国王の言葉を聞いて嫌味ったらしく少女が声を上げると、リオンがフンと処女に嫌味を返した。
そしてそのリオンの嫌味を最後に、一行は玉座を後にした。





「よかったっすねー。死ななくてv」
「こ、怖いことサラリと言わないでくれよ・・・・・・」
「まあまあ!あ、俺、よろしく」
「俺はスタン、よろしく
城の中を歩きながら、能天気二人組みはほのぼのと自己紹介をしていた。
そんな二人の会話にさらにほのぼのした空気で参加してきたのは、赤毛の女戦士だった。
「マリーだ。よろしく」
「よろしく!マリーさんていいキャラしてるよね」
「・・・・・フンッ!」
「? ルーティ?」
ルーティと呼ばれた少女はいまだにすねているようで、そっぽを向いて話そうとはしなかった。
悪い印象しか受けていなかったとリオンはむっとし、スタンとマリーが・・・・というかスタンが懸命に声をかけていたが、無駄に終わった。
「ふーん挨拶もろくにできないんだね。まぁいいけど。よろしく」
「そんな奴らに挨拶なんぞしなくてもいい」
「そー言うなってさ」
「嫌味まで言っておいてよくフォローなどする気になるな」
「俺反抗期なの」
「つきあいきれんな・・・・・」
は〜・・・・とため息をついていると、城の兵士がリオンたちに話しかけてきた。
「よう。なんだリオン、それ、新しい部か?は相変わらずだな」
「はっはっはっ。数週間の短い期間で俺が変われると思うかい?」
「まず無理だな」
「・・・・・さっさと行くぞ馬鹿が」
兵士に手をふると、さっさと城を出て一行はヒューゴ邸へと足をむけた。





「マリアン!」
屋敷に入ってすぐ、リオンはマリアンを呼んだ。
「マリアンッ!」
「マリアンさーん?」
「・・・・いないのか?」
いくら呼んでも一向に現れる気配の無いマリアンを呼ぶのを諦めたのか、リオンは3人(+@)を連れると目の前の階段を上った。
バタン。という音がしたかと思うと、左の部屋から執事のレンブラントがでてきた。
「イレーヌパパさん!」
「レンブラント爺か。マリアン、いや、ヒューゴ様はどこにおられる?」
二人の姿と見知らぬ連れを目に入れると、レンブラントは一瞬おや?という顔をしたが、すぐ笑顔になり全員を迎えた。
「おや、坊ちゃん、、いらっしゃい」
「その呼び方はやめろと言ったはずだぞ」
「ヒューゴ様は書斎の方におられますぞ」
リオンに睨まれ、そそくさと話をもどしたレンブラント。
後ろでルーティが笑い出した。
「アハハハハ〜坊ちゃん、だって!―――キャー!!」
それを聞いて怒ったリオンがティアラのスイッチを入れたらしく、ルーティは階段から盛大に転げ落ちていった。
「口の利き方に気をつけろ!」
「・・・・・・こ、このっ!」
ルーティがものすごい形相で階段を上がってきたが、「何かいったか」とリオンにワザとらしく声をかけられると「いーえ、なーんにもっ!」と怒鳴り散らしてそっぽをむいた。
「だったら黙ってろ」
「坊ちゃ〜ん☆」
「・・・・・お前にもティアラが必要なようだな」
「じょ、冗談、冗談。あはははは〜・・・・」
くるぅり・・・との方にむいたリオンの怒気があまりにも酷かったため、はおとなしく悪戯を断念した。
二人の話しにひと段落つくと、ところで・・・・と、レンブラントがきりだした。
「そちらの方々は?」
「気にしなくていい。なりゆきで同行することになっただけだ」
「随分ないいようだな・・・・」
「それ以外に何かあるのか?」
「もう少しましな言い方があるだろう」
眉根をひそめながらいうスタンに、リオンはどこまでもつっぱねた。相変わらずなリオンとスタンのやり取りを見ると、レンブラントは笑いはじめた。
「ハハハハ、お客人、お気を悪くされませぬよう」
「無理言わないでよ!!」
「ふんっ!」
レンブラントが言った瞬間、スタンはどんと押されてにぶつかった。
ルーティはそれに気付いておらず、リオンは鼻で笑うとそっぽを向いた。
「ブッ」
「うわっ、ご、ごめん!」
「なにをやっているんだ馬鹿が・・・」
呆れた声をだしながらも、リオンはの手を引っ張って起こすのを手伝った。
そんなリオンをスタンがほけっと見ていると、リオンが怪訝そうになんだ、といってきた。
「いや、リオンでもこういうことするんだなぁと思ってさ・・・・」
「こいつはいつもこうだから癖になったんだろう」
「それじゃあ俺がいつもこけてるみたいじゃないか!」
「実際そうだろうが」
「がーーーーーーっっ!!」
と、横で小さなコントが始まっていたのだが、次のレンブラントの発言により、二人の口喧嘩は一旦中止された。
「リオン様はワザと人を遠ざけようとする性癖がおありでなぁ。その点様は逆なようだが」
「つまらないことを言わないでくれ」
「わーい、褒められたー」
「フン。単純」
「「・・・・」」
レンブラントの言葉を聞いても、スタンとルーティはいぶかしげな視線を送るだけだった。
「ともかく、リオン様のおつれの方とあらば、丁重におもてなしいたしますぞ」
マリーが目を輝かせた。
「悪いがそんなことをしているほど暇じゃない」
「それは残念・・・・」
マリーも残念そうだ。
それを知ってかしらずか、リオンはもう一度書斎だったなと確認をえると、「聞いての通りだ、行くぞ」と全員を書斎へと案内した。
書斎へとついた一行だったが、ヒューゴが「ここではなんだ・・」と言い出したため、大広間へ移動することになった。




大広間で、ヒューゴ、リオンの順に席の都合で座ると、ヒューゴが目の前に座るスタンたちに「君たちに渡すものというのは他でもない・・・・・」と話を始めた。
「マリアン、例のものをここへ」
「はい、失礼します」
マリアンの声がすると、リオンとがそれぞれ反応した。
「紹介しよう、メイドのマリアンだ」
「はじめまして、みなさん」
「マリアン、彼らにソーディアンを」
マリアンがスタンとルーティにソーディアンを渡し、マリーにも預かっていた(?)武器を返したところで、ヒューゴが話に入った。
はそれよりも早く冒険に行きたいな・・・・などとのんきなことをかんがえていたため、スタンが地図をもらうまでの会話をすっかり聞き逃していた。
「君たちが成功することを祈っている」
話し終わると、ヒューゴは穏やかな笑顔を見せた。
全員が立ち上がり、自分も一緒になってついていこうとしたときだった。

「はい?」
ヒューゴに声をかけられ、は首をかしげながら立ち止まった。
リオンもスタンたちも不思議そうな顔をしている。
「君は今回お留守番だ」
「ええ!?そんな!!」
子供に言いつけをするように言ったヒューゴとマリアン以外、そこにいた全員が驚いた。
子供のような反応をするを可笑しそうに笑いながら、ヒューゴは言葉を続けた。
「セインガルド王が久々に君とも顔をあわせたちといってね。リオンたちも何もおきなければ3日もしたら戻ってくるのだし、休暇も兼ねて今回はそうしてくれたまえ」
「うぅ〜・・・・・はい、わかりました・・・・」
「そういえば・・・国王がかぼちゃパイを用意してまっていると言っていたかな・・・?」
「ハイ!!残ります!!残らせていただきます!!!」
「あはははは。そうか、それはよかった。久々の休暇だから、ゆっくり羽をのばしてくいてくれ」
「はいっ」
かぼちゃパイの単語を聞いた瞬間即答で残ると言ったに、リオンはため息をつき他の全員は笑った。
「じゃあ見送りだけするよ♪」
「別にしなくてもいいだろう。煩いだけだ」
「酷いわ坊ちゃん・・・・私の愛が届かないのね・・・・・」
「ストレイライズ神殿はダリルシェイドから北東の方角だ。行くぞ」
「ってシカトかよオイ」
『ナイスコントだね』
「まかせとけ!」
「・・・・・馬鹿はほっといていくぞ」
とシャルティエの会話は完全無視。しかし、玄関まで来て、リオンは急に立ち止まった。
「おい、ちょっと待て」
「な、なんだよ?」
「用事を思い出した。しばらくここで待っていろ」
というと、どこいくんだよというスタンの質問も流して答えず、さっさと戻っていった。途中。
「逃げても無駄だからな」
「わ、わかってるよ・・・・」
「ていうか俺に“見張っていろ”とか指示出さないわけ?」
「お前じゃあてにならん」
「ケッ!」
ふてくされるをそのままに、さっさとリオンは大広間へと入っていった。
「何しに戻ったのよ、あいつ」
「・・・・挨拶しにいったんだよ」
「あいさつ?」
ルーティが不機嫌そうに言った言葉に、が答えた。
が、どこかとても寂しそうで、思わずルーティは緊張をといて気遣わしげに聞き返してしまった。
「あーいや、みんながんばってね!向こうは結構森が多いから、大変だよ〜」
やけにまわりがしんみりとした空気になっていたことに気付くと、は取り繕うように明るく話し始めた。
ルーティはの言葉を聞くと、はぁ〜とため息をつきながら顔をしかめた。
「何よりあいつの扱いの方が大変そうよ」
「あはは!それ言えてるっ。結構面白いね、あんた」
「でも残念だな。一緒に行けないんだね」
「そっか・・・・・これ終わっちゃったらみんなと冒険できないんだねぇ」
「にしてもあいつ、遅いわね・・・・・」
と、雑談していると、リオンが大広間から出てきた。
「・・・・お前の休暇は長くなるだろうな。おそらく今回は長くかかる・・・・」
「へ?」
「いや、なんでもない・・・。お前がいないと楽だといったんだ」
「ルーティがいるのに?」
「ちょっとどういう意味よ!」
またもルーティと口喧嘩を始めるが、なんとか治まると出発するぞ、とリオンが声をかけた。
「いってらっしゃーい。プリン買ってまってるよん」
「なんでプリン?」
「さ〜?なんでだろうねv」
「・・・・・・・さっさと行くぞ」
『プリン楽しみですね♪』
『私たちは食べられないわよ?』
『気分だよ気分!』
『・・・・ぷりんとはなんだ?』
「食べ物だよ、ディムロス」
「・・・・・・・やっぱ俺も行きたいかも」
楽しそう。と言うに、リオンは心から「変わりに行け」といいたくなったとか。
とにかく、のお留守番は決定した。







続く
−−−−−−−−−−−−−
な、なんだか前に増して長い?そうでもない?それより薄い!!
やっとこさスタンたちと旅に出るのかと思いきや・・・・・お留守番かよ・・・・・?
次、ヒューゴさんと王様と楽しくお菓子パーチーです。(?!)
王様にまで気に入られているのね主人公。なんでもアリです。
なんてったってヒューゴがバックにいますから。フフフッ(怖)
次、大変なことおこりますよ〜〜〜〜。
眠いしやめよう。
ここまで読んでくださった方、ありがとうございます。