「なぁ、ハロルド。そろそろどこへ行くのか、教えてくれてもいいだろ」
会議も終わり、ラディスロウを出てから開口一番、カイルがハロルドに問いかけた。
カイルに声をかけられたハロルドがくるりと振り返ると、ロニたちも自然と足を止めた。
「ここから東にある『物資保管所』よ。ベルクラントに撃たれて、今は使われてないけどね」
「そんなところで、なにするんだ?」
今は使われていない物資保管所、と聞いて、ロニが怪訝な顔をしながらハロルドに聞き返した。
ハロルドはロニの問いかけにため息をつくと、いったじゃない、と肩を竦めた。
「ゴミあさりよ。移動手段を確保するったって、飛行艇がそのまま丸ごと落ちてるわけないでしょ。だから、使える部品を集めて作るの。とにかくだまってついてくる!部品さえ集まれば、チョチョイのチョイでできるんだから」
さあいくぞー、とと息巻くハロルドに、今度はナナリーが質問をした。
「ついてくのはいいけどさ、あたしたち、この時代の地図持ってないよ?東っていわれても、どっちに行けばいいんだい?」
「そんなことだろうと思ってね、ホイ、地図!それがあれば、わかるっしょ」
ナナリーのもっともな問いかけにすでに計算済み、と答えると、ハロルドは鞄をごそごそとあさり、地図を取り出した。
ぽいと投げられた地図は、カイルがしっかりと受け取ったのだが
「・・・。えーっと?」
「この馬鹿カイル!」
首をかしげたカイルに仲間たちのほとんどがため息をつき、ロニがつっこみを入れ、が腹を抱えて大笑いした。






my way of living 61
〜ジューダスの苦悩(?)日常編〜







駐屯所をでてすぐ、びゅうびゅう吹き荒れる雪にナナリーが肩を抱いた。
毛皮のコートは、ここではあまりいい性能をはっきしてくれないらしい。
「なんではそんなに平気そうに歩くの?」
「平気だから」
「つったってよぉ、どう見ても俺らの着てるコートよりそっちの方が薄着だろ?」
ナナリーだけなく、ロニやカイルたちも寒いのか、飄々と歩くを指差しながら二人が問いかけてきた。
「薄いからって寒いわけじゃないのよ。地上軍で作った特別なものなんだから!ていうか、私の作った温度調節気のおかげ」
「ずるい!」
が答える代わりにハロルドが答えると、その答えを聞いてカイルが声をあげた。寒いらしい。
がへへーん、いいだろー!と煽ると、寒い中鬼ごっこが始まるのだから始末に終えない。
ついでに、コートの中身は上はいつものノースリーブ、下はハロルドとおそろいのパンツとロングブーツの、水色だ。
いつもここで突っ込みを入れてくるジューダスはなぜか休暇中なので、代わりにロニがつっこみを入れて二人をやっと止めた。
「まったく、こーんな吹雪の中でも元気なんてどうかしてるわね」
「だって俺とカイルだもんな。な、カイル」
「そうそう。ねー、
「・・・・」
の冗談にカイルが乗って二人でケラケラ笑っている中、ジューダスがはぁ、と一人ため息をついた。
ギャーギャー騒ぎ出すロニとカイルの後ろから、自分に届いてる視線に気付いてか、がふと振り返る。
感じた視線の先には、ジューダス。ばっちり目が合った。
とたんにジューダスは目をそらし、横の景色を見始めたが、は首をかしげると、ジューダスの隣まで戻っていった。
「なあジューダス、どうしたんだ?なんか変だぞ?」
「お前より変じゃない」
「なんだと?!」
「・・いいから、カイルの相手でもして来い」
「うん・・・?変な坊ちゃん」
切り返しの速さはもはや癖か。とにかく話しかければ返事をかえしてくるジューダスだったが、流され、離されるようなジューダスの言葉に、は首をかしげながら言われたとおりカイルにちょっかいをかけにいった。
そんなジューダスの様子を見て首をかしげたのは、だけではなかった。
「どうしたんだい、ジューダス?なんかさっきから、をやけに避けてるような・・・」
「別に、避けてなんか無い」
これ以上聞くなといわんばかりのジューダスの言葉にため息をつくと、ナナリーも前にさっさと歩いていった。
一番後ろに残ったジューダスは、やはり、一人ため息をついた。



「これが、物資保管所?」
ハロルドについて歩いてたどり着いた建物を前にして、リアラが小首をかしげた。
ずいぶんと荒れ果てたって感じだね、と建物を見上げながら眉を潜めたナナリーに、「建物の原型を留めてるんだから、マシな方よ。直撃じゃなかったからこの程度で済んだのよ」と、ハロルドがごくあたりまえのように答えた。
「ぞっとしねえなぁ。なんで、ベルクラントみたいなモン作っちまったんだか・・・・・」
「なんでって、新しい地表の生成のためじゃない。知らなかったの?」
ロニがナナリーと同じく眉を潜めながら言うと、ハロルドがそれすら未来には伝わってないのか、と声をかけてきた。
ハロルドの言葉を聞いて「え?そうなの?」というカイルたちに、ジューダスやナナリーがため息をついたのはいうまでもない。
「もともとベルクラントは、地表を細かく粉砕し、空に巻き上げるためのシステムだったの。で、その巻き上げた石や岩を使って、空に浮遊大地を作って、街や村を作るつもりだったのよ」
「本来ならば、すべての人がその浮遊大地に移民するはずだった。だが、天上人と呼ばれる、特権階級の人間たちだけが使うことになったんだ」
「それに反発した地上人が、反旗をひるがえしたのが、天地戦争なんだよね」
ハロルドの説明をジューダスが継ぎ、その後ナナリーが確認するように話しに入ると、ジューダスが「そうだ」と頷いた。
「そして、戦争になったとたん、ベルクラントはその姿を兵器へと変えた・・・・」
「ま、そんなところね。兵器としても、申し分ないからね〜。最大出力で撃てば、島ひとつ吹き飛ばせるし」
説明を終えてへ〜とカイルたちが頷いているところへ、ハロルドが肩を竦めながら蛇足をいれた。
それを聞いて、まっさきに暗い顔をしたのはリアラだ。
「人助けのために作った機械で、人殺しの手伝いをさせられることになった・・・・。開発チームの人たちは、きっと、つらいでしょうね・・・」
「私の作ってるソーディアンみたいに、人殺しの道具で、人助けができることもあるけどね。ともかく、今度の作戦を成功させるのは、そういうこと!だから、キリキリ働いてね」
「わかった!よし、行こう!」
ハロルドの言葉に力強く頷いたカイルを先頭に、全員中に入ろうとしたが、そこでハロルドが「ちょい待ち!」と止めをかけた。
「・・・・なんだか変なニオイがするわねぇ」
と、出入り口の扉に近づいたハロルドは、中から出ている匂いをかいで「あちゃあ、マズった!」と声をあげた。
「化学物質がもれちゃってる」
「毒ガスか?中には入れないか・・・・」
「あぁ、大丈夫大丈夫。かなりヤバいけど、10分くらいなら我慢できるわよ、多分」
ジューダスがため息をつきながら言うと、ハロルドはひらひらと手を振りながら大丈夫大丈夫と言ってきた。
それをきいた仲間たちはもちろん、え、と青い顔を通り越して白くなる勢いで固まったのだが、ハロルドは本気らしい。
マジで?と冷や汗をかきながら問いかけたロニにマジで、と答えたハロルドは、これからやることの説明をさっさと始めた。
「いい?よく聞きなさいよ。目的のブツは、資材置き場の一番奥にあるコンテナに保管されてるわ。でもそれをあけるには、何個ものプロテクトを突破しなくちゃいけないの。あちこちに『プロテクト解除用のキー』が落ちてるはずだから、それを全部手に入れるのよ」
「わ、わかった。で、でも、本当に中に入って大丈夫なの!?」
かなり心配そうにカイルが問いかけると、ハロルドは何度も言わせるなといわんばかりにため息をついた。
「10分くらいならだいじょ〜ぶって言ったでしょうが。・・・でも、10分過ぎたら、命の保証は出来ないわよ。いい?10分よ、10分!」
ハロルドの真剣な言葉を聞いてすぐ、なにやら覚悟を決めている仲間たちの中から、は手を上げながら後退りした。
「お、俺、外で待機してるよ!みんな行ってらっしゃい☆」
「させるかよっ!」
「そーだ!お前も来いッ!」
「嫌だーーー!」
しかし、そんなを仲間たちは逃すわけもなく、ロニとカイルが両手をつかむと、あっけなくは中に引っ張られていった。しかも一番前だ。
「ね、ねぇ、ハロルド、本当にここにいて大丈夫なの?おれ、なんか頭痛くなってきたんだけど・・・」
入って数分、たちこめるあまりの空気の悪さに、カイルが根を上げた。他の仲間たちも青い顔をしている。
「ふむ、未来人は私たちよりも毒に弱いみたいね」
興味あるわ〜と怪しく目を光らせ始めたハロルドに「大丈夫!」と叫ぶと、カイルはさっさと奥に進んでいった。
「う・・・・ま、まさかここにまで入ることになるとは・・・・」
予想以上の空気の悪さに、さすがのもギブアップ。
口を押さえながら危なっかしい足取りを取っているの腕を、誰かがぐいっと引っ張った。
「おい、大丈夫か」
「お、お前こそ元気か」
「・・・こんななかで元気でいられるか」
腕を引っ張ったのはジューダスだった。死にそうな声で返事を返してきたに呆れながらつっこみをいれると、眉を潜めながら、「こういうなかで元気でいられるのは、お前くらいかと思ったがな」と皮肉を言ってきた。
「俺はなぁ、正常な空気のある場所でしか育ってないの!」
「野生児過ぎて、人工的なものには弱いのか」
「てんめぇ〜、いい度胸・・・」
「っ!おい、本当に大丈夫か?」
ぐっと拳を握りながら、いつものけんか腰を発揮するかと思っていた矢先、ふらりとよろめいたに真面目にダメなのかとジューダスが驚いて声をかけた。
だ、大丈夫・・・と答えただったが、どうにもならなそうな様子を見て、ジューダスがハロルドたちに「少し外にいってくる」と了解をとり、近くの扉から外に避難した。
「・・・・はぁ〜〜〜・・・」
「まさかお前が根をあげるとはな」
「うっさいやい。ふあ〜〜〜生き返る・・・・」
外の空気を吸ってなんとか回復しているに、ジューダスがため息をついた。
へにゃ、と力を抜いてがジューダスによりかかると、ジューダスはびくっと驚いて身体をかたくした。
「・・・人を壁代わりにするな」
「枕だから安心して〜」
「どちらも変わらんっ」
「やわらかさが違う〜」
というか、どちらも嫌だろう。少し動揺しているジューダスには全く気付かない。
しばらく休んで体力を回復させたはよし!と立ち上がると、外の空気を一杯に吸って中に入っていった。
「カイルたちどこかな?」
「そこら辺にいるだろ・・・・・・いたぞ」
きょろきょろ頭を動かしながら移動していると、二つ目のキーを手に入れたらしいカイルたちを発見した。
大丈夫?と皆から声をかけられ、平気平気〜と軽く返事を返すと、とりあえず一行はさらに奥に進んでいった。
「これで最後、と。んで、マスターキーを手に入れれば一旦外に出てもいいんだよね?」
「そうよ。さ、とっととマスターキーを取りにいきましょう」
低レベルのプロテクトを解除するキーを全て手に入れたカイルたちは、マスターキーのコンテナを探しにまた中を歩き始めた。
入って6分ほどは立っている。
、大丈夫かい?」
「ああ、なんか慣れてきたかも」
「慣れるもんかよ?!」
「あ、そうだ。マスターキーのプロテクトは、最初に入った部屋の奥にあるから」
「「早く言え!!」」
本当に慣れたのかどうかはおいておいて、早く出たいのか、はプロテクトの場所をカイルたちに教えた。
そのタイミングの遅さに、ロニとカイルは思わずつっこみだ。
へらへら笑うはまあまあと二人を宥めると、「とりあえずホーリーボトル使おう」とモンスター対策をし始めた。
壊れた階段を飛び降りて一階に行くと、奥のほうにあるプロテクトからマスターキーを入手した。
「ヤッター!コレで一旦出られる!」
「よし!カイル、勝負だ!」
「おう!」
「馬鹿!走ると余計に呼吸する回数が多くなるから・・・・ってオイ!」
勝負だ!と走り出して数メートル。とカイルは二人して倒れかけた。
そんな二人をロニとジューダスが助けに行き、ナナリーや真っ青になっているリアラにすら笑われると、一行はなるべく急ぎ足で外にでた。
「ぷはぁ〜〜・・・・元気ですかぁ〜」
「誰の真似だ」
ジューダスに肩をもたれながらやっと外に出たは、正常な空気を吸ってやっと口を開いた。
中にいても十分煩かったが。
ため息をつきながらつっこみをいれると、ジューダスは適度に建物から離れた場所にを座らせた。
「パナシーアボトルでもいっとくか?」
『酒でも飲むみたいな勢いだね』
「・・・とりあえず好きにしろ」
シャルティエのボケにものボケにもつっこむ気力がないのか、ジューダスはまたため息をつくと、自分は持っていた飲み物を飲んで休憩を取っていた。
「坊ちゃん、俺にも一口〜」
「ば、ばか、やめろっ」
ぐおぉぉぉとわざとらしく唸りながらが手を伸ばすと、ジューダスは焦って手から飲みものを遠ざけた。
遠ざけた後でジューダスはハッと冷静さをとりもどし、はいつもなら文句を言うだけ言って渋々くれるのにと、そんなジューダスの反応に首をかしげた。
「なんでさ?」
「・・・うつる」
「俺はウィルスもちの患者か何かか!鳥インフルエンザか!」
「似たようなものだろ」
貰いすぎかと心配して損したー!とが叫ぶと、ジューダスは渋々飲みものを渡した。
(いつも食べ物だって飲みものだってまわし飲みくらいしていたし・・・別に、今更気にすることなんて・・・)
こんなことでなにを混乱しているんだと、ジューダスは一人首をかしげる。
元々人と回し飲みなんてしたことのなかったジューダス・・・ことリオンがそういう習慣(?)を身につけたのは、もちろんの所為だったりするが、これは蛇足だ。
「坊ちゃんサンキュ〜」
「ああ・・・ってお前、一口じゃなかったのか」
もどってきた量は渡した時よりもかなり少なかった。
随分減ってるぞ、とジューダスが怪訝な顔をしてつっこむと、はおや?と首をかしげてえへへ〜と誤魔化した。
「俺の一口、でかかったみたい?」
「みたいどころの問題じゃないだろ」
「ああそれ、多分毒の所為よ、ジューダス」
不機嫌そうに顔をしかめたジューダスにが目を泳がせていると、ハロルドが助け舟を出してきた。
毒の所為、というとさすがに納得するしかなかった二人はそうなのかと頷くと、もう一度あの中に入ることを思い出してため息をついた。
「やだなぁ〜・・・ジューダス、も一杯!」
ヘイ!と軽いノリでさりげなく貰う作戦だったのか。
もちろん今までの経験値のおかげで乗らなかったジューダスは、飲みものの入った携帯用のボトルを見てしばらく沈黙した。
「やらん」
「あー!!ジューダス飲んだー!!」
一言いうと、ジューダスはぐいっと飲みものを飲んだ。
がそげなー!と叫んでいると、カイルたちが腰をあげて「そろそろ行こう」と活動し始めた。
「うぅ・・・」
「・・・そら」
全部飲んだとみせかけて少しだけ残していたのか、泣きそうな声をだすにジューダスがぽいとボトルを投げた。
きょとんと顔を上げたにジューダスが「さっさと飲め」というと、は大喜びして「ありがとジューダスー!」と言い、一気に飲み干した。
「よーしさま復活!行くぜジューダス!」
「騒ぐなら一人で騒げ」
むしろ入りたくない、といい始めるジューダスをむりやり引っ張るとはカイルたちの後を追って走っていった。
そんな二人の様子をにやりと笑いながら見ていたのは、天才科学者ハロルドだ。
「女の勘は、カオス理論をも越えるのよ、ジューダス♪」
「は?」
ハロルドに急に肩を叩かれたジューダスは、何の話をされているのか分からず首をかしげた。
それから一行は建物の中を周りに周り、のナビをつけ、セルキー、バイオキーと発見をしてさっさと目的のブツとやらにたどりついた。
「ん〜と、必要な部品は。バルブとノズルと耐熱材と・・・・よ〜し、これだけあれば十分だわ。あとは組み立てるだけね」
と、ハロルドがぽいぽい取り出してきたガラクタを全員で分担して持とうと話していると、カイルが怪訝な顔をして「こんなガラクタの寄せ集めで、ホントに空飛ぶ乗り物が作れるの?」とハロルドに問いかけた。
「これだけの材料があるのよ。普通、作れない?」
「・・・・いや、それができるのは、あんただけだと思うぞ」
逆にカイルに問い返したハロルドに、ロニが顔をしかめながらつっこみかえすと、ハロルドが首をかしげた。
他の仲間たちはロニと大体似たような顔をしている。
「みんなそう言うのよねぇ。よくわからないわ。ま、用は済んだし。とっとと帰るわよ」
「やっと出られる〜〜〜」
「もうちょっとの辛抱だから、耐えなさいよ。さーてあとはこさえるだけね〜」
これからのスケジュールを頭の中で計算しているのか、ハロルドはうーんと遠い目をしながらなにやらつぶやき始めた。
「こさえるって・・・・」
「てきとうにやれば、一晩でできるっしょ」
「どこまでも素敵だね、ハロルド☆」
「まかせなさい☆」
余裕、余裕〜♪と、言い切るハロルドにがぐっと親指を突き出すと、ハロルドはウィンクで返事を返した。
そんな二人のやり取りを見て、ロニが一言。
「なんか・・・新たに嫌なコンビが出来たって感じだな」
「・・・まかせたぞ、つっこみ役」
「っておい!お前もつっこみだろうが!」
「がんばんなよ、ロニ・・・」
「お前までかよナナリー?!唯一の持ち味姉御肌だろ!ぐふっ!」
「ロニ・・・応援してるから・・・」
「げほっげほっ・・・ってもうすでに死にに行くような言い方をするんじゃない、リアラ!」
「ロニならきっとできるって、俺、信じてる!」
「いったい俺になにをしろというんだ、カイルーー!!」
それぞれから表向きは暖かく、裏は果てしなく冷たい言葉をもらったロニは、毒の充満する建物の中で一人叫んだ。
「なにやってんの、後ろ?」
「さあ?」
そんな仲間たちを前から振り返って見たとハロルドは、状況についていけず首をかしげた。


帰り道、いくら吹雪いていても寒くても、わいわいと楽しそうに騒ぐこの集団を見回して、カイルがうーんと唸り始めた。
「どうしたんだ、カイル?」
「いや、よくよく考えたらさ、俺たちって、1000年前の人と話してるんだよなーって」
「それを言ったら、私やリアラは10年後の人間だし、ジューダスとなんて18年前の人間だよ?」
「しかもは異世界の人間で、ジューダスは死人だしな」
ナナリーのもっともなつっこみの後、ロニが蛇足を加えると、カイルは「あ、そうか」と遅い納得をした。
「そう考えると、俺たちすんげぇパーティだよな」
「ああ。ありえないね」
「でも、なんでかみんなといても自然なんだよな。なんか、昔から知り合いだったみたいな?」
「あ、なんかそれわかるかも。不思議だよねぇ」
3人が話しこんでいると、いつの間に離れていたのか、ずっと前の方から、リアラがカイルたちに声をかけてきた。
「カイルー!ロニー!ナナリー!置いていっちゃうよ!」
「ああ!まってよ、リアラー!」
声をかけられてすぐ反応して走りだすカイルに苦笑いすると、ロニとナナリーも前を歩く4人に追いつくために走り出した。
途中ロニは、の仕掛けた草と草を結んでおいた罠に見事ひっかかり、全員からの笑いをかった。






続く
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いやー。苦悩か?ジューダス。お前楽しそうだろ。というような(どんなだ)
知らず知らず惚れちゃってたりしても、気付かず意識して自分から話すこともできなければ触られたりましてやジュースの回しのみ(間接キス)なんてもっての外で動揺しそうだな、なんて勝手に想像しつつこんなものに。ププーッ(コラ)
普段の細かなところに目を向けてみたり。・・・困惑してるジューダス、面白いなぁ(待て)
思春期の男の子っていってもこれじゃあ中学生じゃん!と一人つっこみつつ、逃走!
ここまで読んで下さったかた、ありがとうございます!!