目を開くと、いくつもカプセルの並ぶ、薄暗い大きな部屋が目の前に広がった。
「うわー。悪趣味ー。ダイクロフトみたい。現実って嫌だね〜」
「・・・・お前の夢も似たようなものだろう」
「馬鹿言え!あんな素敵な夢、そうそうお目にかかれないぜ!」
「かかりたくもないな」
名コンビ復活か、という勢いでさっそくじゃれあいはじめたとジューダスだったが、少々ジューダスの様子がおかしい。
ビシッ!と決まるはずのつっこみも、少しぎこちない。
のボケをつっこみかえしたジューダスは、さらにフン、と鼻であしらいながら言葉を続けた。
「皆で仲良く楽しく・・・といったところか?お前らしいな」
「だっろー!」
「単純明快、一直線馬鹿らしい世界だった」
「失礼な!夢の中で一気にいろんな人が動くって、結構大変なんだぞっ」
「普段の行動さえ把握しておけば、自然と動くだろ」
「いやん、ばればれ?ってだから吐く真似すんなゴルァ!」
「!あなたまで、なぜこの世界に戻ってきたのです!?」
ジューダスのつっこみにが体をしならせて返し、さらにジューダスが吐く真似をしていると、急に驚いた顔をしたエルレインが現れた。
二人を止められそうになかった仲間たちは、敵ながらエルレインの存在に一瞬だけ感謝した。
my way of living 60
〜恋は盲目。痛い夢にはご用心〜
「克服してきたぜ!いまわしい過去とやら」
「まて!それは俺の台詞だっ!」
「・・・。気にしないでいいわ」
ずびっとエルレインを指差しながらロニの台詞を取った。ロニがつっこむと、不満そうに「えー?」と声をだした。
そんな二人を見て周りは顔をしかめていたが、どうすることもできず固まっているエルレインに、リアラが助け舟をだした。
「わからない・・・・なぜ、自ら苦しい道を選ぶのだ?神の力でまどろんでいれば、あらゆる望みがかなうというのに」
「そんなのでかなった望みに、いったい、どんな価値があるっていうんだい?価値なんてありゃしないよ!自分の手でつかんでこそ、価値があるのさ!」
「「って俺らを無視して進めるなよ!」」
「どっちが悪いんだい、まったく!」
本当にさっさと話を進めていく周りに思わずつっこみをいれたロニとだったが、ナナリーに怒られ、しょんぼりと肩を落とした。
そんな相変わらずのに、その後まっさきに声をかけてきたのはエルレインだった。
「あなたは何故抜けられた?あの永遠の回路の中に、あなたの抜ける隙間などなかったはず」
「フフンッ。夢で深層心理を表すなんて、実力の無い小説家のよく使う手法に、誰がひっかか」
「それをいったら、コレを書いている本人は分かりきったことですが、769様まで敵に回すことになりますよ」
「ゲフンッ。・・・あー、冗談はさておき!そうだね。でも、一つだけあるんだな。まぁその一つのおかげで、隙間だらけになっちゃうわけだけど」
「・・・・つまり、こうなることも全て知っていたと」
「ご名答♪」
エルレインが肩を落として言うと、は楽しそうに笑いながらウィンクを一つ送った。途中の経過は都合よく無視だ。
そんなにため息をつくと、エルレインはまた顔をあげ、問いかけた。
「無理矢理出てこないで、ずっとあの中で暮らしていればいいものを。何故、あなたはいつも、そう悪い方を選ぶ?」
「・・いつも正しい道を選べはしない以上、誰にだってつらい過去や悲しい思い出はある。でも、取り返しようのない過ちも、数え切れないほどの後悔も、その全てが僕らの生きてきた証なんだ。それを否定することはだれにもできない。いや・・・・・させはしない!」
に問いかけたエルレインに、代わりにジューダスが答えた。
これがジューダスの出した答えかとは笑い、「だとさ」とエルレインに返した。
「お前達はそうかもしれん。だが・・・彼らは違う。人々はみな苦しみからの解放を望んだ。自らの欲望が、かなえられることを望んだのだ」
「いいえ、人々はただ忘れているだけよ。いつわりの幸福の無意味さを。そして、歴史という人の営みの中にこそ本当の幸福があるということを。そのことに、いつかなからず気付くわ。カイルたちのように」
眉を潜めて言うエルレインに、今度はリアラが言い返した。
今までの自信の無さが嘘のようにはっきりリアラが言い返すと、カイルも、続けて前に進み出た。
「そうだ、俺たちは気付いたんだ。リアラのおかげで・・・」
「カイル・・・」
「ら、ラブコメだよロニっ」
「くそぅ・・・カイルめ・・・!」
「あんたらね」
集中力をなくすようなことをするんじゃない!とナナリーにつっこまれると、ロニももきゃーきゃーいいながら逃げ始めた。
3人がそんなやり取りをしている間にも、カイルとリアラは二人の世界に入っている。
このどうしようもない数名の行動を上から見ていたエルレインはため息をつくと、めんどくさそうに顔をしかめた。
そんなエルレインに声をかけたのは、毎度ながらだ。
「あーあー、そんな顔しちゃって。だめだよ〜〜エルレイン。女は若い内にがんばんなくちゃならないんだから」
「嫌味ですか」
「よく言うじゃないか・・・咲ーかせーて♪咲ーかせーて♪桃ー色ー吐ー息♪綺ー麗ーと言ーわれーる♪時は短すぎて♪って!短いんだぞ女が咲かせられる時期は!お前、後もう少しで三十路だろうが!」
「おだまりなさい」
のボケにエルレインが辛くつっこみかえしたところで、ようやく、カイルたちがこちらの世界に戻ってきた。
「だから、俺たちはお前に奪われた歴史を取り返す!そして、俺たちの幸せをとりもどす!絶対に!」
「・・・・今さら言われてもゲフッ・・・無駄なあがきは、よすがいい。お前たちが、どう思おうとなに一つ変えられはしない」
さりげなくつっこみのレベルが上がっているエルレインだが、とりあえずつっこみ所満載のカイルたちにもしっかりと言葉を返した。
そんなエルレインの努力は実り、二人の世界から戻ってきたリアラが真面目に向き合う。
「いいえ、変えられるわ。人の思いの力は、なんだって出来る。だから・・・!今から時間移動をするわ。時代は・・・天地戦争のころ」
「歴史を元に戻そうってわけか!!」
「やってやろうじゃないか!」
「望むところだ!」
「どーんとこーい!」
「って違うだろ!」
最後にボケたに「来てどうする!」とロニがつっこみをいれている横では、カイルがぐっと手をにぎりながらリアラに声をかけていた。
「リアラ、いこう!俺たちの歴史を、取り戻しに!」
「ええ!」
カイルに強く頷いたリアラは、そこにあったレンズの力を使って、1000年前へと全員を飛ばした。
残ったエルレインは一人床に降り、天井を見上げて目を細めた。
「おろかな・・・・その先には悲しみしか待っていないというのに・・・・。あなたまで、なぜ・・・」
理解できない。
一人ため息をつくと、エルレインは部屋の奥へと消えていった。
冷たい雪の感触に、遠のいていた意識が段々ともどってくる。
起き上がったは、久々に見た地上軍基地の風景に少しだけ感傷に浸った。後ろでは、カイルたちが続々起き上がってきている。
「ここが千年前の世界。天地戦争時代か・・・・」
「さて、着いたはいいけど。これからどうする?」
雪を払ったカイルが、ロニと辺りを見回しながらほっと息をく。
が珍しくまともに会話に参加した。
「とりあえずここは地上軍基地だから、情報収集もなにも、やりやすいと思うよ」
「本当か?!って、あ、そっか、お前ここにいたんだもんな」
の言葉にロニが声を上げたが、それから納得したように一人で頷いた。
それじゃあ、とりあえずここにいる人に話を聞きに行こう!とカイルが元気よく言うと、一部を抜かした全員が、おう!と声をあげて人気のありそうなところに歩き始めた。
その団体と一緒になって歩いていただったが、いつも隣にいた存在が近くにいないことにふと気付き、回りを見回す。
「おやや?ジューダっスくーんはーっと?ナナリーとお話中か。こりゃちょっかいもだせねぇな〜」
ちぇ、とつまらなそうにが歩いていると、前から、騒がしい声が聞こえてきた。
「こら〜〜〜!待ちなさーい!」
「な、なんだぁ?」
甲高い声と共に走ってきたのは、輪っか状の不思議な生物。そして、ピンク色の髪の少女・・・・いや、ハロルドだ。
もちろんこれから起きることも知っていただったが、それより今は、ハロルドにもう一度会えたことに感動していた。
「ハロっ・・・とと、えーっと、おーーい!!」
「ん?あ!あんた!!!!?」
名前を呼びかけて、すんでのところでは口を止めた。ここで彼女の正体をばらしては、つまらない。
ハロルドもすぐにがいることに気がつくと、追いかけていたロボットのような生物をそっちのけで、につっこんできた。
「!!」
「ハロー!」
結局言ってしまったものの、仲間たちにはばれていないようだ。がしっと抱き合う二人を見て、首をかしげている。
「あんた、いったいどうやってあそこから逃げ出してきたわけ?!」
「色々と訳があるんだけどさ〜。ま、それは後で」
「ねえ!なんかこれ攻撃しかけてくるんだけど?!」
「ああ、それ適当に片付けちゃって」
「適当にって!」
ハロルドの適当な言葉にカイルがつっこんだが、その次にオチをつける間もなく、カイルたちは攻撃をしかけられた。
ブンッと振られた腕を避けると、カイルは剣を抜き取って間合いに駆け込んだ。
「って、な・・・んだこれ・・・?!動け・・ない・・・」
「あらー。魔方陣出るんだコレ。便利だねー」
「でしょー。自信の一作になるはずだったんだけどね〜」
「っだあ!なんだこれ!」
「あら凄いわ〜。シャドウエッジ返してくるの?」
「そうそう。晶術食らわせたら仕返しに跳ね返す機能つけてみたの。どう?」
「厄介なこと・・この上ないなっ!」
ほのぼのとカイルたちの様子を観戦するとハロルドに、ジューダスがさりげなくつっこみを入れながら走っていった。
ナイスつっこみ〜と喜ぶの横から、ハロルドが「ねえ」と声をかけてきた。
「あんたの仲間って、もしかしてこいつらのこと?」
「・・・・。さあ?」
「ってことは、そうなのね。まだあそこらへんにへんなものが・・・」
「えーっと、時空間のゆがみによる大気中のせいぶんがなんとかーってやつ?」
「そうそう、良く覚えてたわね〜」
しらを切っただったが、ハロルドには簡単にばれてしまったようだ。
がハロルドに頭を撫でられ、「子供扱いするなー!」と怒っている間に、カイルたちはハロルドが作ったらしい奇妙なものを倒していた。
「中々やるじゃない」
「だろ〜」
「あんたのことじゃないわよ」
がハロルドの痛いつっこみを受けて涙目になっていると(もちろんおふざけ)、ハロルドはむっとした顔になり、ロニに近づいていく。
じっとハロルドに見つめられたロニが、少し引いた。可愛い顔をしているからだろうか。
「・・・な、なんだよ?俺の顔に、なんかついてるか?」
「・・・・とうっ!」
と、急に飛び蹴りを食らわせてきたハロルドに、ロニは景気よく吹き飛びながら「てぇ!なっ、なっ、なっ・・・・何しやがるこの野郎!」と怒鳴った。
「なにって、仕返し」
「はあ?!」
「私のHDX−2型を壊したでしょ?だから、仕返し」
「ってお前、自分で適当にかたずけちゃってとか言ってただろうがよ!」
しらっと言ってのけたハロルドに、ロニががばっと起き上がりながら怒鳴った。が、ハロルドもハロルドで負けはしない。
「いいじゃない。本来なら軍法会議もののところが、とび蹴りですんだのよ?」
「軍法会議?!それじゃ、これって・・・地上軍のものなの?!」
ハロルドの言葉を聞いてカイルがぱっと話しに入ってきたが、本題に入る前に、ロニが先ほどから溜まっていたらしい不満を爆発させた。
「ていうかなんで俺だけなんだよ!ガキ!」
「ていっ!」
飛び蹴りの次は、見事な回し蹴りだ。
またも地面に沈んだロニに肩を竦ませると、ハロルドは「失礼ね〜〜」と顔をしかめてきた。
「私は、これでも23なんだから。ったく、あんたの仲間、礼儀も知らないわけ?未来じゃこれが当たり前なの?」
「え!?ちょ、ちょっと!俺たちが未来から来たこと、言っちゃったの?!」
「あーらやっぱりそうだったの〜☆」
思わずに問いかけたカイルの言葉を聞いて、ハロルドが楽しそうに笑い声を上げた。
カマをかけられたと気付いたカイルは、ジューダスとロニからそれぞれ睨まれたり殴られたりしていた。
「バカイル!俺はお前らのことまで話して無いぞ!」
「ってことは、自分のことだけはばらしたわけだ」
「ば、ばれたんだい!」
急に1000年前に飛ばされたんだからしょうがないだろー!と、叫ぶに、仲間たちが全員ため息をついたのは言うまでも無い。
「まあ、が一緒にいるからわかったってわけじゃないんだけどね〜。根拠は、字空間のゆがみから生ずる大気中の成分の変化からあくびの仕方まで、三十六通りほどあるけど。イッチバン大きかったのは、勘ね」
「勘・・・・?」
「ほら、女の勘はカオス理論をも越えるって、よく言うじゃない」
と、にっこり笑いながら言うハロルドに、カイルたちは困惑顔で輪になった。
「ね、ねぇ、「かおすりろん」って、なに?」
「さぁ・・・」
「なんか、あんたの仲間って面白いわね〜」
「だろー?よりすぐりの芸人どもだよ」
輪になってひそひそ話す仲間たちをハロルドと見ながらが呑気に笑っていると、中からハロルド、という単語が聞こえ、ハロルドが「呼んだ?」と問いかけた。
「よ、呼んでないよ!」
すぐさまカイルがそれに返事を返すと、また仲間たちは輪になってひそひそと話し始めた。は笑いを堪えている。
「や、やべ・・・・腹いてぇ・・・!」
「なに一人で笑って・・・って、ねぇ、呼んだ?」
天才科学者、という言葉が聞こえてきた所為か、ハロルドはまた問いかけた。カイルは「呼んでないってば!」と大声で返事だ。
「だって今「天才科学者」って。それ、私のことでしょ?」
と、ハロルドとカイルたちの食い違ったやりとりを、はハロルドの横で笑いながら聞いている。
だぁーかぁーらぁー!とロニが叫びだしたところで、は本格的に噴き出しはじめた。
「・・・ねぇ、後ろで笑ってるが気になるんだけど」
「ていうかさ、に聞いたほうが早かったんじゃないの?」
とは、カイルたちの後ろでやりとりを見守っているリアラとナナリーの言葉だ。
そしてハロルドたちは、やっと話しの合点がつくところまで会話が進んでいた。
「助手?私が?誰の助手なの?」
「・・・お前はハロルド博士の助手じゃないのか?」
助手と言われて首をかしげたハロルドに、ジューダスが困惑した声をだした。ハロルドはもちろん「私は、助手なんかじゃないわよ」だ。
「ハァ・・・アホらし・・・。さ、行こうぜ」
「だって、私がハロルドだもの」
「はいはい、わかったわかった、あんたがハロルド・・・」
「え?ホントに・・・・?」
背を向けて歩き出したロニにハロルドが自分の正体を明かすと、一呼吸置いてカイルが反応した。
うん、と頷くハロルドの横では、が大爆笑中だ。
「くだらない冗談はよせ。お前がハロルド博士なわけが・・・」
「あんたの背中にあるの、シャルティエでしょ?」
「!」
ハロルドがジューダスを指差していうと、ジューダスは驚いた顔をしながらぱっとマントで体を隠した。
「細身の曲刀で、刃渡り67,3センチ。柄も含めた全長は81,7センチ。重さは2,64キログラム。柄はシャルティエ自身の手に合わせて若干ふくらみをもたせてる。レリーフに刻まれてるのはジェルベ模様。属性は地、主に石や岩などを用いた唱術を使用・・・、あ、初期状態で使える晶術も聞きたい?」
「そこまで詳細なデータを・・・」
「把握していて当然よ。設計者なんだから」
ジューダスが驚いて目を丸くしているところに、ハロルドは肩を竦めながらまた失礼ね、とため息をついた。
「で、でもよぉ!ハロルド博士は男だろうが!」
「あ、やっぱりそういうことになってるんだ!いや〜、男の名前にしとけばみ〜んな勘違いすると思ったのよねぇ。案の定、みんな、まんまとだまされてるってわけね!グフ、グフフフッ!」
と、ハロルドが怪しく笑い始めたところで、やっとハロルドの横で笑っているに気付いたのか、ロニが頭をかきながら声をかけてきた。
「なあ、、こいつ、ハロルド博士か?・・・めっちゃくっちゃ怪しいんだが」
「うん。正真正銘のハロルドだよ。ね、シャル」
怪訝な顔をしつつ問いかけてきたロニにうなずくと、はまだマントに包まっているジューダスの方に目を向けた。
ジューダスは諦めたようにため息をつくと、背中から、布に包まれたシャルティエをとりだし、鞘から抜き出した。
「・・・・本当か」
『ええ、そうですよ』
「女だというのは初耳だぞ」
『誰も博士が男か女かなんて、聞いてきませんでしたからね』
「・・・男だと思い込んでたからな」
悔しそうなジューダスの声に、シャルティエはくすくす笑い出した。はシャルティエと一緒になって笑っている。
「こ、こんなジューダスめずらしいーーー!!」
「それが狙いか単細胞っ」
と、ジューダスにつっこみをうけててへ☆と笑うにはロニからゲンコツが、ジューダスからシャルティエでどつきが送られた。
「じゃ、じゃあ、あなたは本当にハロルド博士・・・」
「あぁ、ハロルドでいいわよ。「博士」って、言葉の響きが硬すぎてかわいくないし」
「かわいくないって・・・」
と、カイルたちが長い話を始めたところで、はつまらなくなったのか、そこら辺に積もっている雪を構い始めた。
雪で色々と作って遊んでいると、そのうち、上から「おい」と声をかけられた。
「いくぞ、」
「どこへ?」
声をかけてきたのはロニだった。「ラディスロウ」とロニが答えると、はぱっと立ち上がり、ハロルドの隣まで駆けていった。
「ハロルド〜。もしかしてカイルたちも護衛につけんの?」
「そうよ。その方が動きやすいでしょ?」
「さっすが天才!」
「や〜ね〜。もっと誉めなさい☆」
うははは、と笑いながら二人でちょこまか遊んでいると、がふと後ろを歩くジューダスに気付いた。
「ぼーっちゃん」
「!」
「なにぼけっとしてんのさ?」
「べ、別に・・・ぼーっとなんてしてない・・・」
とことこやってきたに驚くと、ジューダスはぱっと目を泳がせた。
その後、いつもの調子でハロルドとでも遊んでろ、とジューダスに返されると、は「冷たい、ジューダス!」と身体をしならせ始めた。
「あんなに仲良くしていたのにっ!」
『貴方の愛はそれほどのものだったのね!でしょ、』
「ナイスシャル!」
「あっはははは!カイル、お前、バッチリだったなのものまね!」
前にカイルがどこかでやったとおり、同じことを言い出したに、周りの仲間たちは大笑いし始めた。
ロニが笑いながらカイルの背中をバンバン叩いていたが、カイルも可笑しそうにげらげらと笑った。
それを実際言われているジューダスは、一人しかめっ面だ。
「煩いなぁ。誰だよ朝から・・・・って?!!」
「あ!シャル!!」
どこかで体を動かしていたのか、剣をもったままのシャルティエが急に目の前に現れた。よりも、驚いたのはシャルティエだ。
ハロルドよりいい反応で驚くと、走り出した同様、シャルティエもに向って走り出した。
ジューダスは始めてみるシャルティエに動揺したのか、らしくなくそわそわしながらさりげなく前にでてきていた。
「シャル〜〜〜〜〜!!」
「・・んの馬鹿野郎!!!」
「ぐっっ!」
近づいて抱きつく寸前、は、シャルティエにラリアットをお見舞いされた。
そのまま血を吐かん勢いで倒れかけたを引っ張ると、今度は関節技をかけ始めた。
仲間達はあまりのやり取りに、固まっている。
「お前!いままで何処にいってた・ん・だ・よ・このアホが〜〜〜っっ」
「そりゃダイクロフトに決まってってギャーっ!シャル、シャル!ギブー!ギブミー!」
「意味違うだろ!」
「ぐお〜〜っっ!し、死ぬ・・・!!」
ぎりぎりぎりと締め付けられるは、とうとう真っ青だ。
そんなを見ていい加減勘弁してくれたシャルティエだが、次に首についてる例のものを見て、さらに「待て!」と声をあげた。
「おい・・・これ、なんだ?」
「な、な、なんなんでしょう〜〜??ってあ゛〜〜〜!!まった!首はな゛・・・じ・・・」
「あーらほんと、見事にナニやらつけられてんじゃないのよ」
シャルティエにシメられるの首を上手い具合に覗き込むと、ハロルドがグフフと楽しそうに笑い始めた。は死にかけだ。
いい加減見かねたのか、ハロルドは「どうだ!」「もうわかりましたっ、勘弁してください!」とおかしなやりとりをしている二人に水をさした。
「やめなさいよシャルティエ。あんた、が攫われた時真っ先にラディスロウに駆け込んで、今すぐ助けに行きましょ〜!って、必死だったじゃない。もしかしてこれって、照れ隠し〜?」
「ばっ!な、なにいってるんだよ!!それをやったのはお前だろ!」
「私もやったけど、あんたもやったじゃない☆」
「へっ、変なことをいうな!」
「その前に!が死ぬ!!」
「「あ」」
手に力が入っていたのか、真っ赤になって弁解しようとしているシャルティエの下では、首を絞められたままのが青い顔をしていた。
死に掛けのに気付いた二人はを解放し、まともに息ができるようになったは、地面に座り込みながらもぜはーぜはーと一生懸命空気を吸い込んだ。
「シャ、シャバの空気は美味いぜ・・・」
「なにアホいってるんだよ。ほら、さっさと立て」
「冷たいわ、シャルっ」
「馬鹿か!雪で濡れるだろうが!」
「あ、そっかー」
シャルサンキュ〜〜と呑気に笑いながら、シャルティエに腕を引っ張ってもらっていると、むっつり顔のジューダスが「さっさと行くぞ」とさりげなく言ってきた。
一部を抜かした全員、はーいといいながら歩き出し、首をかしげたと目が合ったジューダスは、目を逸らすとさっさと行ってしまった。
「??変なの」
「あのお面被った奴か?まず趣味からして疑うべきだろ〜」
「だよねー。顔ばればれだし!そこがまた可愛いんだけど」
二人して腕を組んでププー!と笑っていると、ラディスロウの入り口付近から、カイルに「早くー!」と声をかけられた。
急いで仲間たちにおいつき、ラディスロウに入ると、当たり前だがは全員に驚ろかれた。
「!」
「な、なぜお前がここに?!」
と、見事に驚いてくれたディムロスたちに、は笑いたいのを我慢してささっと返事を返した。
「えーっとね、偶然格納庫に行く荷物が届いた時にさりげなく荷物にまぎれて、格納庫から脱出用ポット使っておりてきたの」
「で、そのを彼らが助けて、ここまで連れてきてくれたってわけ」
の言葉を継ぐように、ハロルドが上手くフォローしつつ、カイルたちのことをアピールした。
それで納得したのか、ディムロスたちは「そうか・・・」というとほっとため息をついた。
「無事でよかったですよ。シャルティエたちが血相変えて入ってきたときには、どうしようかと思いましたけどね」
「イ、イクティノス少将!」
イクティノスがハロルドのようにシャルティエの話をだすと、シャルティエはまた真っ赤になりながらどうとも言い返せずおろおろし始めた。
そんなシャルティエの反応を見て、カーレルやリトラーが笑っていたが、ディムロスは一人浮かない顔をし、「ところで」と声をかけてきた。
「クレメンテとアトワイトを見なかったか」
「ああ、いたよ」
「本当か?!」
さらりといたと言い返したに、ディムロスがもの凄い勢いで反応を返してきた。
理由を知っている回りもも、特に気にすることなく続きを話し始めた。
「俺、ミクトランのいる部屋に監禁?されてたんだけど、その時に一度だけ・・・・多分、捕まってすぐだと思う。裏切り者どもと同じところに入れておけ、とかなんとか言ってたから」
「ミクトランてお前・・・・なんともなかったのか?!」
「商売のあてつけにされてたらしくて、あいつが俺を殺したら、あいつが酷い目にあうんだって。だから、特に手は出されなかった」
「クチはだされてるかもしれないけどね・・・」
シャルティエに問いかけられたは難しいことでも話すようにに首をかしげると、は分かる範囲でだけ説明をいれた。
の説明を聞いた後ハロルドがつぶやくと、はガツッとハロルドの足を蹴った。
ディムロスたちはディムロスたちで話を進めている。
「ということは、向こうから来る開発部の人々と、同じところに隔離されてるというわけか・・・」
「なら話が早い。、アトワイトたちが何処にいるか分かるか」
「えーっと、確か・・・・使われて無い倉庫だったはず。ていうか、ディムさんたちだってめどはついてるんでしょ?」
「大体の場所はな・・・」
「でも、今ので核心はつかめた。私たちの考えている場所であっているはずだ。発信機もあるし、上手くやればなんとかなるだろう」
の言葉に曖昧に返したディムロスの後に、カーレルが結論をだした。そうだな、とディムロスが言っていると、今度はハロルドが「ハイ注目〜〜」と言い始めた。
カイルたちを軍に入れる、入れないで討論を始めた会議室で、は一人やる気なさそうにあくびをした。
ここでいつもならつっこみが入るはずなのになにもないな、とが首をかしげていると、カイルたちが自己紹介をしていた。
どうやら軍に入ることを許されたようだ。
「はいはーい。最後に未来系アイドルでーす。趣味は、人の嫌がることをすること」
「誰も聞いてない」
ジューダスが突っ込みを入れると、は「酷っ!!」といいながら笑う。
ひと段落すると、ハロルドの申し出でディムロスが作戦についての説明をし始めた。
続く
−−−−−−−−−−−−−−−
やヴぁいな・・・。話が長く・・・。ま、いっか(待て)
坊ちゃんがちょこっと可笑しくなって――いや、おかしくなって(遅い)これからが楽しみ???にしたかったのに微妙・・・。
はぁ・・・文才が欲しい(無理)ていうかPCに無理させすぎだなこの長さ(なら直せ)
ていうか、書くたびに悪くなっていく文章ってどうよ?(大問題だな)
こんなの読んで下さった方、ありがとうございますです〜〜