脱獄犯の護送を終えたリオンは報告書を書き、ヒューゴの元へとそれを届けた。
何もかってが分からないは、そんなリオンにくっついて歩くだけだった。
「俺ってさー・・・・もしかしなくても無能?」
「分かりきったことを聞くな」
my way of living 6
〜甘えん坊ちゃんと腹黒剣とセンチメンタルing(あい・えぬ・じー)痴呆娘〜
ヒューゴ邸、玄関を入ってすぐにある階段上すぐの二階の廊下にて。
「さらりというなチビーーーーー!!」
「自分から言ってきたのだろうが。僕は関係ない」
『坊ちゃん、なにげにの扱いになれてきましたね』
帰ってきてすぐ、またこれだよ・・・と、楽しげに笑うシャルティエのぼやきが聞こえた気がしなくもないが、とりあえずはそれどころではなかった。
「シャル、俺と愛の逃避行でもしない?坊ちゃん捨てて」
『んー、ちょっぴり魅力的な言葉だけど、僕には坊ちゃんがいるから』
「むしろ坊ちゃんラヴだからvだろ?」
『そーそー』
「そう・・・あなたには心に決めた人がいるのね・・・・分かったわ、私は身を引きましょう・・・よよよ」
『ああすまないよ・・・僕にはどうしても坊ちゃんが必要なんだ・・・・・逆かもしれないけど。ププーッ』
「・・・・そこでなにふとどきな会話をしている」
途中まで無視をしていたリオンだったが、あまりの話の内容に思わず口をだした。
任務を終えて帰ってきたのがもうすでに正午から2時間がたった後だった。
向こうの村を随分と早く出た。
折角仕事を終えて帰ってきたというのに、これでは休む暇もなくこの二人のつっこみ役となってしまうと、リオンは心底嫌そうな顔をした。
「あら、おかえりなさい、二人とも」
「ただいま、マリアン」
「マリアンさんただいま!」
階級制度をかけらも考えないは、素直に感情の赴くまま、マリアンに抱きついた。
リオンはそれが気に入らないようで、マリアンに対してだけ緩めていた表情を、またいつもの無表情へと戻していた。
そんなこと自分はできないし、前までマリアンにそうできたのはこの屋敷の中で唯一子供だった自分だけだったのだ。
小さな子供なら誰でももつような母親にたいする嫉妬心を知らないリオンは、ただイライラとを睨みつけていた。
その視線に気がついたがはたっとリオンを見ると、必然的に睨んでいたリオンと目があった。
「リオンもおいでよ!」
無邪気に笑ってリオンに「こいこい」と手をふった。
「・・・・・・・ふん」
・・・が、プライドの高いリオンがそんなことできるわけもなく、そっぽを向いてしまった。何もいいかえせないところはあえてつっこまないでおこう。
それをよくわかっているマリアンが苦笑いしていると、がマリアンをひっぱってリオンの前までつれていった。
といってもほんの一歩進むだけだったのだが。
「ほら坊ちゃん!」
「うわっ」
さっと後ろに回ったにドンと背中をおされ、リオンはめずらしく歳相応に驚いたような声を出した。
押された先にはマリアンがいて、しっかりとリオンをおさえた。
「な、何をするんだ貴様!」
「感動の再会の演出☆ほらほら坊ちゃん、マリアンさんヨ」
まだ何か言おうと口を開きかけたリオンだったが、マリアンがふわっと抱きしめてきたため、その腕で口が隠れてしまった。
「おかえりなさい、リオン」
「・・・・ただいま」
むすっとした顔で少し頬を赤く染めながら、ぼそっとリオンがそういった。
それを見たマリアンがやさしく微笑み、もそれを見てにっこり笑った。
いつの間にかシャルティエを手に持ちながら。
「借りるぜ坊ちゃん☆」
ぼそっと聞こえない程度にいい、マリアンに手をふり、はダッシュで自分の割り当てられた部屋へと戻った。
『ねえ、さっきの聞こえないと思うんだけど?』
「うん、ワザとだし」
『あーあ。せっかくいいことしたのに、どうなっても僕は知らないからね』
「いーっていーって!それよりさ、シャルと二人で話すってのもいいでしょ〜〜♪俺前から狙ってたんだ☆」
『なんで?っていうかやめようよ狙うの・・・』
「だって!ソーディアンチームの一人だよ!?何より面白いし」
『何気に最後のが本音でしょ』
ははん、と謎の言葉でシャルティエのつっこみを流すと、ベランダに続く窓を開けた。
最初に来た日と変わらず、外の風景は港のにぎやかさと豊かな街の穏やかさの両方を保っていた。
『・・・ま、ソーディアンチームにいたといっても、格下だったけどね・・』
「なーに暗いこといってんのさ。チームに選ばれるほどの実力もってんだからもっと自信もったら?つうか少佐なんて立派な地位もってんじゃん」
『チームの中でも下だったよ。どうも僕は不器用でね』
嫌なことを思い出すかのように、皮肉気に話すシャルティエ。
ベランダの手すりに座って背もたれながら、はシャルティエのコアクリスタルを静かに見た。
「シャルの魔法属性はなんだい?」
『え・・・?地属性だけど・・・』
「その属性の技はさ、シャル以外に使える?」
『いや・・・上級とかになってくると僕しか使えない・・・はず』
「そ。じゃあ開きなおっちゃえよ」
『え〜〜〜〜〜?』
何言い出すんだよ、と可笑しそうに笑いながら言うシャルティエに、は「いや、本当に」と同じく笑いながら言い寄った。
「だって考えてみろよ。ディムロスにはシャルの属性の晶術は絶対使えないだろ?地属性が効く敵が現れたときにシャルがいなかったらどうするんだよ。シャルは必要とされていたんだよ。口にださなくともね。だからそんなこというなって!」
『・・・・。変わらないね。やっぱり面白いよ、君。・・・本当に・・・・昔からいつもいつも僕は・・・』
「ん?なんだって?」
「この馬鹿女!!シャルを何処へやった!!!」
ばたーーーーんっっという騒音とともに、その顔を怒りでゆがめたリオンが入ってきた。
「でた坊ちゃん!!」
『・・・・あーあ。僕知ーらないっと』
「勝手に人のものを取っていくとは・・・・・お前も牢獄へぶち込んでやる!!」
「人聞きの悪い!ちゃんと借りていくっていったさ!ねえシャル!!」
『うん、言ったね。・・・・・・・・でも聞こえてないんじゃ意味ないんじゃないの?』
「ほら言ったって!!」
「聞こえないように言うんじゃない!!」
「シャ、シャルの裏切り者〜〜〜〜!!!坊ちゃん馬鹿ーーーーー!!!」
『どうなっても知らないって言ったじゃないか。僕は坊ちゃんの味方なんだよ♪』
「さあ・・・・・覚悟してもらおうか」
「・・・・くっ、かくなる上は・・・とうっ!」
『!?』
「馬鹿!ここは二階・・・」
「いえい☆ここまでこれるかい坊ちゃん♪」
「・・・・チッ!行くぞシャル!」
『鬼ごっこですね?』
シャルティエを置いてさっさとベランダから飛び降りたは、みごとに着地を決めた後さらにリオンに喧嘩を売った。
小馬鹿にされた怒りからか、リオンがその喧嘩を買い同じくして飛び降りるという今までにない行動にでた。
まさかリオンが飛び降りてくるとは思わなかったは慌てて逃げる。
その後を殺さん勢いでリオンが追いかける姿を、キッチンの窓からマリアンが微笑ましそうに見つめていた。(止めてください)
どの道、リオンのピコハンにより気絶させられたは、その後目覚めたとき自分の部屋で黒く微笑むリオンとすっかりおいしい位置にいるシャルティエにより痛い目を見ることとなった。
「マリアンさん・・・リオンがいぢめる・・・・」
「ウソをつくな単細胞」
夕食を終えて一息ついているとき、がマリアンにすがったが、リオンにばっさりとその道を断たれてしまった。
リオンはいまだに不機嫌そうで、シャルティエはそんな二人をくすくすと静かに笑っていた。
マリアンは昼間のことといい今のことといい、あまりに可笑しかったのかくすくすと笑い声が堪えなかった。
「プシュウ〜〜〜・・・・」
部屋に戻り入浴も早めに済ませてしまったは、ベッドに倒れこんで脱力していた。
遊ぶだけ遊んだら疲れて動けなくなるのが子供というものだ。
カサッ・・・と、ベッドの脇にあるノイシュタットの子供たちからのあの手紙が指先にあたり、むくっと起き上がった。
「そういえば・・・・もう一つ包みあったな。中身なんだろ」
またあんなんだったらぶっ殺す・・・とつぶやきながら、ベランダにでて小さなもう片方の包みをあけた。
中から出てきたのは、銀色の指輪だった。
いびつな形をしているが、おそらく全員で材料を探して全員で作ったのだろう。
指輪はところどころいびつながらも、ピカピカに磨かれていた。
「あいつら・・・・」
どうしようもない嬉しさとともに、寂しさもどっと溢れてきた。
「こりゃあ・・・・結構なもん奢んなきゃどつかれちまうな〜・・・」
窓にもたれてノイシュタットに続くであろう海を眺めながら、はその指輪を左手の人差し指につけた。
「人差し指は友情、ってね」
夜空にかざして、いびつに輝くそれを長い時間眺めていた。
「会いたいな〜。あいつら、今頃どうしてんだか・・・・。そういえば母さんたちどうしてっかな。心配されてなさそー俺。・・・・・・帰りたいわけじゃないけど・・・・会いたい・・・・な・・・」
そういうと、膝を抱き寄せ手を組んで額をあて、目を閉じた。
「・・会いたい・・・・・な・・・・」
「・・・・・」
扉の前で、今まさにノックをしようと手を上げたリオンは思わず手を止めた。
中からきこえた小さなその声が、昼間嫌というほど聞いた元気の塊!というような声ではなく、悲痛にまみれた掠れた声だったことに驚いたのだ。
一瞬顔をゆがめたが、すぐいつもの無表情に戻るとコンコン、と扉をノックした。
「・・・?はい?」
「僕だ」
「あー。どーぞー」
先程までのかれたような声ではなく、昼間聞いていたような気の抜けるほどのマヌケな声が返ってきた。
どーぞーと言うと、ダルそうな顔をしたリオンが部屋に入ってきた。
「!?」
入ってきてすぐ、リオンは驚いたような顔をしてその場に立ち止まった。
何事?と首をかしげたに、リオンは分かってないのかお前・・・?と、めずらしく困惑した顔で聞き返してきた。
「はあ?」
「本格的なアホだな・・・・」
『、泣いてるよ?』
「うっそ!?出てんの!?」
『出てるってさ・・・・』
顔に手を置くと、「ああ!!!?」と思い切り驚くを見て、リオンもシャルティエもあきれ返った。
「いやー。まっさか泣いているとはね〜」
『それはこっちの台詞だよ』
「最近泣き方というものがようやく分かってきてさー。前から色々試してみてたんだけど最近不調だったんだよね」
「・・・そんな練習するな馬鹿者」
頭を抱えてつっこむリオンに、笑いながら立ち上がり、だってさ〜と言葉を続けた。
「泣きたいときに・・・・泣けるようになっておきたいじゃんよ?」
「お前にそんなときがくるのか?」
『あ、それ言えてるかも』
「お前らな〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
天誅ーーーー!!!と、リオンに飛び掛ったり(ボディーブロー)シャルのコアクリスタルに連続デコピンを入れたりと、そのときできるかぎりの仕返しが二人になされたのだった。
――――――追加。
「〜〜〜〜〜まったく!女とは思えない行動だなっ」
「好きで女に生まれたわけじゃないやーい」
「もう十分だ男女」
「かっ!」
『坊ちゃん〜、明日のこと言いに来たんじゃないんですか〜?』
「煩い、分かってる。明日はこの街で最近現れた頭の悪い盗賊たちを捕まえに行く。細かいことはヒューゴ様から話がある」
「ていうか今言うのもうめんどいんでしょ」
「・・・・・・どうせ忘れるだろう。いたわってやっているんだ」
「うわー。シャル聞いた〜?」
『うん。どっちもどっちだね(ボソリ)さて坊ちゃん、帰りましょうか』
「シャル、今何か言わなかったか?」
「え〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜、もう帰るの?まだ遊ぼうよーーー!!」
「煩い馬鹿。僕は遊んでるほど暇じゃないんだ。さっさと寝ろ」
「けっ。どーせ風呂はいるだのねるだのだろうがよ」
「・・・シャル」
『はい?』
「・・・・・ピコハンッ!」
「ギャーー!!晶術なし!ここ室内!!」
「お前の部屋なら壊れても誰も困らない」
「俺がこまるっつの!壊れたらリオンの部屋に居候してやるーーー!」
『が来るのか〜。楽しくなりそうですね、坊ちゃん』
「・・・・・・・」
心底嫌そうにリオンが顔をしかめた。
続く
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主人公泣いちゃいましたね。いや〜、どっちかってーと最近泣き方がやっと分かってきたのはむしろ俺・・・(オイ)
彼女がそう言ったのはごまかしか・・・・。
後に言った「泣きたい時」っていうのは恐らく彼の悲惨な運命のことを言っているんでしょうね。
いつくるかわからないぶん、余計に恐怖心も煽られる、と。(書いてねえし)
今回は夢、って感じでいってみました。(ありえなさ80%)
こんなのリオンじゃない・・・・と思う方も多かったでしょう・・・。
俺的に、まだなにも始まっていない今ならちったあ同情くらいするかなぁと・・・(人間じゃないよそれ)
でも遊ぶの今しかないし・・・・。
さーて、次はみんなを迎えに(拘束しに)行きますか☆
うんvはしゃぎすぎ☆(さて誰の台詞か・・・・やけにしっくりくるような・・?)
ここまで読んでくださった方、ありがとうございます。