「ここがハイデルベルグかぁ!さすが、英雄王がおさめるだけあってでっかい街だなぁ!」
ハイデルベルグに入ってすぐ、カイルが田舎者まるだしで歓喜の声をあげた。
それからすぐに英雄王の話が出たせいか、が噴出した。急いで口を押さえ、なおも笑うに、ジューダスが「笑うな」と突っ込みを入れた。
「・・・・」
「・・・・プッ」
あのボケキャラを見たら、カイルたちはどんな顔をするだろうか。
二人して同じ事を考えて、それぞれ違う反応をした。
my way of living 48
〜昔なつかしガングロとおばけと天然物語〜
ため息をついたジューダスとは反対に、はまたも噴出していた。
あのウッドロウがだ、真面目な顔をして雑務をしているのかと思うとは笑いが止まらないらしい。本来真面目な人間な彼の、ボケた部分しか見ない痴呆娘には可笑しくて可笑しくてしょうがないのだろう。
そしてジューダスはというと、めんどくさそうな顔をしていた。数ヶ月前の旅のことでも思い出していたのだろうか。
目の前では、カイルたちがウッドロウについて語り合っていた。
「きっと凄い人なんだろうなぁ・・・」
「放浪癖もちだがな」
うっとりと表情を緩めるカイルに、ジューダスがついつい言葉をだしてしまうと、ロニもカイルも「え?」と首をかしげた。
「ジューダス、なんでそんなことしってんの?」
「か、風の噂で聞いたんだ・・・」
「へえ、なんか信憑性ないな」
なんとか誤魔化せてほっとジューダスがため息をついていると、カイルは「早く会いに行こう♪」と全員をせかすようにちょこちょこと動き始めた。
はいはいわかったからじゃれるなとロニがカイルをなだめると、5人は色々と街を観光しながら城へむかって歩きはじめた。
「なんだかここって、アイグレッテとは感じが違うわ。上手くいえないけど・・・・」
「フフフッ。そのうちわかるよ」
キョロキョロと街を見ながら聞いたことのあるフレーズをリアラが口にすると、は楽しそうに笑いながらリアラに相槌をうった。
どういうこと?と首をかしげるリアラに「さ〜なんだろね〜〜?」とがお茶らけていると、リアラが「もー」と頬を膨らませた。
「あははっ。ごめんごめん。まあ、大人になったらってやつですよ♪そのうち絶対わかるからね」
「なんだか丸め込まれた気がするんだけど」
「そんなところも可愛いネ☆」
「っ」
遊ばれていることに気付くと、リアラは顔を赤くしながら怒った。
がそれを見て笑っていると、カイルが「あーっ!リアラをいじめるなよっ」と二人の間に入ってきた。
「いじめてないよ。それより、カイルだっていつもリアラを独占してるじゃないか」
「ど、独占なんてお、俺はそそそんな・・・」
がいじけたように言うと、カイルは顔を真っ赤にしながら慌てて言い訳をした。
リアラも赤くなったが、カイルのあまりの面白さに思わずぷっと噴出した。
「あはははっ!カイル可愛い〜〜っ。ま、とりあえずそんなカイルはほっといてリアラ行こ〜☆」
「うん♪」
「あー!まてよ二人とも!」
手をつないでスキップしながら歩き出した二人を見て、カイルが声をあげた。ジュータスは呆れ顔で言葉もでないのか、無言で歩いている。ロニはというと、ジューダスの隣で苦笑いだ。
嫌だよ〜〜といいながらが舌をべっと出すと、カイルは「なんだよっ」と怒り、リアラはさらに笑った。
「リアラまでー!」
「だ、だってカイル面白いんだもんっ」
声をたててリアラが笑うと、カイルはますます怒って顔を膨らませ、 それから笑っているに矛先を向けた。
「ていうかずるいよっ。手なんかつないで歩いちゃってさ!」
「へー?じゃあカイルも手つなぐ?」
「え?!い、いや、あの、俺は・・」
思わず本音が出たらしいカイルを見てきょとんとすると、はあくまで素のようにカイルに問い返した。
カイルがしどろもどろしていると、痺れを切らせたように空いた手でカイルをぐいっとひっぱった。
「ほーらほらリアラの荷物持って!さっさとつなぐ!寒いんだから。男だろ?」
「関係ないだろっ」
リアラと手をつないで真っ赤になりながらカイルが抵抗したが、結局には笑って流されてしまった。
まったく・・・と言ってカイルがおちつこうと深呼吸をしていると、先ほどまで赤くなっていたリアラがにこそっと耳打ちした。
「の冗談とかノリとか、なんとなくわかってきたかも」
「もっと早くわかれよ〜。・・・面白い?」
「フフッ、結構」
「だろ?」
リアラの耳打ちに冗談ぽくが返すと、リアラもくすくす笑いながら冗談ぽくかえしてきた。
にっと笑いながらがリアラに言葉を返していると、カイルがまた「あっ、なに二人でひそひそ話してるのさっ」と横から乱入してきた。
こういうところルーティだよなぁと笑いながらジューダスにが話をふると、ジューダスはげんなりしながら「・・・・しらん」と一言だけかえしてきた。
「うわ〜・・でっけー・・・・」
「ロニ、口開けてると余計にマヌケ面だよ」
「うるせっ!」
「フッ」
「笑うな!」
城についての第一声を、ロニが代表して口に出した。
それはよかったのだが、大口をあけてぽかんとマヌケ面をしているロニに、両脇からとジューダスが突っ込みを入れてきた。
それにロニが怒ってもの凄い速さで返し、ひと段落すると、とにかく5人は城の中へと入った。
ちなみに先ほどまで手をつないでいたリアラは結局カイルに独占されている。
「・・・・なんか、変わって無いのは入り口だけって感じ?」
「・・・・。いつまでもあんな迷路じみた城にだれが住むか」
ぼそりとジューダスに話しかけたは、ジューダスに冷たい声で返された。内容はいつも通りだったが。
ジューダスにとっては最後に全員で戦い最後に全員をだました、色々と思い出のある場所だったので心中は複雑なんだろう。
そんなジューダスの心境に気付いたのか、はうーんと唸りながら上を向くと、ぽんと手を叩いた。
「ジューダス、手つないであげよっか?」
「バカはほっといていくぞ」
にこーっと笑顔をうかべながらいったを、ジューダスが即、流した。
なんだよ、人の親切をーーっっ!と騒ぐの隣で耳を塞ぐと、ジューダスはふぅ、とため息をついた。
ノリ悪いなぁとがいじけていると、手前を歩いていたカイルたちが城の兵士たちに止められていた。
「なあ、あれってやばくない?」
「ああ。まず間違いなく追い返されるだろうな」
「助けなくて良いのかよ?おじちゃ〜ん」
「僕はそこまで・・・・・歳を取った覚えはないっ」
途中で言葉を変えたジューダスは、くすくす笑うに肘鉄を食らわせた。
うぉぉ・・・と床で悶えるをフン、と鼻であしらうと、兵士とひそひそ話すロニの方へ目をむけて眉を潜めた。
兵士の一人が奥へ行くと、カイルがロニに「ねえロニ、なんていったの?」と問いかけた。
そんなカイルににっと笑うと、ロニは「ん?ま、細かいことはいいじゃないか」と、してやったりといった顔をしながら返事を返した。
二人のやり取りを見ると、はああ・・・と頷いた。
そんなの隣から、ジューダスが一歩前に踏み出してロニを冷めた目で見据えた。
「ずいぶんと姑息な手を使うな」
「なぁに、会えたらそれでOKなんだ。硬いこというなよ」
手をひらひら振りながら笑うロニにため息をひとつ落とすと、ジューダスは「・・・つきあいきれんな」と一言もらした。
「僕はしばらく時間をつぶしてくる。お前たちだけで会ってこい」
「あっ、待ってよジューダス!」
さっさと出て行ってしまったジューダスにカイルが声をかけたが、ジューダスは見向きもせずに城から出て行った。
もなにも声もかけずに・・・・というか、展開の速さにかけられずにいると、もう片方の兵士がやってきて「失礼いたしました!」と改まりながらカイルたちに声をかけてきた。
「これもゲームの通り、か・・・」
「え?」
「ん?や、なんでもないよ」
ため息をつきながらぼそりと独り言を言ったにリアラがどうしたのかと問いかけたが、は笑って流した。
うきうきと身体を弾ませるカイルを先頭に城の奥へと進んでいくと、は「お前は・・!」と老人に声を掛けられた。
「もしや18年前の・・・・?」
「ん?・・・あ!おばけー!!」
「おばけじゃないわい!」
指をさしてさっそく失礼極まりないことを大声で叫んだに、老人は思い切り眉間にしわをよせながらつっこんだ。
だがの言葉を聞いて核心したのか、「やはりそうか」と嬉しそうに笑った。
「久しいのぅ」
「よく生きてたネェ、ガンダルフさん」
「誰じゃそれは」
「ワシは白くなって帰ってきた!!」
「だから誰じゃっ」
バッと両手を広げながら叫んだに、老人が一生懸命つっこみを入れた。まわりでは兵士やメイドたちがものすごい表情で注目している。
はないすツッコミ☆と言うと、またも老人にむかい「な、ガン爺」と言ってぽんぽんと肩をたたいた。
「わしはダーゼンじゃ!」
「わーかってるって〜。ただこの18年間生き延びてたってことにあまりに驚いちゃって☆」
「・・・・痛い冗談をするな」
「フィリアの爆弾くらっても生きてたくらいだから大丈夫だよねそりゃ」
どこまでもボケるに、ダーゼンはいい加減疲れたのか、うなだれてため息をついた。
よく覚えてたね、というに、ダーゼンは「ウッドロウさまにガングロとほざいていたガキの顔、死んでも忘れんわ」とにやりと笑いながら言い返してきた。案外強い。さすが老兵だ。それでも最初は、の娘か何かかと思っていたらしい。
フフフ・・・と二人で笑顔対決をしていると、ウッドロウのいる玉座の方から白い服を来た髪の長い女性が降りてきた。
カイルたちに会釈をすると、さらに後ろでダーゼンと話していたに気付き、「あら」と声をあげた。
「や、久しぶりだねエルレイン」
「あなたは・・・なぜここにいるのですか?」
手を上げて気軽に話しかけたに、エルレインは怪訝そうな顔をしながらいきなり問いかけてきた。
ダーゼンは誰なのか分からず、ただぼんやりとエルレインを見ているだけだ。
「仲間が来ているからさ」
「18年前の姿のままで・・・彼にあおうというのですか?」
「俺、後先考えない性格だから」
「なにより一番の問題は、何故、あの子と共にいるのですか?」
きゅっとまゆをひそめながら問いかけてきたエルレインに、はふぅ、とため息をつくと「いきさつでだよ」とめんどくさそうに答えた。
「俺の仲間に、偶然リアラが出会って、偶然一緒に旅をすることになったんだ」
嘘だけど、とは言葉にださずエルレインに言うと、はそれよりさ〜と呑気に話しだした。
「最近景気どうよ?疲れた顔してるけど、しっかり骨休めとかしてるの?」
「とくになにもありません。すべて順調です」
「ま、そう怒りなさんなって。今度、ゆっくり話しでもしよう」
あくまで機械的に言葉を返してきたエルレインに、はひらひら手を振りながら笑った。
エルレインは「機会があれば・・・」というと、軽く会釈をして歩いていった。
エルレインがいなくなった後にがため息をついていると、ダーゼンは「なんなんだあの女は・・?」と不思議そうに首をかしげていた。
「宗教に属しているものというのは分かったが・・・嫌な感じだな」
「さっすがガン爺。勘いい〜♪」
違うっ。とまた笑いながら茶化してきたにダーゼンがつっこむと、は「あはは」と声を上げて笑った。
「まったく・・・・18年ぶりにあってみても何も変わってないとは・・・」
「いいことじゃないか」
胸を張って言うに、ダーゼンは「少しは変われ」と間よくつっこんだ。
上手い上手いと笑いながらが煽ったが、ダーゼンはフン、と鼻であしらうだけだった。
「どうだいここは。昔よりよくなった?」
「18年前に比べたらな・・・・。このまま、わしが死ぬまで平和でいてくれたらいいんだがの」
「あはは。そうだね〜。もう歳だしね」
ため息をつきながら言ったダーゼンの言葉にが笑うと、認めたくないがな、とダーゼンがいった。
ダーゼンの言葉を聞くとはまた笑い、「十分若いよ」とダーゼンに返した。
それから他愛のない話をすると、そこで始めてはカイルたちにおいてかれたことに気付いた。
しかもカイルたちがいなくなってから結構立っている。
「しまったー!!」
「アホか・・・・・」
呆れでダーゼンがぼそりとつぶやいたが、には聞こえていなかったようだ。手を額につけてぴしっと背筋をのばすと、は「自分はいくであります!」とわけのわからない言葉を発してまたもダーゼンにつっこまれていた。
「んじゃ、ダーゼンさんまた!」
「ああ。ウッドロウ様もきっと歓迎なさるだろう」
ずびっと手をあげると、は玉座の方へ歩き出した。ダーゼンの言葉をきいて笑うと、うーんと唸って首をかしげた。
「あはは。どうかな〜〜?うん、まあ・・・・気をつけて!もう歳なんだから、なんか騒ぎおきても前線いっちゃだめだよ!」
「兵士が戦わんでどうするっ」
「あれ、その格好、兵士じゃないんじゃないの?」
「バレたか」
ダーゼンの言葉にはたっとして立ち止まると、はダーゼンを指差した。
ダーゼンはにばれるとおかしそうに笑い、さっさといけと払うように手をふった。
「本当に、気をつけないとね・・・」
とりあえずダーゼンと分かれたは、カイルたちの謁見が終わる前にと小走りで玉座へ向かった。
玉座へと行ってみると、カイルたちの姿はどこにもなかった。
変わりに、椅子に座って目を丸くしているウッドロウがいた。
「くん!」
「やっほーウッドロウ、久しぶり☆驚いた?」
「いや、少し演技してみただけだ」
「ってオーイ☆」
両手を挙げて参上したに驚いたそぶりを見せていたウッドロウは、演技だというとすぐに笑った。相変わらずの茶目っ気精神だ。
ノリよくつっこんだ後、「読まれた・・・」とが床に手をついて泣きまねをしていると、ウッドロウは笑いながら「まあまあ」といってをなだめた。
「ルーティ君に先に手紙をもらっていたんだよ。今か今かと待っていたんだけどね。なかなか遅かったじゃないか?」
「そりゃあルーティの子供と一緒にいるんじゃあねぇ」
「君がいえたものじゃないだろう」
ふぅ、と肩をすくめて見せるにウッドロウがあはははっと声を立てて笑いながらつっこむと、二人は顔をあわせてにーーっこり笑顔になった。周りの兵士たちは怯えたり驚いたりと大忙しだ。
久々の笑顔対決で可笑しくなったのか、二人はその内噴出して大笑いしだした。
「本当に、全然昔と変わってないんだな。手紙の通りだ」
「ルーティはなんて?」
「もうすぐ18年前いなくなった歩く公害が行くから、街の警備をよくしておけだそうだ」
「あんにゃろう」
ウッドロウがルーティの手紙の一文を言うと、はがるるるる・・・・と唸り始めた。
そんなを見て笑うと、ウッドロウは「それより・・」と話を進めた。
「どうして18年間も顔をださなかったんだ?あの後色々と大変だったんだぞ・・・」
「あ〜ごめんごめん。色々とあってさ。ま、それはまた今度ゆっくり話すとして・・・・・18年のうちに、ガングロだけじゃなく登山者にでもなったのか?」
何故?と首をかしげるウッドロウにが「ヒゲ・・」と指差して言うと、ウッドロウはぷっと吹き出して「なってないよ」と笑いながら答えた。
「なんでヒゲが生えたら登山者にならなくてはならないんだい?」
「だってねぇ〜?あのガングロだし。放浪癖、直ってないんだろ」
ずばり、といったに、ウッドロウは「ガングロとは懐かしいな」と笑った。
「直ったさ。少なくとも君のボケよりは」
「じゃあほとんど直ってないや。俺、変わってねえもん」
にこりと笑ったウッドロウに対して、はにやりと笑った。捨て身のボケだ。
二人してまた笑い出すと、今度はウッドロウが「それにしても本当に久しぶりだ」と顔をほころばせながら言ってきた。
「ほんとごめん。顔出せたらよかったんだけどね・・・」
「まあいいさ。死んだと思っていた戦友が生きていたのだから、ここは喜ぶべきじゃないかな?」
ウッドロウの言葉を聞いて、壁際で立っていた兵士たちが少しざわついた。
の容姿は18年前そのままなのだからしょうがない。
はウッドロウの言葉に「そっかー☆」と言って笑うと、それにしてもといって肩を竦ませた。
「なんであの時みんな、あんなビービー泣いてたんだ?死んだのなんて、俺が最初じゃないのに・・・」
目を泳がせて頬を指でポリポリかきながらが聞くと、ウッドロウはフッと笑った。
「簡単なことだよ。戦いが終わって、全員気が抜けていたんだ・・・。あそこまでいったなら、いくら泣いてもかまわないだろう?」
「・・・なるほど、それもそうだね。んで、ガングロ王子・・・今は王か、はどうしたんだい?マリーさんとv」
「フフフッ、そう来たか。どこまでも嫌な子だな君は」
「そんな褒めんなって☆」
痛いところを付いてきたに、ウッドロウはにこーっと笑って言葉を返した。
もにっこり笑って返していると、玉座の裏の方からカイルたちがどやどやと現れた。
「あれ、?来たんだ」
玉座の前でつったっていたを発見すると、まず最初にやってきたカイルが声をかけてきた。
一旦ウッドロウと休戦すると、はカイルたちのほうに笑顔を向けた。ウッドロウに合えたテンションが下がらないようだ。
「おう来たぜ。ダーゼンじいちゃんと話ししゃれこんでて遅くなった」
「ダーゼンに合ったのか?」
「ああ」
それからウッドロウと親しそうに話すに、カイルたちは首をかしげた。
カイルが「あの・・・?」というと、もウッドロウも「ああ」と言ってカイルたちのほうへ向いた。
「くん、話していないのか?」
私たちのことを、というウッドロウに、は平然と「うん」と言って頷いた。
「話しても良いの?旅のこと色々」
「・・・・いや、なんとなく止めて欲しい気もしなくもないな・・・」
色々。というところだけ強調していってきたにうっと一瞬息詰まると、ウッドロウは眉間を押さえながら微妙な声色で返してきた。
ロニが「と旅をしたことがあるんですか?」と聞き返すと、ウッドロウがにっこり笑いながら「ああそうだよ」とロニに答えた。
「私もスタンくんたちと旅をしていたからね。期間的には一番短かったが・・・リオンくんとも旅をした」
「・・・・あの裏切り者ですか」
王の御前、ということでロニはなるべく声を落とさないようにしてはいたようだった。が、やはり内側から高まってきた怒りは抑え切れなかったようだ。言葉にとげがある。
そんなロニを見ると、ウッドロウが苦笑いして口を開いた。が、ウッドロウが言葉を発する前にが一言つぶやいた。
「本当の裏切り者は誰だろうね・・?」
「?」
どこか影を指すような珍しいが一瞬見えたが、リアラに声を掛けられるとぱっと顔をあげ「なに?」と逆にといかけてきた。
そんなよそよそしいの態度に気付いたのはウッドロウだけだったらしく、カイルたちは特に気にした様子は無かった。
というか、上手い具合にに笑って流されていた。
「・・・・くん」
「あ〜・・・・ごめんウッドロウ、なんかテンション下げちゃったね」
「いや、私の方こそ・・・・」
「なーに辛気臭い顔してんだよ!ガングロ第二期生が目の前にいるんだから、もっと堂々と胸を張る!」
しゅんとしたウッドロウを見て首をかしげるカイルたちに気付いたのか、がずびっとウッドロウを指差しながら叱咤した。
ウッドロウはそんなを見てプッと噴出すと、「その言い方、ルーティみたいだ」とくすくす笑った。
「ていうか、一国の王にガングロとかいうなよっ!」
「えーいいじゃん。俺としちゃー友達なんだから。なーガングロ〜v」
ロニがこそっとに言ったが、どうやらウッドロウはその言葉をしっかりときいていたらしい。まだくすくす笑っている。
それからがにーっこり笑いながら同意を求めるようにガングロと呼ぶと、ウッドロウも負けないくらいにーっこりと笑って返してきた。
「ああそうだな。でもガングロはやめてほしいな」
「照れんなって☆」
「フフッ、照れてないさ」
スバン、と手を振りながら言いのけたに、ウッドロウがやはりニコニコ笑いながら返事を返してきた。
カイルたちにとっては始めてみる笑顔対決だ。
いい加減飽きたか、そのうちは表情を緩めた。
「んじゃ、俺先に行くわ。マリーさんにも会いたいし」
「ああ、マリーくんも会いたがっていたから、いってあげるといい。右端の宿屋にいるよ。・・・その前にカイル君たちをまたなくていいのか?」
「俺が難しい話とか苦手なの知ってるでしょ?レンズの話しなんて聞きたくないし。井戸端会議はまた今度」
そうだなと頷くウッドロウにじゃ、と手を振ると、はカイルたちの間を通って玉座の前をあとにしようとした。だが、急に立ち止まると、何かを思い出したように「そうそう」といってウッドロウのほうに振り返った。
「気をつけてね。平和ボケしてっと痛い目みるぜ」
「ああ、承知しておくよ」
「鐘が鳴った時にご注意。じゃね、ウッドロウ」
「・・・?ああ」
一つウィンクをすると、はまた手を振って玉座をあとにした。
外に出て宿屋はこっちかなと一番下の出入り口辺りまで歩いていると、火のついたドラム缶の所に、ジューダスが一人で座っていた。
はそれに気付くと、道を逆流していった。
ジューダスはカイルたちと別れた後、町の入り口近くの、誰もいないドラム缶の傍で温まりながら座っていた。さすがに何もない公園やなんかで長時間いるのは凍えてしまうだろう。
人の歩く音もせず、雪の降る音などあるはずもなく、火がぼうぼうと燃える音以外はほとんど無音のその白い空間で、ジューダスは足を抱えて座りながら色々なことをぼんやりと考えていた。
元来一人の時間は嫌いじゃないジューダスは、久々に手に入れたこの自由時間を満喫していた。少し寂しい気がするのは、いつもそばにいて煩く騒ぐ彼女の所為か。それともなんだかんだいってすっかりなじんでしまっている仲間たちの所為か。
どちらにしろふと寂しいなどと思ってしまったジューダスは、色々な意味をこめてふっと自傷気味に笑った。
そんな一人の世界を堪能していたジューダスは、急に頬に物が当たったような違和感を感じた。
あまりに頬が冷えてしまっていたためか、少したってから、頬に当たるそれが暖かいものだと気付いた。
「・・・!」
驚いて頬にあたった−−−というか触れてきた−−−もののほうに目をむけると、それは紙コップに入った少し熱いくらいのコーヒーだった。
「おすそわけ。冷え切っちゃてる身体におすすめよ」
コーヒーについている指から視線を段々上に挙げていくと、顔を見る前にいつも聞いている声が振ってきた。
「いつから飲食店のバイトを始めたんだ?」
「キャッチセールスの一環と言ってほしいな。ついでにこれは俺の趣味」
ため息をつきながら大人しくコーヒーを受け取ると、ジューダスはにつっこみながらコーヒーを口に一口含んだ。
味よりもじわっと身体の中に広がった温かい感触にほっとため息をつくと、暖かいものが近くにある所為でおこる現象によりズッと鼻をすった。コーヒーのおかげで温かくなった手で鼻を触ってみると、結構な冷え具合だ。
上からフッとため息混じりに笑った声が聞こえたかと思うと、ジューダスは頭をさらっとなでられた。
性格の特徴からいっていつものようにムッと眉をひそめて上をむくと、頭をなでた張本人が苦笑いした。
「まぁ、ごゆっくり。一人の時間を堪能してすごしてくださいな」
「・・・・なんだ、珍しいな」
さくさく雪を踏んで手をひらひら振りながら、ちょっかいも(一回しか)ださずにどこかへいこうとするに、ジューダスは心底驚きながら声をかけた。
「たまには一人でいたいだろ?お前」
くるっと振り返って返してきたの言葉を聞くと、ジューダスは一瞬固まってそれからフッと笑った。
「よくわかってるじゃないか・・・」
「伊達に一緒にいませんから」
マリーさんに会いにいってくるよ、といいながら、は歩いていった。
がいなくなった後をちらりと見ると、ジューダスは熱いコーヒーに息を吹きかけながら口元を緩ませている自分に気付いた。
「・・・寒い所為か」
ぼそりとつぶやくと、ジューダスはくっと笑ってまたコーヒーを口に含んだ。
「マリー〜〜〜〜〜さーーーーーん!!!!」
「!!」
宿屋に入るなり、は赤毛の図体のデカイ(失礼な)女性にまっさきに抱きつきにいった。
女性・・・こと少しふけたマリーはに気付くと、顔をぱっと輝かせながら盛大に飛んでつっこんでくるをがっしり受け止めた。が、持っていた皿は落としていた。
「うわ〜〜〜久しぶり!」
「本当に久しぶりだな。しかし、ルーティの言ったとおりだ。昔と全然かわっていない」
ちょこちょこと跳ねて喜ぶの手をもちながら、マリーも同じくらい嬉しそうに笑っていた。やはりルーティから手紙がきていたのか、このトラブルメーカーの出現にも腰を抜かすほど驚いてはいない。
この根っからの天然が、たとえ手紙をもらっていない時にに再会したとしても驚くとは思えないが。(「久しぶりだな」で終わりそう)
とりあえずテーブルに座ると、二人はココア片手に色々と話し始めた。せめて椅子に座った方がいいのではないだろうか。
「この18年間どうしていたんだ。あの後、ルーティやフィリアたちが泣いて大変だったんだぞ」
「あはははは。ごめんてば〜〜」
「ジョニーも酷い落ち込みようだし歌も悲しいものばかり歌うし酒が入ったら泣き出すしで大変だったんだぞ」
「ジョニーさん?!いや、ていうかそこまで?!」
うそやん、と謎の言葉で驚くに、マリーは大げさに頷きながら「ああ」と言った。ちなみにジョニーの本当のところは半泣きだ。
があやまるだけあやまり話をそらすように「マリーさんこそどうだったのさ〜」と問いかけると、マリーは昔を思い出すように斜め上を見上げた。
「あの後色々と処理をして、それからここの宿屋におちついたんだ。といっても、処理の方にものすごい時間をかけてしまったんだがな・・・。ウッドロウの助けを借りてなんとかここまで立ち直らせて・・・・・。ダリスの墓も、ちゃんと作った」
「・・・・。マリーさん、ダリスさんのこと大好きだったもんね」
ぎゅっとココアの入ったカップをが握ると、マリーがそうだなといって苦笑いした。
「今でも時々、昔のことを思い出して無性に泣いてしまうことがあるんだ。だめだな、未だに乗り越えられずにいる」
「・・・そうでもないさ。ちゃんと地面の上で生きてるんだから、上等だよ」
「まだ後を追うことはできないさ」
の冗談に笑うと、マリーも珍しく冗談で返してきた。
少し笑いはしたがなんとなくしんみりとすると、が「らしくないね〜」と乾いた笑いをした。
マリーはを見ると泣きそうな顔になり、そんなマリーを見ておろおろしだしたをみて無理矢理笑った顔になると、持っていたカップを置いてきゅっ・・・と抱きついた。
「今の顔を見たらまた泣けてきた・・・・」
「マリーさん・・・・」
「あの時は色々ありすぎたんだ・・・。ダリスも、も、みんないなくなってしまった・・・・」
「・・・・・」
マリーの言葉を聞くと、はきゅっと眉をひそめて首に巻きついているマリーの腕をぽんぽんと叩いた。
「大丈夫、俺はここにいるよ」
「ああ・・・」
「・・・泣いてもいいんだよ」
「・・・ああ」
悪いことじゃないから。とが言うと、マリーは声を出さずぼろぼろ涙を流した。
たまにしゃくるマリーの腕の中で、はぐっと喉に力をいれて目を閉じた。
しばらくしてマリーが泣き止み、すまなかったとに謝っていると、城の方からドーーーンッッと地響きがするほどの大きな音がした。
なんだ?!と昔のように身構えながら立ち上がったマリーに苦笑いすると、は「心配ないよ」といって落ち着かせた。
「俺、行かなきゃ。またねマリーさん」
「行くって、城にか?!それなら私も・・・・」
「いいんだよ。マリーさんはここにいて。じゃ」
にっこり笑って挨拶すると、はカトラスをひっつかんで外へと飛び出した。
ばらばらと砂が崩れるように崩壊した城の一角の塔を見るけると、チッと舌打ちして城まで全速力で走り出した。
途中公園へ行く道に曲がると、ジューダスとロニが城を指差してなにやら話していた。
「ジューダス!ロニ!」
「!」
「行くぞ!カイルたちはこの先にいる!」
行くところ見たんかい、というつっこみは腹に押さえて、とりあえずはとっとと走り出したジューダスの後を追った。
「はあ〜ぁ・・・まったく。気まずく野郎と二人きりでいたと思ったら、次はこれかよ・・・」
「ってことは、ジューダスに怒られたんだ?」
「・・・・なんで分かるんだよ」
ため息をついて愚痴り始めたロニににやりと笑いながらが言葉を返すと、ロニはふてくされたような声で返事を返してきた。
はくすくす笑うと、「なんとなくね」と軽く返した。
「ロニに最初つっこんだときから怒るんじゃないかな〜ってね。あいつって結構先見通すの早いっていうか頭よすぎっていうか」
「あー。大当たりだよ。俺の言ったことも全部怒られましたー」
「ふははっ。あいつって結構教育熱心だからな〜」
「それにしたったよ、俺よりも歳がいってない奴がだぜ?あそこまで言われると自身なくすよなぁ・・・」
といってため息をついたロニに、は「元々頭悪いじゃん」といい、ズバッと裏手をうけることになる。
げほっとむせるとはケラケラ笑い、それから「まあ」とロニをなだめるように話しかけた。
「あいつも色々大変だったからなぁ。カイルと似たような状況があったんじゃない?昔。だから言いたくなったんだよきっと」
「そういうもんかぁ?」
「そういうもんだよ。早いうちにつっこんであげた方が恥ずかしい思いも少なくすむって・・・」
「オイ、無駄な話ばかりしてないでさっさと来い!」
「はいよー!」
の言葉の途中でジューダスが前から声をかけてきたため、は中断して返事を返し苦笑いした。
しょうがないわな、とロニも笑うと、ロニは急に走る速度をあげた。
あ、ずっりー!と怒るとむっとするジューダスはコンパスの長いロニに負けじと足を早く動かし、公園の真ん中でおろおろとしているカイルとリアラのところへと思ったより早くたどり着いた。
「おーい!カイルーっ!リアラーっ!」
「ロニ、ジューダス、!」
ロニがカイルに声をかけると、カイルもこちらに気付いてあっと振り向いた。
「城が大変なことになってるらしい、どうるする?・・って聞くだけ野暮だな」
「そういうこと!行こう、みんな!」
カイルたちのところに駆けつけた3人を見て頷くと、カイルは手を上げて気合を入れ、裏口から城へと突入していった。
仲間たちを置いて。
「ったく仲間おいてくバカがどこにいる!」
「ここにいるじゃん」
「だーからごめんて!」
崩れた塔から入っていった4人は、先に入って苦戦していたカイルを救出して2階の本館へと続く廊下を走っていた。
ロニがつっこんだ言葉を聞いてがカイルを指差すと、カイルは入っていったテンションそのままにがーっと腕を上げながら謝った。
「−−−!ダーゼンさん!!」
「くっ・・・!」
廊下のつきあたり近くで、怪我をして方膝をつくダーゼンと、ダーゼンを支えながら怯えている若い兵がいた。
それにいち早く気付いたはダーゼンたちのところへだっと駆け寄ると、膝を突いてダーゼンが何処を怪我しているのかを調べた。
「いたた・・・・。さすがに昔のようにはいかんな・・・・。だが、タダでは終わらせんかったぞ・・・」
ぜいぜいと肩で息をするも、ダーゼンの周りにはモンスターがつけていたらしいレンズが落ちていた。
はとりあえずダーゼンのところどころに流れている血を拭くと、そこら辺に落ちているレンズを拾い始めた。
「あーもー無理すんなっていっただろ年寄りなんだから!そこらへんの新兵よかマシだろうけどね、余命くらい残しとけっての!」
「バカいえ・・・・兵士が城を守らずしてなにを守る・・・!」
「いいからじっとしてて!」
未だに燃え滾る闘志を見せ付けてきたダーゼンだったが、に怒られると素直に大人しくなった。
なにをする気だ・・・?と首をかしげるカイルたちの前で、は数枚のレンズを手に目を閉じた。
「癒し・・・癒し・・・癒し・・・ヒールじゃだめだ・・・・キュアなんてできそうにない・・・癒し・・癒し・・〜〜〜あーーもう癒えやがれ!!ヒール!」
結局ヒールを唱えただったが、ヒールよりも少し回復力は増加していた。
初めて使う晶術でここまで威力を発揮させたをみて仲間たちは驚いていたが、ダーゼンは傷が癒えたのを見て「助かった」と不思議そうな顔をしながら指を動かしていた。
「じっちゃんはここにいて!みんな、行こう!」
「合点!」
ダーゼンを若い兵士に頼むと、たちは本館まで一気に走っていった。勢いであだ名をつけられたことにダーゼンは後で気付くことになる。
本館の開けた大廊下の入り口では、傷ついた兵士たちが倒れ、あとは今からつっこもうとする兵士や腰を引いている兵士たちでごったがえしていた。
それらの間を「どけー!」といって通ると、5人は刀を構えてタイガーマスクを改良したようなものを被った変な男の前にでた。
「我が名はサブノック!おのが信念に命を賭する騎士なり!」
男が声をあり上げると、男の後ろにいたらしい大型のネコのような、錘つきの鎖を身体に巻きつけた銀色のモンスターが威嚇するように吼えた。
「カイル!急がないと、ウッドロウさんが!」
「わかってる!邪魔するって言うなら、力ずくでもここを通してもらうぞ!」
ロニがチッと舌打ちをしながらコルセスカを構えると、カイルもブロードソードをザッと引き抜き前に構えた。サブノックは戦う気満々の二人を見るとにやりと笑い、それから刀を構えて楽しそうに言葉を発し始めた。
「まいられよ少年!貴公の信念と我の信念、どちらが強固か戦いによって証明しようぞ!」
「えーい黙れこのエセ武士!刀構えといて騎士とかナリとかいうな!大体喋ってる言葉めちゃくちゃなんだよ!品があるんだか無いんだか三国志にでてくる武将の喋り方みたいなのか幕末の武士みたいな精神もってんのかごっちゃになったような意味不明なこと言うな!」
「お前もわけがわからんぞお喋り」
長ったらしく喋って怒り始めたにジューダスがカイルたちと一緒に攻撃に出ながらつっこむと、はきぃーー!!と怒って騒ぎ始めた。
「だってーーー!!新撰組ファンとしては下手な武士道精神は許せないんだーーーー!!」
「知るか!戦え!」
じたばたと地団駄を踏むに見向きもせずにサブノックと剣をあわせるジューダスに、カイルとロニも続いて攻撃を繰り出していた。
ただつっこみをいれる余裕はないようだ。
「うわっ!なんだこいつ!」
パンッと刀ではじかれたかと思うと、想像していた以上にカイルたちはふっとばされた。それに驚いてカイルが声を張り上げると、サブノックはにやりと笑った。
「みんな、あいつもそうだけどまず先に後ろの変態トラを殺ろう。あいつは魔法で援護してくるから先にヤッとかないとめんどうだ」
「どうやってさ」
ひそひそと話しかけてきたにカイルが顔をサブノックへ向けながら問い返すと、は全員の顔を近づけさせてひそひそと作戦を言った。
OK?というと、全員「おう!」と・・・リアラをぬかして返事をし、それから一斉にサブノックにつっこんでいった。
まず最初は、リアラのストラスファングから始まった。
「いきます!ストラスファング!!」
「フンッ、どこにうって・・・・・オセ!」
「いけ、ロニ、カイル!」
リアラの攻撃によってできた隙を見て、が手前を走っていたロニとカイルに声をかけた。
「OK!」
「おう!」
同時に返事を返すと、ロニとカイルはサブノックにそれぞれ剣をふるった。
サブノックはそれをなんとか受け止めたが、次のところまでは腕も足も届かなかったらしい。
「行くぞジューダス!」
「ああ!」
「なに?!」
カイルとロニに差し押さえられているサブノックの横を通って、とジューダスが後ろにいたオセに得意のスピードを生かしてつっこんでいった。
サブノックの援護をしようと晶術を使う途中だったオセは二人に驚いたが、もはや後の祭りだった。
攻撃しようにもできないほどの速さでとジューダスに攻撃され、あっけなく倒れてしまった。・・・・ようは袋叩きだ。
完全に倒れてしまったオセを見ると、はいきなり高笑いしはじめた。
「わーはははは!作戦成功!」
「リアラに晶術を使わせ別の意味で攻撃の隙をつくり、僕たちの中でも防御力の高いカイルとロニにサブノックを食い止めさせ、スピード重視の僕と二人でつっこんで先に邪魔な大ネコを倒す・・・・お前にしては考えたじゃないか」
「生まれもっての天才肌ですから」
「ウソをつくな痴呆娘」
が胸をはりジューダスにつっこまれていると、サブノックがカイルとロニを突き飛ばした。
それから一人で「うぉおおおお!!」と叫ぶと、たちを見回して「許さん!」と叫んだ。
「絶対に許さんぞ!!」
「煩いな。元はといえばこんなところにつっこんできたお前が悪いんだろー?恨むんならオセの実力の無さと捨て駒として送ってきた親玉を恨むんだね」
「頭の悪い返答だな」
「オリャそこまで無駄なことに頭使わない主義なの」
「はいはい口喧嘩はそこまで。さっさとこいつブッ倒して、ウッドロウのところへ行こうぜ!」
ロニの言葉に「あたぼー」と返すと、はジューダスと並んでまたカトラスを構えた。
サブノックはぴたりと動きを止めると、急に高笑いしはじめた。
それに驚いたとカイルはびくっと肩を震わせ「なんだ?!痴呆か!?」とリアクションよく返したが、ジューダスによってつっこまれた。
「笑止!我に勝とうなど100年早いわわっぱどもめが!」
「こんな言葉を知っているかい年増。寄る年には勝てない」
「ふん、片腹痛いわ!!」
バッと攻撃をしかけたのカトラスを左に流すと、サブノックはそのまま刀の向きを変えて左斜め下からザッと剣を上げた。
だがはそれを後ろに跳ね飛びカトラスで流すことにより紙一重で避け、また前につっこみサブノックの刀とガッと音を立ててカトラスを交わらせた。
「はッ!」
ロニとカイルがその横から飛び掛ると、サブノックはのカトラスごと3人を吹き飛ばした。
「心眼・無の太刀!!」
吹っ飛んだ3人にそのままサブノックが攻撃をしかけてき、一番前にいたはカトラスを縦に床に突っ立てて衝撃を少しだけやわらげた。が、やはり防ぎきれないところは当たってしまい、腕や足のところどころに傷ができた。
「チッ!」
「ネガティブゲイト!!−−−いけ!ロニ、カイル!!」
「「おう!!」」
上手く動けなくなったが舌打ちをしていると、ジューダスがサブノックに向かってネガティブゲイトを撃った。
空間の歪みに挟まれ身動きが取れなくなっているサブノックにロニとカイルがつっこんでいくと同時に、リアラがにヒールを使った。
「サンキュ!」
「いいえ!−−−バーンストライク!!」
「・・・強ぇ」
ヒールに続いてバーンストライクをかましたリアラに感心すると、は前で戦うカイルたちに混ざりに前線へと走った。
「ヘイ☆またせたぜベイベー!」
「まってないけど手伝って!」
「OK!いきます、ナンバー3!しびれルンバ!!しびれ〜〜〜ろぉ〜〜〜〜♪イエーーーイ!!」
「やめれーー!!」
サブノックもしびれたが仲間もしびれた。いつの間にギターを出したのか、しっかりと演奏までしている。
とりあえず隙ができたサブノックに3人がつっこんでいると、がまたもギターをじゃろんと鳴らした。
「続きまして〜ナンバー5!なかよしワルツ!!」
「もう歌うな!!」
「ラララララ〜〜〜〜♪」
「・・・・あ、回復した」
カイルのつっこみも気にせずが歌うと、ふと軽くなった体の感触に驚いてかリアラが間の抜けた声をだした。だが歌詞は忘れていたらしい。体力の50%ほどは回復しなかった。
それを聞いて「そうだろ?」というと、はギターをサブノックに投げつけた。それによってカイルとロニとジューダスが引き、サブノックがのけぞった瞬間、一気につっこんでいった。
「どーりゃせいっ!!」
掛け声はなんともいえなかったが、サブノックの左肩から下までざっくりと斬ると、間をおかず脇から横に一直線にザッと斬り入れ、そのまま形よくスタッとしゃがみ立ちした。
「し、信じられん・・・・・!」
消えそうな声でそういうと、サブノックはばたりと倒れて動かなくなった。
それを見届けてから立ち上がると、は返り血を腕でぬぐいながらふんと鼻であしらった。
「受け入れやがれ。・・・・ヒール!」
そのまま死なせるのかと思いきや、はサブノックとオセにヒールを唱えた。
「な、何故・・・?」
困惑しているサブノックとオセ、そして仲間たちの前で、はうん?と首をかしげ、それからにっこり微笑んだ。
「武士の情けだ・・・。さあとっつかまえろ兵士ども!」
「どこが情けだっ!」
サブノックがつっこんで立ち上がろうとしたが、さっと動いた兵士たちにより取り押さえられ、ロープでくくられたため身動きは取れなくなってしまった。ここまでくると情けどころではなく恥さらしだ。
拷問か、というサブノックに、はにーっと笑った。
「ばーか。牢屋に入ってゆっくりやすんどけってんだよ。そうすりゃ頭も冷えるだろ」
「どっちだ」
「・・・なにを改めさせるつもりだ」
さりげなくジューダスがつっこんだが、今はサブノックが優先された。
「自分が置かれていた立場(捨て駒)を確認して、これからのことでも考えておけ」
「どういう意味だそれはっ」
こんな終わり認めんぞーーー!というサブノックに、はケラケラ笑いながら「やーいやーい」と両手を振った。
「認めたくもなくなるだろうこんな戦い」
同情するようにいったジューダスの言葉を聞いて、確かに。と、そこにいたほとんどの人間が同時に頷いた。
こんな戦い方でいいのだろうかというつっこみはたくさん入るだろうが、とりあえず仲間あっての行動ということで、流しておこう。
そんなこんなでサブノックを倒した5人は、いそいでウッドロウの元へと向かった。こんなことで大丈夫なのだろうか。それは誰にも分からない。
続く
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眠たーーっっ。てかもうすぐ50話いくよ!ってことは・・・・にいくころに50話か(どこよ)
なんだか久しぶりに戦うところ書いた気がする・・・・・でも途中から・・・・・こんな戦いってあるかよ!!!(ないだろうよ)
ギター投げる時点でなにか間違ってますよね〜。
そりゃあ仲間も避けるわ。
ていうかサブちゃん、なんで切って避けなかったの?(それはドリームだからです)
もうなんでもありだね。こりゃあいけない!少しは現実味あふれる戦いをしなくちゃ・・・・。(きっと無理)
イーい具合に反省もできなくなったところで終了☆てかマジ眠い☆もう無理だって自分☆
ここまでよんでくださったかた、ありがとうございましたー!!
すんません。最遊記見に行ってきますーーーーーーー!!!(ゴラ/現10/17 PM19:02 田舎はBSで一日遅れ)