後ろでは剣の交じり合う音、すぐ下ではカツカツという足音、そして前からは、耳障りな機械音が聞こえてきた。
しかも、鬱陶しいほど眩しい。
「・・・・・ウザっ」
「まだ喋れたか?ゴキブリ並の生命力だな」
「人のこと言えないだろ」
つっこんだ後、は酷い眩暈に襲われた。
なんとなく腹が立ったのでミクトランに八つ当たりをした。







my way of living 38
〜やっとこさ最終決戦。長いんで目薬よーうい〜








「蹴らなくてもいいじゃないか」
「つっこませんな・・・くらくらする・・・・」
「元気なのもいいが、しおらしいのもたまにはいいかも」
ガスッと、今度は肘鉄を入れた。
うっ、とうめいたものの、目を開けてみてみるとミクトランはまだ笑顔だ。
「やっぱり、そっちの方が君らしいね」
こいつもうだめだ。と内心ため息をつきながらは目を閉じた。
運ばれながらの会話というのは大変嬉しくない。何せ主導権はすべてミクトランにある。まあ、ミクトランがを落とすとは思えないが。
神の眼の光が少しだけ弱まったかと思い目を開けてみると、神の眼からそれた所にある、床から10センチほど離れた檀の上に降ろされた。
「ぅ〜・・・・」
「血を流しすぎたからね。そうなるのもしょうがない。死んでもすぐに生き返らせてあげるよ」
スタンたちと向かい合っていた時とはまったくの別人だ。
アホちゃうか、と何故かどこかの方言交じりでまたも内心つっこんでいると、寝転がっていたの頭をミクトランがなでてきた。
「なんだか子供を見てるみたいだなぁ」
ガキ扱いかよ。っう・・・」
ガバッと起き上がって裏手突っ込みを入れただったが、その後またもくらくらと目を回して倒れた。
ミクトランはミクトランで律儀につっこんでくるを可笑しそうに笑っている。
「そういえば数日振りだな。君にこうして触れるのは。いや1000年ぶりか?」
「知るか・・・」
「あの状況でもきっとここまできてくれると思ってたよ。まぁ死んでも海から引き上げて生き返らせてたけど」
「ゴキブリですから」
にっこり笑って言い切ったミクトランに呆れながら、はさらりと言葉を返した。
ゴキブリ発言をがすると、ミクトランはおやおや、と言って肩を竦ませた。
「まだ根に持ってるのか?こんな可愛いゴキブリなら私は一生飼いならすよ」
「キモイこというな変人」
「天才はよく変人と間違われるものだよ。可愛い発言はちょっと自分でも引いたけど・・・」
「いや、なら言うなよ。つかお前のは根本的におかしい。変態の域に入りかけてる」
「酷いなぁ。を相手にしたときだけさ」
「死に掛けの人間ナンパすんなやバカの天才」
「天才バカボンと一緒にされたくはないな」
「知ってんのかよ」
等々、大変意味の無い会話を繰り広げていると、階段を登ってくる足音が聞こえてきた。
「君との話しはまた後になってしまったようだ。少し行ってくるよ」
「まっ・・!」
手を伸ばし、まて、と言いかけて、は自分でなにをしたかったのかと驚いた。
これからスタンたちが来て戦いが始まり、ミクトランは死ぬ。
ここで引き止めて自分はなにがしたかったのか。
伸ばした手も開いた口もそのままに、は固まってしまった。
それに気付いたミクトランは首をかしげると、ふっと笑って額に一つキスをした。
「な、なんばしよっとね!?」
「不安そうだったから」
わけのわからない言葉を発したを見て笑うと、ミクトランは一言言って神の眼の前まで歩いていった。
両手で額を押さえると、は力尽きたようにがく、と手を下ろし肩を下ろした。
少ない血だがかすかに顔に熱が集まっていることが分かる。
「なんなんだもぅ・・・・」
ベルセリオスを取り出してスタンたちとにらみ合うミクトランを見ながら、は小さな声で「へんたーい。少女趣味ー。メールヒューン」と言葉を投げた。もちろん聞こえるわけもなく、聞かせる気も無いのだろうが。
とりあえず言いたいことを言うだけ言うと、はため息をついて目を床に下ろした。
「つまんなーい」
仲間たちが聞いたら、まず袋叩きは決定だ。


やむなくリオンを倒したスタンたちは、その後走って神の眼のある奥へと進んでいった。
「いたぞ!ミクトランだ!」
も一緒だわ!」
「生きているんでしょうか・・・」
「顔が真っ青だ」
走って短い階段を登ると、奥の方に神の眼がぽつんとある、広い部屋に出た。
床は黒く深い色で、天上は丸くかたどられている。入り口にあった白い装飾もついている。
入ってまず目に入ったのは神の眼だったが、その次にぐったりと端で横たわるを見つけた。
一瞬、スタンはから離れてきたミクトランと目があった。
目があったかと思うと、ミクトランはすぐ目を離した。他の仲間たちを見ているのだろう。
一人一人見渡すと、ミクトランはまたスタンと目を合わせた。
ゆっくりゆっくり、ベルセリオスを抜き出しながら神の眼の前まで歩いていく。
「フフフ、性懲りもせずにやってきたようだな」
「ミクトラン!」
ニヤリと笑ったミクトランに、スタンがディムロスを構えながら怒り交じりの声で答えた。
4人を前にしても不敵な笑みをこぼすミクトランに、今度はディムロスが噛み付いた。
『追い詰めたぞミクトラン!今度こそその息の根を止めてやる!!』
「よくもリオンを・・・!絶対に許さない!!」
続けざまにルーティが怒鳴ると、ミクトランは思い出したように「ああ・・・」と言って一つ頷いた。
「そういえば弟だったのかな?ルーティ・カトレット。いやいや、余興としては面白い見世物だったよ、諸君」
「き、貴様…人の命をもてあそぶなんて、許さない!」
カッと目を見開いてあまりの怒りに涙まででそうになっているルーティの隣から、スタンがディムロスを持つ手を震わせながら怒鳴った。
「まだ懲りてないと見えるな。お前ごときに何が出来る」
「この間と一緒にしないでよね!」
『もはやお前にアドバンテージはない!』
ルーティとディムロスがすぐに言い返すと、ミクトランは楽しそうに笑い、声を張り上げた。
「ならばかかってこい!我が力を思い知らせてやろう・・・・。デモンズランス!!」
「散らばれ!!」
いきなり攻撃をしかけてきたミクトランに臆せず、全員さっと散らばりミクトランを囲んだ。
「周囲から多重攻撃をかけるんだ!」
「エクスプロード!!」
ウッドロウの言葉を聞くや否や、フィリアがクレメンテを大きく振って上にかざした。
その後フィリアに続いてスタンが魔王炎撃破で切り込み、ルーティがブリザードを撃った。
「ぐぁ!っく・・・おのれ・・・ヘルスライサー!」
「うわぁああ!!」
斬り込みにいったまま一番近くにいたスタンが食らうと、今度は入れ替わりにウッドロウが裂空刃で斬りこんで来た。
それを勢いにして、スタンたちはまたどんどんとミクトランに攻撃を仕掛けていった。
「フレアトーネード!」
「閃空裂破!!」
それらが全て当たると、ミクトランは後ろへ吹っ飛び床に倒れた。
肩で息をしながら全員がそれを見た。
「やったの・・・?」
「いや、まだだ!」
ピクリと動いたミクトランを見て、ウッドロウが剣を構えなおした。
「随分と楽しませてくれるじゃないか。ならば本気をだすとしよう。1000年前のあの時と同じようにな!」
立ち上がったミクトランがベルセリオスを上へバッと引き上げると、神の眼が共鳴するように光り始めた。
「神の眼がっ!」
「光を放ち始めた!?」
『神の眼のエネルギーがミクトランに流れ込んでいます!』
イクティノスの言うとおりなのか、神の眼から発せられるような光がミクトランにも移っていく。
その次に起きたミクトランの変化に、思わず誰もが息を呑んだ。
「あいつ・・・・ソーディアンと一体化していくわよ!?」
『奴め、正気か?!』
ベルセリオスとミクトランの手がどろどろと溶け、柄の部分から先以外、ミクトランの腕と一体化した。
剣と手の境目は、ベルセリオスの黒と人間の皮膚が交じり合い分かれ目が分からなくなっていた。
体の役半分ほどまでに黒い血管のような筋が通り、どくん、どくんと脈打った。
「くっくっく・・・・力が・・・力が満ちてゆく・・・・見よ!新たな生命の誕生だ!!」
ばっと手を広げたミクトランを見て、そこにいた全員が顔をしかめた。
『醜悪ね・・・・新たな生命とは、よく言ったものよ』
アトワイトが言うと、フィリアとルーティがこっくりと深く頷いた。
かなり気持ち悪い。
だが、そうも言ってられなかった。
「この世界は私のものだ。死ね!虫けらどもめ!・・インデグニション!!」
カッと光ったかと思うと、全員が立っていた場所の5メートル後ろへ吹き飛ばされていた。
あまりの衝撃にスタンたちがうっ・・・とうめきながら動けないでいると、アトワイトが『何て力なの・・・!!?』と声をあげた。
『神の眼の力です!神の眼の力を引き出して使っているんです!!』
「その通り」
イクティノスが言った言葉にミクトランが反応した。くっくっと喉の奥で笑うと、地面に倒れるスタンたちを見て不敵に笑った。
「神の眼の無限に近い力を、私は使いこなせるのだよ」
「ホーリーランス!!」
ミクトランが話している隙に準備をしていたのか、フィリアが攻撃にでた。
だがミクトランはフィリアの方をちらりと見ると、自分の周りに現れた光を腕を一振りして全て消し去った。
「そんな・・・!」
「エクスプロード!!」
ミクトランが呪文を叫んだ瞬間、フィリアの目の前に赤に近いオレンジ色の光がチカッと光った。
はっと気付いたときにはもう遅く、フィリアはいきなり起きた爆発に呑まれ、壁まで吹き飛んだ。
「きゃああ!!」
「フィリア!」
壁に飛ばされ意識を失いかけているフィリアに、ルーティが急いでヒールをかけた。
なんとか起き上がったフィリアはふらふらしながらもルーティたちのところへ戻ってきた。
「くそ!!でやぁぁああああ!!」
「はぁぁああ!!」
スタンとウッドロウが、余裕綽々でその様子を眺めているミクトランに剣を振りかざしつっこんでいった。
それに続いてルーティとフィリアも晶術を唱えようとソーディアンを構えた。
もう少し。あともう少しというところで、ミクトランがベルセリオスをを構えた。
「サイクロン!!!」
ミクトランが叫んだ瞬間、スタンたちは大きな竜巻にのまれた。
「「「「うわぁぁあああ!!!!」」」」
高くまで巻き上げられ、それから一気に床に落とされた。
誰も動けない。


つれてこられた部屋の端で、 は仲間たちの戦いをただ眺めていた。
まぁた動かねえのかよこの身体は、と自分に文句をいいつつも、動けたとしても今入れないなあと呑気に考えていた。
仲間たちが死にかけている。
今すぐ動かなければ。
「・・・・っく!!」
腕をついて上半身を持ち上げた。しかしそれ以上力が思うように入らない。
動け!と何度も念じながらやっと座った状態まで身体を起こすと、いきなり強い風にびゅうっと吹かれ、後ろに倒された。
「うわっ!」
抵抗のできない体の所為でダンッ、と床に叩きつかれた。肺を強く打った所為か呼吸をするのが苦しい。
「「「「うわぁぁあああ!!!!」」」」
スタンたちの声が聞こえる。みんな頑張ってる。
そう思うと、は動かずにはいられなかった。
冷静に考えると動けない体で行っても邪魔になって無駄だとわかるのだが、それでもと思い、とりあえず最初の位置までなんとか身体を回した。
スタンたちがばらばらにちらばって倒れている。
ぎりっと歯を食いしばり、もう一度上半身を起こそうとしたときだった。
「イカスヒップーーー!!!」
何かが飛んできた。
大変当たりたくない。
が呆れていると、続けざまにミクトランに攻撃が仕掛けられた。


「烈・魔神剣!!」
「飛燕!!!」
縦に青白い光が飛んで行ったかと思うと、ミクトランの足元で爆発した。
その後上空から鋭い矢が3発ミクトランに撃たれた。
コングマンとマリーとチェルシーだ。
「うあぁ・・・!!」
「ヘイヘイヘイヘーイ!どうしたんだい〜?俺たちを置いていったバチが当たってるのかい〜?」
最後に現れたのはジョニーだった。いつものようにハイテンションで現れた。
みなさん!!どうして!!?と驚くスタンたちに、コングマンが息巻いて説明した。
「助手の野郎を脅して飛行竜を戻らせたのさ!」
「違いますよコングマンさん!説得したんでしょぉ?!」
パンッと手を合わせながらいったコングマンにチェルシーがあわててつっこんだ。
なんだか和気藹々としていると、攻撃をくらって少しふらついていたミクトランが立ち上がった。
「新手など・・・いくら来ようと・・・」
ミクトランがぎっとスタンたちを睨んだ時だった、ウッドロウがだっと走って先制攻撃に出た。
「陽炎!!」
それがヒットし隙ができたのを見て、スタンとコングマン、マリーとジョニーが一斉に攻撃にでた。
スタンはまん前から斬り込み、コングマンはその後入れ替わりで4発急所に拳を入れた。
マリーはコングマンが引いた直後、横からざっくりと斬り入り、ジョニーは・・ぶん殴った。
「おのれぇぇえ!!インデグニション!!」
「バリアー!!」
ミクトランが晶術をかけたのと同時に、ルーティが前線に出ていたスタンたちにバリアーをかけた。
マリーたちもバリアーに隠れ、振ってきた雷をなんとか耐えた。
雷が収まると同時にバリアーは崩れ、スタンたちはまた斬り込みに走った。
だが、先ほどと同じようにミクトランの懐に、というよりも、間合いにすら行くことはできなかった。
「エクスプロード!!」
「「「「うわぁああ!!」」」」
起きた爆発によって、4人は後ろまで吹き飛ばされた。足元にどさ、と倒れこんできたスタンたちを見て、ルーティがアトワイトを構えた。
「スタン!マリー!くっ・・・・・ブリザ」
「無駄だ!!メイルストローム!!」
ルーティたちの足元から部屋のほぼ全体の空間がゆがんだ。大きな渦だ。
悲鳴を上げる間もなく、全員が渦にのまれた。
晶力が切れ全員が床に落ちると、ミクトランは声をたてて笑った。
「ははははははっ!所詮その程度だ。貴様らは無力なのだよ・・・」
余裕の笑みを浮かべ、ミクトランが言った。全員床に倒れてる。
「・・・・っ!まだだ・・・・!!」
ぐっとスタンが腕に力を入れた。そのまま上半身をあげると、膝をつき、ディムロスを床についてなんとか立ち上がった。
「諦めてたまるか!!・・・爪竜連牙斬!!!」
ガッと床を蹴って、スタンはミクトランにつっこんでいった。
しかし、・・・やはりというべきか、スタンはミクトランに一撃ではじき返されてしまった。
「無駄だ」
スタンを飛ばした腕を下げながらミクトランが言った。声がやけに耳に届く。
今度こそ終わりか、というときに、スタンがまたゆっくりと立ち上がった。
「まだだ・・・・・まだ負けない・・・・。お前の好きには、させない!!させるわけには・・・いかない!!!」
ぼろぼろの身体でディムロスを構えると、後ろで倒れていたウッドロウやルーティ、フィリアたちも立ち上がり始めた。
「・・・っその通りだっっ!!」
「・・・・いっつも、あいつの勢いに乗せられちゃうのよね・・・!」
「・・・それが、スタンさんの力ですっ・・・!!」
立ち上がると、全員ソーディアンを構えた。身体はもうボロボロだったが、目は死んではいない。
そんな4人を見ると、ミクトランは目を細め静かに喋り始めた。
「地上の民の執念には恐れ入るよ・・・。だが・・・・これで終わりだ!」
神の眼がカッと光ったかと思うと、ミクトランがソーディアンと一体化した方の腕をぶんっと振った。
それと同時に地面すれすれに白い光がシャッと走り、スタンたちに当たるとドォォッッ!!と大きな音をたてて爆発した。
「「うわぁぁあああ!!」」
「「きゃああああ!!!」」
4人が後ろに吹き飛ばされると、アトワイトが『もう、どうすることもできないの!?』と泣きそうな声で叫んだ。
「まだだ・・!!まだ負けない!!」
ググッと立ち上がると、スタンはミクトランに向かって走っていった。
「ならば死ね!!」
「うぉぉぉおおおお!!!」
ガキィッッ!!と、剣と剣の当たった音が部屋全体に響いた。スタンとミクトランが何度も何度もぶつかり合っていると、ルーティが立ち上がり、スタンを回復させた。
「キュア!」
「サンキュルーティ!!」
「くっ・・・!!こざかしい!!」
礼をいいながらミクトランと競り合うスタンの腕には力が戻ってきていた。
しかし、そのスタンの剣を横に流すと、ミクトランはまた神の眼の力を使い、スタンとルーティを吹き飛ばした。
ルーティは素直に吹き飛ばされてしまったものの、スタンは先ほどのキュアで体力が戻ったのか、途中でなんとかふんばり立ち止まった。
「まだ・・・・・まだだ・・・!!皇王天翔、翼!!!」
バッと後ろに下がったかと思うと、スタンは炎をまといもの凄い速さでミクトランに突進していった。
「ぐぁぁあああああああ!!!」
ダァンッッ!!!と大きい音が立ったかと思うと、ミクトランは神の眼の手前まで吹き飛ばされていた。
相当なダメージを受けたのか、肩で息をしながらゆっくりと立ち上がった。
「うぉぉおおおお!!」
立ち上がったばかりのミクトランにスタンが斬りかかった。
それを寸前で受け止めると、ミクトランはぐぐっとかけられた体重をなんとか横に流し剣を振った。
右側に流されたスタンはすぐに体制をととのえると、ミクトランの剣を急いでうけた。
ガチィッッ!!と剣のこすれあう音が響く。
「っでやあああ!!」
ガンッとミクトランの剣をはじくと、スタンはそのまま斜めに剣を下ろした。
下ろした剣はミクトランの胸からわき腹の辺りまでざっくりと斬り、スタンはもう一振り、少しずらして斬りこんだ。
「うああああっっ!!」
2度連続で斬られたミクトランは倒れこんだ。スタンがトドメをさそうとディムロスをかざしたときだった。
「くっ!!おのれぇ!!はぁっ!!」
「うわぁあ!!」
バッとミクトランが剣を振ると、白い刃が飛んだ。なんとかディムロスで受け止めたスタンだが、数メートル後ろへ飛ばされてしまった。
起き上がろうと前に腕を付いたときには遅く、顔のすぐ横にベルセリオスをつきつけられてしまった。
「・・勝負、あったな」
にやりと不敵な笑みをミクトランが浮かべた。スタンはその目をキッと睨んだ。
「スタン!!」
「スタンさん!!」
「スタンくん!!」
ルーティたちがスタンの名を呼んだが、もはや何の意味もなかった。ミクトランがスッと腕をあげる。
「く・・っそぉぉーーー!!!」
「死ねぇえ!!!」
「嫌ぁぁぁああああああ!!!」
「スタンくん!!」
ミクトランが剣を下ろした。スタンはディムロスを手に持ちながらまだ睨んでいる。
ルーティが床に目を伏せて悲鳴をあげ、フィリアがぎゅっと目をとじた。ウッドロウがスタンの名を呼んだときだった。
ザンッ、と、剣で何かを斬った音がした。
「・・・・スタン?・・・スタン・・・・スタン・・!!返事して・・・・」
「いや・・・・・・・」
ルーティは顔を上げられず、フィリアは目を開けられずにいた。
「うぉぁああああっっ・・・!!!」
聞こえてきた悲鳴はスタンのものではなかった。
二人ともバッとそちらの方を見た。
「!!?」
「っ!!さん!!」
今度はが動いていることに驚かされた。先ほどまで青い顔でぐったりしていたが動いている。
先ほどの何かが切れた音は、ミクトランの腕が切れた音だった。
のカトラスが血に染まって滴っている。
ベルセリオスを斬り取られると、ミクトランの身体は元に戻っていった。ベルセリオスも腕が付いたままだが、元の剣の形に戻っている。
「何故・・・・・・!何故だ・・・!・・・!!」
「さぁね。自分でもよくわかんないよ」
さらりと口から出てきた声は先ほどと違いはっきりしていて、ミクトランはさらに驚いているようだった。
光のない冷たい目には感情すら見えない。まるで動く人形だ。
遠くに吹っ飛び落ちているベルセリオスを拾うと、は静かにミクトランを見た。
「・・・私を、斬るのか
「うん。今はスタンたちを助けたい。大好きな人たちが地上に多くいすぎた」
がそういうと、ミクトランは腕を押さえながらゆっくりたちあがった。
神の眼がそれとともにまた光り始めている。
立ち上がり目があうと、ミクトランはに向かって走ってきた。
ミクトランを見ると、もベルセリオスを横に下ろし両手で掴み、走り出した。
「うぁぁぁああああああああ!!!」
「ぐぁっ!!」
ザンッッ、と一つ、横に傷が入った。その後は剣を振った遠心力を使い大きく身体を回転させた。
回っている間に剣を上にかざすと、ミクトランの右肩から斜めにザッと斬り入れた。
大きいがすばやいの動きに、ミクトランはもはや反応する術をもってはいなかった。
どさっと倒れこむと傷をおさえながら、ベルセリオスを片手で持って肩で息をするを見た。
「こうなるなら、あのとき断ってくれれば良かったのに・・」
「こんなことしなければ、あの時の質問に”うん”って答えたのに」
すぐさまが言い返すと、ミクトランはふっと笑った。
「そういうことは・・・・もっと早く言って欲しかったな・・・・」
そういうと、ミクトランは静かに目を閉じた。
しん・・と静まり返った後、はいきなりふらりと後ろに倒れた。
「うわっ!!!」
スタンが立ち上がりなんとか受け止めると、は青い顔をして浅く息をしていた。
先ほどとはうってかわって、生気の無い目でスタンを見た。
「だめだぁ〜スタン・・・・からっぽだぁ・・・・。どうやら俺・・・本当にあいつのこと・・・・」
力の無い声、というかどちらかというとやる気をなくしけだるそう声で喋るだったが、その言葉の内容を聞いてスタンは「え!?」と驚いた。
・・・?」
「・・・惚れてたみたい・・・・」
今更分かっちゃったよ、と諦めたような声でいい、天井をぼけーっと見つめるに、スタンはどういっていいかわからなくなり口を閉じた。
スタンが口をつぐんだのと同時に、回復した仲間たちがどやどやと走ってきた。
「ちょっとスタン!!あんた生きてたんなら返事くらいしなさいよね!!」
「うあぁあルーティ!しょ、しょうがないだろ!に蹴り飛ばされて声でなかったんだから・・・・」
さん、大丈夫ですか?」
スタンとルーティがじゃれあいはじめると、周りも一気になごみはじめた。
スタンに受け止められているを見て、フィリアが顔を覗き込んだ。
フィリアに気がつくと、はフィリアの方を見た。何か言おうと口を開きかけたとき、ジョニーたちもやってきた。
「おい!大丈夫か!?」
「なんだぐったりして?」
「最初に酷く出血してな、貧血を起こしてるんだ」
リオン、という名前をださずに言ったウッドロウの言葉を聞いてジョニーたちは納得していたが、ルーティは一人沈黙した。
貧血なら大丈夫かとマリーたちがほっと息をついているときだった。
「ごめんみんな・・・・。俺・・・もちそうにない・・・」
?!」
「な、何言ってんのよあんた!!こんなとこまできて!!」
弱弱しいの声を聞いて、細かな事情まで知らないジョニーたちは驚き、ルーティが焦って元気付けた。
が、は首をふり、目を閉じた。
「なんか眠たい感じ・・・。頭いたいのも直ったし・・・・もういいかな・・・・・」
「だ、だめよ!なにいってんのよ!風呂入って着替えて酒飲むんでしょ!!?
「未成年でもよろしいんですか!?」
「この際許すわよ!!」
半場やけくそ気味になっているルーティだったが、他の仲間たちも同じく焦っていた。
「おい寝るなよ!!帰ったらまた歌わなきゃだろ!?お祝いしようぜ!こいつらにもラヴソング歌うんだろ!!」
「そうだぞ!ルーティとスタンで遊ぶのだろ!?」
「なにげに酷い・・・」
「おいコラ!!ノイシュタットのガキどもはどうすんだ!!」
「そ、そうですよぉ!!帰らなきゃみんな悲しみます!!」
次々と集まってはたくし上げたが、はうっすらと開いた目でぼーっと天井を見上げるだけだった。
「いつもみたく煩くしてもらわなければ、こちらも張り合いがなくなってしまうよ」
「そうですわさんっ。一緒に、コントするんでしょう??」
フィリアが泣きながら言い出すと、チェルシーやルーティまで目に涙を浮かべだした。
「なにボサっとしてんのよ!いつもみたくボケなさいよ!!」
「ミクトランを倒した英雄が、帰らなくてどうするんだよ!もう、犠牲なんていらないんだ・・・!!」
涙声になりながらルーティが言ったあと、スタンが同じく泣きそうになりながらに話しかけた。
そこまできくと、はゆっくりと全員の顔を見た。
「ありがとみんな、心配してくれて・・・。スタン、ミクトランは俺が倒したわけじゃない・・・あそこで俺がでてこなければ、恐らくスタンが倒してた・・・。いや、スタンが倒すはずだった・・・」
とスタンに言うと、「ま、どうでもいいとして・・・」とは適当にくぎりをつけた。
「みんな、帰っても俺のことで暗くならないで・・・?むしろさ・・・こんなバカやってたよなぁ〜・・・とかいって・・・笑っててよ・・・」
・・・」
「折角のお祝いだからな・・・邪魔したくないし・・・・なにより俺楽しい方が好き・・・だから・・・・ね・・?」
にっこりと笑うを見て全員が眉をひそめた。
「歴史に俺の名前は残さないで、楽したいから・・・・・。・・・あーあーもー。なんて顔してるんだよみんな・・・・笑え。な・・?」
こんなときにまで冗談を言っているだったが、誰も笑いはしなかった。
つっこみすら失笑すら入らず、ただみんな悲しそうにを見るか泣くかのどちらかだった。ボケ役としては一番辛い。すべったのだ。
・・さんっ・・・」
「泣くなよフィリア・・・」
・・・」
「うわ珍しい〜・・・・ジョニーさん元気ないねぇ・・・・」
「そりゃお前だ」
の冗談をジョニーがいつものように返すと、は嬉しそうに笑った。
「ありがと・・・みんな、俺ここで寝るよ・・・マリアンさんのご飯・・・もう食べられないの残念だけど・・・ノイシュタットのガキどもによろしく・・・」
!」
「おやすみ・・・・」
!おい!なに冗談いってんだよ!?笑えねえよ!!まだ寝るには早すぎるだろ!?おい!!」
「ジョ、ジョニーさん!」
か細い声を最後に目を閉じ、すぅっと息を引き取り動かなくなったの肩を掴んでジョニーが何度も呼びかけた。
がたがたと何度も肩を揺らすジョニーをスタンが何とか止めると、ジョニーは手を下げてうつむき、フィリアは本格的に泣き出し、ルーティはをじっと見つめ、涙を流した。
「いっそ安らかな顔をしている。・・・下ろしてあげよう、スタンくん」
「はい・・・・」
ウッドロウが言うと、スタンは身体をゆっくりと地面に寝かせた。
『・・・まさか、1000年後にこんなことが起きるなんて・・・・』
『考えられなかったわ・・・考えられないわよ・・・!!』
『ついさっきまでピンピンしてたのにの・・・・もう・・・死んでしまいよった・・・』
『・・・だからこなければよかったんだ!!来ても・・・あんな無茶さえしなければ・・・!!』
「ディムロス・・・・」
ソーディアンたちが口々に喋り、スタンがディムロスに声をかけた。
そのまま静かに全員が立ち尽くしていると、急にダイクロフトがゆれだした。神の眼も今までにないくらい光っている。
「なんだ、この揺れは!?」
『ダイクロフトが降下している!』
『神の眼が暴走しだしたわ!!ミクトランのむちゃくちゃな使い方の所為よ!!』
「どうすればいいの!?」
『私たちを神の眼にさせスタン!』
酷い揺れの中、スタンたちは神の眼の前に立った。



「ディムロス・・・・」
『いいのだよスタン。我らは長く生きすぎた』
「・・・・ぅぉおおおお!!!」
ガキィッッという音があたりに響いた。
『さあスタン、早く逃げてくれ!』
『私たちの行動を無駄にしないで!』
「・・・・・畜生!!」
スタンの悔しそうな声を最後に、数名の足音が横を通り過ぎた。
バチバチと酷い音がする。
一層揺れとその音が酷くなったとき、クレメンテが苦しそうに声をあげた。
『まだじゃ・・・!!まだ耐えるんじゃ・・!!!マスターたちが逃げ延びるまで・・・!!』
『うあぁぁぁあああ・・・!!』
『しっかりしろ!イクティノス!!もう少し堪えるんだ!!』
『・・っわかってます!!』
その後イクティノス、ディムロスと声を掛け合うと、アトワイトがちょっとまって、と声をあげた。
『この力・・・・私たちの力を超えているわ!!』
『なんじゃと!?』
『そんな・・!!』
『後一歩ってところよ・・でも・・届かない・・・!!』
『ここまできて・・!!』
悔しそうにディムロスが声をあげたところで、がぱっちりと目を開いた。
「あ・・・あれ・・・?おかしいな・・・」
確かにジョニーが自分の名前を呼んでいたところで意識が離れたはずなのに、と思いつつ、はぐぐっと上半身をあげた。
!?』
『お前、生きてたのか!?』
「うーん・・・なんかそうらしい・・・」
『あんな壮絶な死にかたしておいて・・・・』
あなたらしいです、と呆れたようにいうイクティノスににへら、と笑うと、は何とか立ち上がった。
「すまないねぇイクティンや。ディムさんもアトワ姉さんもおじいちゃんもお元気そうで・・・わしゃもぅ歳だよ」
『ふふふ、最後にまたその呼び名が聞けてよかったです』
「そういえばさ、まだ力が足りないっていってたけど・・・俺が飛び込むわけにはいかない・・?」
『んなことしたら余計に神の眼が力をつけるだろうが馬鹿者っ』
『ディムロス、さっきのが恥ずかしいからって八つ当たりはだめよ?』
「・・・八つ当たり?恥ずかしい・・?」
『う、煩い!』
神の眼にささりながら喧嘩する異様な剣を見ながら笑っていると、クレメンテが「そうじゃ!」と言ってに話しかけてきた。
『その階段の下にリオンがいるじゃろ!シャルティエもあるはずじゃ、なんとか持ってきてそれを刺してくれ!』
『精神を切り離しているかもしれないのに?!』
『やむおえん!いちかバチかじゃ!』
「OK・・。途中で倒れてぽっくり逝かないこと願ってて・・」
『お願いだから逝くな』
ファイト〜とソーディアンたちに無責任な応援をされつつ、は身体をひきずってなんとか階段の下までおりた。
見つけたリオンは青く冷たく、流れている血も綺麗な赤い色をしてはいなかった。
「ひでーの。ざくざく斬られてる・・・・。しゃーないか・・・頼んでたし・・・」
よいしょ、とリオンごともつと、はそれを引っ張って神の眼の前まで歩いていった。
「・・・・ふぅ、もって来たよ・・・・」
『あれ?その子まで持ってきたんですか?』
「ああ。刺すよ・・・・よっ」
力の入らない身体の体重をそのままかけてシャルティエを神の眼にさすと、バチバチとうるさくなっていた音が少し和らいだ。
『シャルティエ!』
『シャルティエ!!生きてますか!!』
『・・・うっ・・・・ん・・・?あれ?みんな?どうしたの??ってここどこ!?』
起きたばかりで混乱しているのか、シャルティエは声だけで大騒ぎした。
「おちつけーシャルー」
『あ、!坊ちゃん!生きて・・・るようには見えないね』
「うん。ミクラトンに生ける屍にされた」
『ああそうだ・・・・坊ちゃんが死んでから、あまりのショックで僕は・・・・』
『久しぶりですね、シャルティエ』
『ぅおぇえ!!?イクティノス!?いたの!?いや久しぶり。ていうか本当にここどこ』
『神の眼の中だ』
『うそ』
『本当よ』
先ほどから驚き放題のシャルティエだったが、そろそろだとクレメンテから声をかけられると全員騒ぐのをやめた。
『・・・そうか、ついにここまできたんだね・・・・。罪滅ぼしってわけじゃないけど、僕も協力させてもらうよ』
『こいつっ、調子のいい!』
「でも嬉しそうだねディムさん」
に痛いところを疲れると、ディムロスは『煩い!』と言った。そんなディムロスを全員が笑うと、そういえば、とシャルティエが声をかけた。
、逃げなくていいの?死んじゃうよ?』
「うん。どうせもう動けないし。今度は・・・・一人にさせたくないからね」
『え?っ!!ぅぁああっっ!』
『っく・・・エネルギー、限界点に達します!!』
なにを、と聞こうとしたシャルティエは、神の眼の力に押され言葉を失った。
はバチバチという音も発せず、白く光り輝く神の眼から目をそむけ、リオンに手を伸ばした。
「・・・このバカ。知らないうちに一人で勝手に死にやがって・・・・・」
ぼそりというと、はリオンを抱き上げた。
光り輝く神の眼の中から、クレメンテが嬉しそうな声をあげた。
『ようやくじゃ。1000年ごしにわしらは使命を果たす。ようやく、戦う運命から開放されるんじゃ・・・・!』
『ソーディアンは・・・もう・・・いらないのね・・・』
『さらばだ・・・スタン・・!お前は・・・私が認めた通りのマスターだったぞ・・!!』
ディムロスの言葉を最後に、神の眼が光り始めた。
「みんな、おつかれさま」
『ああ・・・おまえもな・・・』
ディムロスが答えて以降、ソーディアンたちは喋らなくなった。
「ったくこの坊ちゃんは。一言何か言ってけよ・・・。・・・違うね、ごめん・・・ゴメン、一人で死なせて・・・。今度は・・・一緒にいるから・・・・」
目を閉じてピクリとも動かないリオンを抱きしめると、は目を閉じた。
段々と神の眼が光を増している。目を閉じてもそれが分かるほどに。
静かに、そして急激に光が増したのを感じて、の意識はそこでとぎれた。




はっと気がついて、は辺りを見回した。軽い自分の身体に違和感を覚えつつ、とりあえずは立ち上がった。
「ここは・・・・なんで・・・・?」
人がいた。それも結構な数の。
そこはよく見慣れた、しかし見慣れていたところとは異なるところだった。黒い装飾がしてある。花まである。
「うそだろ・・・・?」
中まで入って、は硬い何かで頭を殴られたような気になった。
ここは確かに自分の家。なのに、中には泣いている人たちが沢山いた。どうみても葬式だ。
出入り口で確かに立っている自分に、誰も気付きはしない。見知った友人も、誰も気付かない。
奥を見ると、自分の写真が飾ってあった。
そこでやっと、は自分が死んでいたことに気付いた。
「あれ?あんた、どこにいたの」
急に声をかけられ、は驚いた。仲の良い友人の一人だ。
「えーっとTODの世界」
「・・・・嘘でしょ?」
「俺はお前の方が嘘じゃないかと思うんだが?」
誰も死んだ自分に気付くはずが無いのに、なぜこいつは見えて話せるんだとはつっこんだ。
が、結局どうでもいいでしょ、と流されてしまった。
「またどっか行くの?」
「できればTOD2」
「49日までいてあげたらいいのに・・・」
親不孝者、と言われ、は苦笑いした。親の座っているところまで行くと、は聞こえるはずも無いのにそっと話しかけた。
「今までありがとう。お父さん、お母さん。俺もう行くね。死んだ後も結構楽しめたから心配しないで。・・・ていうかお願いだから他の写真使ってくれ
言ったがやはり聞こえるはずもなく、二人ともただ泣いているだけだった。
友人はふぅ、と肩をすくめている。呆れるなって、と苦笑いすると、は「俺っていったいどうしたの?何故こんな風に?」と問いかけた。
「アンタが死んだ日、偶然雷がここに落ちて、ゲーム構ってたあんたはコードさすときに電気食らってぽっくりいってたの」
「分かりやすいご説明で」
「でも不思議なことにゲームは起動してたってーからちょっと話題になってるんだよね」
「っはは。進めてみて、俺いるかもしれないから。あ、それとみんなに伝えておいて。今までありがと。されたこと全部水に流してやるって」
「お線香おられるわよあんた」
「あははは!いいんでない?俺らしくて。んじゃ、助かったよ。色々ありがと。ばいばい」
「うん・・・・さよなら」
マシンガントークを終えると、は友人から離れて2階へ上がっていった。友人は背中を見つめているだけだった。
「どうしたの?さっきから一人で・・・・」
がさ、今までありがとうって・・・言って・・・さっさといっちゃった・・・・」
泣き出したその子を、他の子があやしながら「どこいったのよあいつ!友人泣かせるなんて逆さ吊りの刑よ!」と声を上げていた。
ところかわって階段を登った。寒気がしたがとりあえず部屋へと入った。
「おばけだぞ〜〜なんつってー・・・・ってぅおわ!!」
目の前にはゲームでよく見た女。エルレイン。一瞬本当にいるかと焦り、むしろ自分じゃんと数秒のうちにノリツッコミをした。
レディの部屋に無断で入っちゃダメでしょ!
「それはすみません。あなたが私たちのいた世界に戻ると聞いたら、いてもたってもいられなくて」
にっこりと笑いながら言うエルレインに、は「いや、つっこみかえせよ」といおうとしてやめておいた。
「そりゃあよかった。俺も丁度いきたかったんでね。しかも行き方わかんないし」
「それはよかった。それでは、あなたをこちらの世界へお連れしましょう。もうお別れはすみましたか?」
「ああ。ところでさ、俺を最初に向こうへ連れて行ったのはあんた?」
頷いた後すぐ質問してきたに首をかしげると、エルレインは「いいえ」とやんわり答えた。
「では行きましょう。ですがあなたがどこに行ってしまうかわからないので、空間を飛ぶ力を差し上げます。一度しか使えませんが」
「え!?ちょ、ちょっとまてよ!!」
「さあ行きますよ」
「ってオイ!!話し聞けよ!!まっ、うわぁぁぁああああああ!!」
光に包まれたかと思うと、は足元に開いた穴に盛大に落ちていった。





月がぽっかりと出て、風のない良い夜だった。金髪の少年と銀髪の青年が騒がしくお喋りしながらダリルシェイド近くの砂浜を歩いていた。
「あ、あれ?ロニ、あれ人じゃない?」
「人だぁ〜?なんでこんなところに人がいるんだ・・よ・・・・女の子だ!倒れてるぞ!!」
ばしゃばしゃと水を蹴ってそこに打ち上げられたらしい少女をロニが抱き上げた。ぐったりとしていて反応は無いが、呼吸はある。
「急いで孤児院へ戻ろうぜ!」
「そうだね!あ〜〜もう急いでロニ!!」
「バカッ!人一人しょってそんなに早く走れるか!ってオイカイル!!コラ!おいていくな!!」
青年は少女を抱き上げ背中にかつぐと、少年の後を急いで追いかけた。







続く
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ふ〜〜〜。やっと終わりました〜〜〜〜!
ていうか無理やり載せすぎ??のせすぎ???頑張れ家のPCちゃん!!!(無理させんなや)
ミクトラン切なかったでしょうねぇ〜。主人公に殺されちゃいました☆(コラ)最初からやらせるつもりだったんですけど・・・
なんか、書いてたら案外これ辛いですね。ごめん主人公。某金髪はよくやったよ。(話し早すぎ)
すで対剣じゃ負けるのめに見えてるのに主人公に向かっていったミクトランに愛を感じました。(帰れ)
え〜主人公の友人は気にせずに。近くに霊感強い人がいたらその人だと思って!!俺もそう思って書きました!都合良いし(待て)
君だよ蒼爛ちゃん〜〜〜〜☆ことマダム〜〜〜〜〜☆いギャア!!呪わないでっっ!!石投げないでっっ!!
ではでは、ここまでで第一部は終了です。
読んでくださった方、本当にありがとうございました。TOD2も飽きずにやります。性懲りもなくやります(わかったから帰れ)



2003/8/8(金)16時16分!ゾロメだゾロメ!(本当に帰れ)