「あんな、みんな。俺、明日からいなくなっちゃうの」
「ぇぇぇぇぇえええええええーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!???」
ノイシュタットの街中とまではいかないが、子供たちの叫び声がそこらじゅうに響き渡った。
「なんで!!?なんでいなくなっちゃうの!?」
「売られたの?!」
「売られるわけないだろ!?とうとうブタ箱行きか!!!」
「失礼な奴らだな!!どれも違うわボケーーーーーーーーーーーーー!!!!!!」
本日2度目になる叫び声が、ノイシュタットのそこらじゅうに響き渡った。
my way of living 3
〜ブタ箱行きは当分先ヨ?悪ガキどもと1/2エセ教師の別れ〜
理由はついさっき起きた出来事だった。
『・・・・・・・・・・・・・・・。え?』
『だから、私の屋敷にきてくれないか、といっているのだが・・・・・・・』
『え??な、なんでですか?』
『君の国のことも情報が入りやすいあそこなら手に入るかもしれないし、たった1ヶ月で中々剣の腕も立つという話を耳にしてね、よければ私の息子の手伝いをしてもらいたいんだ。どうもここ最近問題が多くて人手がたりない。必要なものはすべてこちらで用意させてもらうし、それほど悪い話ではないと思うのだが・・・・どうだろうか?』
『え・・・いや・・・・あの・・・・急に言われても・・・・・』
(ていうか行きたくないし。別にここで不自由してるわけじゃないしむしろ毎日楽しいし)
『そうね・・・と離れるのは辛いけど、やっぱりご両親も心配してるでしょうし・・・・。ヒューゴ様のもとに行った方がいいかもしれないわね』
『そうだな。俺ももう明後日にはここを発つし・・・・・』
『ええ!?バルックさんいなくなっちゃうの!?』
『ああ。仕事ももう終わったし、向こうを長い間空けていたからな』
『そっか・・・・』
『、寂しくなったら会いにきたらいいんだから、行ってらっしゃい』
『イレーヌさん・・・・寂しくない?(そんなの無理だってこと、俺だってわかるよイレーヌさん/怒)』
『そりゃあがいなくなったら寂しいわ。毎日沢山楽しませてもらったもの』
『うわ!またイレーヌさんの意地悪がっ』
『ウフフフフ。とにかく、私も悪い話ではないと思うわ』
『うん・・・・。(たしかにずっとイレーヌさんの世話になるわけにいかないしなぁ)でも子供たちと離れ離れになっちゃうんだ・・・・』
『・・・・・・・・・』
『・・・・・。ちゃんと、お別れ言ってこい』
『発つのは明日だから、最後にこの街をゆっくりとまわってくるといい』
『ヒューゴさん・・・・(この話無しってダメですか?)』
『ほら先生、可愛い生徒たちが待ってるわよ』
『なんちゃって教師だよっ。じゃなくて!!〜〜〜〜〜〜行ってきます!!』
『最後の授業、がんばれよー』
『合点承知ー!』
「本当に・・・・いなくなっちゃうの?」
女の子が、の服の端をひっぱってぼそりと言ってきた。
その言葉に、先程まで騒いでいた子供たちももしーんと静かになった。
「ねぇ・・・・ほんとうにいなくなっちゃうの?」
「やだよぉ。、ここにいてよ」
「そーだよ、ここにいてよっ。勉強教えてくれるんだろっっ」
「離れちゃうなんてやだよぉ」
「〜っっ」
わらわらとよってくる子供たちを見て顔をゆがませただったが、ふーっ・・・と息を吐いてなんとか感情を押し込め、しゃがみこんだ。
「俺はここに明日から居られないけど、それでもみんなとはいつも一緒だから。みんなが俺のこと忘れなければ、俺はいつだってみんなと一緒だから。俺も絶対にみんなのこと忘れない。みんなと勉強したいろんなことも。みんなで遊んだ遊びも。たくさんした話も。全部全部忘れない」
なんとか感情を押し込めたところまではよかったのだが、話をしている途中でこらえきれなくなったのか、その顔は今にも泣きそうな目でそれでも懸命に笑っていた。
子供たちの中でもぐすぐす鼻を鳴らすものが出始め、しめっぽい空気が流れた。
「―――つっても一生の別れってわけでもないんだし?まぁた会えるっしょ。お前らここでしぶとく生きてそうだからな」
「うわー!せっかく人が感傷的になってやろうとしてたのにっ」
「10年早いんだよバーカ」
「私の涙を返せーー!!」
「いつ覚えたそんな言葉!!」
「あーもー相手じゃ感動なんてできないよ!」
「されてたまるか。俺に対しては感激しとけ」
「余計無理〜」
「同情ならしてあげる」
「うわ〜・・・お腹が黒い子がいるよ、ここに」
と、さっきの空気はなんだ。というほどの活気で子供たちと取っ組み合いを始めだす。
子供たちはキャーキャーいいながら喜んでいる。
「よーし最後の授業だ!よーく聞いとけよ?今日は・・・・なんにしよう。じゃ心について〜〜はい拍手〜(和の心・・・?自分で言っといてわかんねぇよ。わびさびでもいっとくか?)」
思わずおい、と突っ込みを入れたくなるような心の声だが、とりあえず心の読める人物もいなければ突っ込み役もいなかったため、の心の声は流された。
がしかし、拍手した子供は数名だけで、残りの子供達はの意見にブーブーと野次を飛ばした。
「ブーブー」
「ブーイングかよ!?」
「どーせそんなえらそうなこと言って判ってないんだろー?最後の授業なんだしさぁ〜遊ぼうよーーー!」
「そーだよ遊ぼーーーーーーー」
「ばればれやん自分〜(裏手)じゃなくて、遊びは授業のあと!どら行くぞ!!」
「つかそんな難しいことホントにができるのかよ!」
「ええいわからんがやるぞ!!」
『え〜〜〜〜〜』
「文句いうやつぁノイシュタットの海に沈めたる」
「鬼!!」
「悪魔!!」
「キチガイ!!」
「キチガイ!?」
と、中々進まない授業はいつもの通りの話で。
今日もやるだけやったらさっさと遊び始めてしまうのだった。
「イレーヌさん、色々とお世話になりました」
「いいのよ全然。子供たちに色々と教えてくれたし」
「元気でな」
「バルックさんも今までありがとう」
翌日、朝食を済ませたはヒューゴ、バルック、イレーヌとともに港へきていた。
イレーヌに買ってもらった服とバルックにもらった剣、という少ない荷物を手に、船の前で別れを告げていた。
「じゃ、またね、イレーヌさんバルックさん!」
「・・・」
イレーヌにぎゅっと抱きしめられ、バルックに頭をぽんぽんとやさしくたたかれ、は嬉しそうに笑った。
「俺ね、親にあえなくてもイレーヌさんとバルックさんとチビたちと毎日いられたから、全然寂しくも悲しくもなかったよ。
二人とも・・・・今まで本当にありがとう」
「らしくないこと言ってないで、ほら行っとけ」
「うん!またね!」
ばーいば〜いと手を振りながら船に乗ろうとすると、二人の後ろの方から子供たちの声が聞こえてきた。
「〜〜〜〜〜!!」
「おう、お前らか。なんだ見送りか?」
「一応ツラ拝んでやろうと思ったんだよ」
「テメェ〜どこでそんな言葉覚えたんだよ〜〜?」
「いって!頭ぐりぐりすんなよ!からに決まってるだろ?!」
「あいたー」
「流して逃げるなっ!!」
子供たちのきついつっこみを受けながらケタケタ笑うに、中でも小さい方に入る女の子が小さな袋を二つ、に手渡した。
「これ・・・・俺に?」
「そ。やさしいでしょ」
「自分で言うと嬉しさ半減するって分かって言ってる?」
「あったり前☆」
「いい性格になってきたな・・・・お前ら・・・・・」
フフフフフ・・・・・と笑いあっていると、そこにいた一番小さな子供が急に泣き出してしまった。
「あわわわわわ・・・泣くなって、な?」
「うっ、だって・・・」
が焦っていると、いつの間にか周りの子供にまでそれが回ってしまっていて、大合唱になっていた。
「うわ〜い・・・・もらい泣き大合唱だ・・・・・」
ぇえ〜い〜ああ君から・・・と歌いだしたところ、現実逃避してないで!というつっこみが入り、ははっと我に戻った。
「大丈夫、絶対に会いにくるから。そんときゃ金ためてお前らに色々買ってやる!」
「そんなの絶対無理だぁ〜〜」
「泣くか貶すかどっちかにしろ!」
「なら貶すぅーーっっ」
「・・・・・ダメじゃん」
と、バカをやっているうちに、時間がなくなってしまったらしい。船員に後ろから呼ばれてしまった。
「ほーらお前ら泣き止んで。な?約束だ。ゆ〜びき〜りげんまん♪」
「嘘ついたら指詰める〜♪」
「やぁさんかよ?!」
「とりあえずフリで指切った!」
「歌じゃないし・・・」
「いいからいいから!ばいばい!」
「あー・・・まぁまたな!お前らの後の奴らに、ちゃんと勉強教えてやれよ。俺の後をついで!」
「の後ついだら勉強になんないじゃん」
「うっせ!じゃな」
ばい。と言うと船にたっと乗り込んだ。
じゃーなー!と言う声やばいばい!という可愛らしい声に混じって、一人の少年が大声で袋を開けろといった。
「??」
一つをあけると中には・・・・・
ばかが見る。
「ダラてめえらーーーーーーー!!!!!!!!」
『きゃはははは☆ひかかってやーんの!』
もちろん、叫ぶ前にヒューゴに「叫んでもいいですか?」との了承を得てから叫んだ。それはもう思い切り。
中に入っていた四つ折の紙に一言。・・・・・あれだ。
「ダラってなんだよー!ちゃんと言葉話せよなー!!」
「うっせボケどもがーーーー!!後で覚えてやがれーーーーーーー!!」
「そっちこそ忘れんなよなーーーーー!!!!!」
まったくもって最後まで素直じゃない。
声が聞こえなくなるまで子供たちとの言い合いは続き(最後の言葉は「クーソーガーキーどもがーーーーーー!!!!」)、
イレーヌとバルックの笑い声まで聞こえた気がした。
いや、間違いなく今頃腹を抱えて二人とも大笑いしているのだろうが。
「くっそーあいつら・・・・」
苦々しそうな言葉の割りに、顔は笑ってしまっている。説得力がない。
「とても気に入られていたんだね。寂しいかい?」
「そりゃあもう!でも、同じところに生きてる限り、会おうと思えば会えるんだし全然平気です!」
「そうか、それはよかった。引き離してしまって悪いことをしたかと思った」
くすくす笑いながら言うヒューゴに、―――内心「本当だよ」と思いつつ―――は全然大丈夫です☆と笑いながら答えた。
「そういえば、ヒューゴさんの息子さんてどんな人なんですか?」
「ああ、まだ話していなかったね。君は今いくつだい?」
「16です」
「ちょうどよかった。君と同じ年だよ」
「へ〜そうなんですか。よかった、付き合いやすそう」
いや、それがね・・・と、ヒューゴが苦笑いをする。
「リオン、という名前なんだが・・・・人見知りが激しいと言うかなんというか・・・」
「無愛想でとっつきにくい子なんですね」
「まぁ、そうだが」
人様の子供にもかかわらずズバッと言ったに、ヒューゴが「それでも大丈夫かい?」と聞いてきたが、はばっちりです!と元気よく答えた。
(・・・・・ん?リオン?てなんだっけ・・・・。なんか忘れてるような・・・・)
「そーいう子もあそこにいましたし・・・・きっとなんとかなりますよ」
と笑っていられたのは、その船がダリルシェイドについてヒューゴの屋敷につくまでの間だけであった。
「ここがヒューゴさんのお宅ですか。イレーヌさんのお屋敷もそうですけど、大きいですねぇ〜」
「あはは。そんなに見上げていると、首が固まってしまうよ」
「うっっ」
バッと顔をもどしたを見て、ヒューゴはまた軽く笑った。
大きな扉を開けると、数人のメイドたちが二人を迎えた。
「おかえりなさいませ、ヒューゴ様」
「ああ、マリアン。この子が前から言っていた子だ」
「まあ、あなたが・・・・」
「え・・・っと、今日からお世話になります」
ぺこっと頭を下げたに、マリアンと呼ばれたメイドは優しく笑うと「お部屋までご案内いたしますね」といい歩きだした。
すたすたと広い屋敷の中をマリアンについて歩いていると、どこからかマリアン!という声が聞こえてきた。
「リオン、どうしたの?」
「ああ、これからセインガルド城へ行かなきゃならないからこれをヒューゴ様に・・・・誰だそいつは?」
荷物を持ってきょろきょろしていたを新しいメイドと間違えたのか、少年の言葉はぶっきらぼうだった。
「今日からここに住むことになったのよ。ほら、前にヒューゴ様が話していた・・・・」
「あぁ・・・例の・・・」
これがリオンか。と呑気に考えていると、二人が自分のことを話し出したのでは少し驚いた。
・・・・・何を言ったんだ、ヒューゴさん。
そうして思想をめぐらせていると、リオンと呼ばれた細身の、おそらく誰が見ても言うであろう綺麗な顔の少年がのことをすっと見た。
「・・・・・フン。弱そうなガキだな」
だとコラ。
・・・・・これが、第一印象最悪な二人の出会いだった。
続く
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うわーい長い。(いつもですね)
眠いです。ていうかなんでしょうこの下手な文。
微妙に中学生日記というかここまでくると小学生日記ですね。(ないけど)
しかも最後の方主人公猫かぶりまくり。
お前があの言葉使い・・・・?と、おそらく子供たちは驚くことでしょう。
やっと・・・やっとリオンでたよ!!!
いや、どーしよーもないけん。(さっきから一人乗りつっこみ)
あぁ・・・・世界が寒い・・・。(お前が一番な)
ここまでお付き合いいただいた方、ありがとうございます・・・。