「フェイトさん、ファンダリアにはどれくらいでつくんですか?」
トウケイ城でジョニーと別れた一行は、フェイトの用意した船に乗っていた。
晴れ渡った空の下、出発して間もなくのこと。スタンがふとフェイトに問いかけた。
「そうですね・・・この船で行っても早くて8日くらいでしょうか」
「えーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
「煩い」
「・・・・相変わらずねーあんたら・・・」
my way of living 27
〜フェイトの本領発揮?元気はつらつオベロナミンC☆〜
ルーティが呆れながら眺めていた二人は、そのままコントを始めてしまった。
本人たちはいたって真面目に口喧嘩をしているつもりだ。
「だってリオン、8日だぜ8日!長いよ!」
「これしか方法がないのだから仕方がないだろう。そんなに嫌なら今すぐ降りろ」
「無理言うな!泳げってか!」
「別に沈もうが流されようがかまわない」
「うわーいお魚天国〜」
「・・本当の天国にお近づきになったか・・」
「えーリオンくんてば知らないの〜?さかなさかなさかな〜♪さかな〜を食べ〜ると〜♪頭頭頭〜♪頭が〜良く〜なる〜♪」
「そこまで知っているなら是非とも魚を食べてほしいものだな。さあ飛び込め」
「もちろんリオンも行くんだろ?」
「心中の誘いならお断りだ」
きゃしゃーーっっと威嚇を始めた二人を見て、シャルティエが『あーあ。また始まったよ』と呆れた。
なんだかんだいって楽しそうなので、仲間たちはとくに止めもせずぼんやりとそれを眺めていた。
ちなみに今日はめずらしく食堂にはいない。
みんなで青い空のした、甲板の上だ。
そんな二人のやりとりも30分もしたころに終わり、むだにくたくたになったリオンとは手すりにもたれて体を休めた。
「あーーーー・・・なんか目痛い」
「えー?ちょっと見せてみなさい」
上を向いて目をぱちぱちとしばたいたにルーティが近づき、目を覗き込んだ。
赤くなっているの目を見ると、ルーティは「充血してるわよ?」と指で目を開きながらに言った。
「潮風にずっとあたってたからじゃない?」
「みんなも同じじゃん」
「動きが違うんだろう」
「なんのだゴラ!」
はんっと馬鹿にしたように笑いながら言ったリオンに、が両手を挙げて怒った。
丁度横にいたためそのまま反撃を開始しようとするをルーティが「ほらこっちむく!」と押さえつけると、スタンやフィリアたちも近寄り目を覗き込んだ。
「うわー本当に赤いよ、」
「寝不足の所為もあるんじゃないんでしょうか・・・・。最近まともな時間に眠ってませんでしたから」
「目薬ならもっているぞ?」
というマリーの言葉を聞いて、ルーティが「丁度良いわ。ちょっと貸して」とマリーに手を向けた。
が、肝心のがひょこひょこと逃げ出したため、何事だ!?と困惑しつつもそれをスタンとルーティがくいとめた。
「なに逃げてるんだよ?」
「目薬なんてそんなもの!つけれるか!!」
「はあ?何言ってんのよ。ほら上むいて」
「やだーーっっ!痛いーーー!!怖いーーー!!!」
マリーから受け取った目薬を片手に、ルーティがを上に向かせた。
だが、は首を横に動かすと、手を頭の上に置いて小さく縮こまってしまった。
「目薬が怖いのか?」
「うーん。なにか質問のしかたがおかしいわねマリー」
「・・・・はぁ」
真顔で言ったマリーにルーティがそう返すと、リオンが呆れたような顔をしてため息をついた。
「目薬、うったことないんですか?」
「ない」
フィリアの質問に即答したに、そこにいた全員が「え・・」と声を上げて驚いた。
しばらく沈黙が続くと、急にルーティが「ガキ〜・・・!」と笑いだし、やがてそれが全員に広まっていった。
なんだよ、悪いか!!と怒るに、スタンが「いや、悪くないけど」と笑いながら答えた。
「マリー、スタン、を抑えろ」
「な、な、なんだ!?」
リオンが急に二人に指示をだすと、二人とも首をかしげながらの両腕をがっしり掴んで取り押さえた。
放せーーー!!と暴れだしたをみてやっと理解したのか、スタンもマリーも「あー!」と声を上げると楽しそうににっこりと笑い出した。
「あら足りなそうね。私も加勢するわv」
「じゃあ私はこっちの足を」
二人に捕まってもなお逃げようとじたばた暴れるを、今度はルーティとフィリアまでもが加算して取り押え始めた。
片方ずつ足を押さえると、とうとうは身動きが取れなくなった。
「なにをする気だリオン!!食っても旨くないぞ!!」
「そんなことは分かってる」
「うわっ傷つくわー」
「自分で言っておいてそれか」
「まずいの前提なんだ」
やけに爽やかな笑顔を浮かべるリオン。
なにやら嫌な予感がしてならないはとりあえず口で反抗してみたが失敗に終わった。
フフフフフ・・・と怪しく笑いだした仲間たちの反応を見て、なんなんだー!!とが怯えながら叫ぶと、リオンが素敵な笑顔でさらりとその謎を明かした。
「僕が目薬をさしてやる」
「やっぱりそうかよクソ野郎ーーーーー!!!」
「おっと!大漁大漁」
「きゃははははははは!!」
叫んで暴れだしたを押さえて、スタンがお茶らけた。
そのほかのメンバーたちは大爆笑だ。
「うわーーん!!嫌ーーー!!!やだーーーーー!!いじめだーーーーー!!助けて!!アンパンマーーーーーーン!!!!!!」
「とりあえず叫んでもアンパンも誰も助けにはこないぞ」
なんだかとても楽しそうだ。
「坊ちゃんてばすっかり悪役だよ〜〜〜〜っっ。シャルが泣くぞーー!!おかんが泣くぞーーー!!こんな子に育てた覚えはないのに・・!!」
「お前に育てられた覚えは無い」
『別に泣かないよ。こんな楽しいことがあるんだもん、むしろ笑っちゃうv』
「あはははははははははっ死の宣告かよ!!秒読みスタートかよ!!って嫌ーーー!!来るな来るなくるなーーー!!」
にやりと笑いながら目薬を近づけてきたリオンにが叫んだ。
下を向かないようにマリーとスタンがしっかり首も押さえているので逃げられない。(嫌)
リオンが目薬を目の上までもっていくと、はぎゅっと目を閉じた。
最終手段だ。
チッと舌打ちすると、リオンはの目にスッと手を当てた。
「開けろ」
「ぎにゃーーーーっっ!!!!」
優しくまぶたをなぞったかと思うと、思い切り目を開かせた。
が思わず叫ぶと、リオンは開いた目に目薬を数滴落とした。
「いっ・・・・・!」
「まばたきしろ、馬鹿」
「む、無理・・・・・」
ぎゅっと目を閉じて固まってしまった。
リオンは呆れたようにため息をつくと、あやすようにに言った。
「ゆっくり開いてすぐ閉じればそれほど痛くない。大丈夫だ」
「うう〜〜・・・・」
情けない声をだすを「ほら」と言ってリオンが急かすと、は恐る恐る言われたとおりまばたきをした。
「よし、反対」
「マジかよ〜〜〜〜ぃ」
「あたりまえだ」
慣れて何度もぱちぱちと瞬きをしたを見て、リオンが追い討ちをかけるようににやりと笑いながら言った。
周りといいリオンといい、大変楽しそうだ。
「う〜〜〜〜〜〜」
「もっと目を開けろ」
「無理言うな!!」
「無理やりあけるぞ」
「ていうかもう実行し・・・・・いたーーーーっっ!!」
「あはははははっっ!」
ぱっと開けてまた数滴目薬を落とされたは、またも叫び声を上げた。
ふんっ、と笑うリオンもそうだが、大声を上げて笑っている仲間たちも大層楽しそうだ。
またもなれるまで何度も瞬きをしたは、「むしろ涙でてきた・・・」と言ってさらに笑いを煽った。
「手で拭くな馬鹿!」
「あーっティッシュティッシュ!!」
「は、はい!どうぞ!」
「うぅ〜〜〜〜」
フィリアからティッシュを受け取ると、はさっさとこぼれた目薬をふき取った。
目薬をふき取ると、は「痛いよ〜痛いよ〜〜」と半泣きで何度もくりかえしていた。
「坊ちゃんのばか」
「目薬さしたことのないやつに言われたくはないな」
「あんなもの目に入れるほうが間違ってる!!」
「いや、それどうだろう・・・」
丁度ルーティがもっていた目薬をずびっと指差しながら、は大声で叫んだ。
スタンとリオンが呆れていると、フェイトが笑いながら「楽しそうですね」と言ってきた。
「いつもこんななんですか?」
「ええ、まあ」
苦笑いしながらスタンが答えた。
「なんか前にも聞いた台詞」
「・・・・俺が捕まったときに言ったんだよ」
がまだ目をぱちぱちさせながら言うと、スタンがうなだれながらそれに答えた。
それを聞いたルーティが笑いだした。
「進歩がない、ってやつかしら」
「これ以上進まれても困る」
「どこにどう進むといいたいのかなリオンくん?」
「お前の頭に聞いてみろ」
「そこんとこどうよ俺ー?」
「・・・・・本当にやってるよ」
「とうとう進んだか。目薬の効果かもしれんな」
「あるわけないでしょ」
一気に進んでいく会話に入れず、フェイトは呆然と4人のやりとりを見ていた。
ルーティがずばっとつっこんだところで、フェイトやフィリアが笑いだした。
ていうかやっぱり痴呆の方かよ!!とが言うと、リオンはさらりと「それ以外なにがある」と言った。
「酷い・・酷いわリオン・・・・!!あなただけは信じてたのにっ!」
「何の話だ痴呆娘」
「また始まったよ・・」
「シャル〜〜〜坊ちゃんがいじめるよーーー!!」
『よしよし。僕がなぐさめてあげる。さあ胸に飛び込んでおいで☆』
「ありがとうシャルvってお前身体ないじゃん☆」
『コアクリスタルが僕の身体さ☆』
大変不思議な言葉のキャッチボールを始めた二人に、そこにいたほぼ全員は呆れた。
なんともカーブばかりのキャッチボールだ。
ここにリオンが入るとスライダーになる。(知るか)
「ところでフェイトさんて手が早いよねー」
いきなりなんとも失礼なことを言い出したに、スタンが「おい!」とつっこんだ。
「だってエレノアさんも今の奥さんも倍率高かったってジョニーさん言ってたんだもん・・」
「だからってそういうこといわないだろ普通?」
ていうか倍率かよ、と誰とも言わずつっこみを入れていると、スタンが「ああもう・・」と不安そうにおろおろしだした。
相手は一国の領主だ。
が、フェイトはあははははっと軽快に笑うと、にっこりと笑顔で返してきた。
「それはジョニーが奥手だったってだけですよ」
「強い・・・さすが領主・・・・」
ぐぬぬ・・・と唸っているに、フェイトはフフフフフ・・・・と素敵に笑い返していた。
「・・・・関係ないだろ」
世の中早いもの勝ち、と密かに学んだたちは、それから8日後にファンダリアへとついた。
「うひゃ〜!寒い!!」
船から下りて開口一番、は肩をだきながら叫んだ。
「そんな薄着じゃ当たり前だ。マントがあるだろうが」
そんなの後ろから、船を降りてきたリオンが呆れながらつっこんだ。
「あー。忘れてた。最近全然使ってないよ」
『ヒューゴさま可哀想ー』
「「心にもないことを・・・・」」
シャルティエの言葉に、リオンとがしらけながらぼそりとつぶやいた。
「随分とお世話になりました」
「いえ、お気になさらずに・・・。私の方こそ、命を助けていただきた身ですから」
スタンがお礼をいいながら頭をさげると、フェイトが苦笑いしながら両手をふった。
「これからご協力できないのが残念です・・・。またアクアヴェイルに遊びに来てくださいね」
フェイトがそういうと、スタンが笑顔で「もちろんです!」と答えた。
「ジョニーの奴も待ってると思います」
「そうですね。今度かならず行かせてもらいます」
「はい、楽しみにまってます」
話を終えると、フェイトは頭を下げ挨拶をしてから船へと乗り込んだ。
「またねーフェイトさん!アクアヴェイルの復興がんばって〜!」
大声で叫び手をふるに、フェイトも笑いながら手を振りかえしてきた。
船が見えなくなると、一行は街のほうへと歩き出した。
「あれ?マリーさんは?」
「あら?どこいったのかしら・・?マリー?」
港をでようとしたところで、マリーが居ないことにスタンが気付いた。
あまりの寒さに肩をさすりながら歩いていたルーティもそれに気付くと、きょろきょろと周りを見回した。
それぞれが四方八方を見たのだが、マリーの姿はどこにも見えなかった。
手分けして探そう、というスタンの意見に賛成すると、メンバーたちはそれぞればらばらになって港を探し始めた。
「マリーさーーーん?」
「・・・そんなところにいると思うか?」
が見ていたところは港においてあった青いシートの下。
リオンがつっこむと、「あ、やっぱ?」とは笑って誤魔化した。
「どこにいるんだろマリーさん」
「さあな。・・・・・・・? いたようだぞ」
に適当に答えながら首を回していたリオンが、とある方向でぴたりと動きをとめた。
リオンの視線の先を追いかけると、スタンと一緒にいるマリーを発見した。
二人でなにか話している。
そこまで行って話しに入るのもなんなので、とリオンはその場で待つことにした。
どの道町へ入るには自分たちの目の前を通過しなければならない。
「なに話してるのかな」
「さあな」
「なんかマリーさん悲しそうじゃない?」
「さあな」
「リオン今日不機嫌だね」
「さあな」
「ていうか絶対話すのめんどくさがってるでしょ」
「よくわかったな」
「寒い所為か・・・・」
「こんなところで元気になっても仕方が無い」
「カルバレイスのときと言ってること逆じゃね?」
「知るか」
ぼーっとしながら、二人はだんだんと話した。
リオンは寒さで少しキレかかっている。
の方はというと、久々に取り出した真っ白なマントで始めの頃よりは暖がとれているためそれほど不機嫌でもない。
ガキのあつまりかよ、とシャルティエからつっこみが入りそうな現状だったが、とりあえずシャルティエに言う気がないということとそれ以外につっこみ役がいないという理由でそのことについてのつっこみはなかった。
そのまま意味のない会話(いつもだ)をふたりが続けていると、はらはらと雪が降ってきた。
「あ!!リオン、雪だよ雪!!うっわー!!久しぶり〜!!」
「わかったから騒ぐな!」
はらりはらりと振ってくる雪を掴んだりそらに手をのばしたりしながら、は飛び跳ねた。
そんなに恥ずかしい、といわんばかりにリオンはつっこんだ。
「だって嬉しいんだもんよ。雪だよ雪?こんなの見ることそうないじゃん!」
「ガキ」
「ガキで結構ー。あ、これぼたん雪じゃん!つもるぞ〜。リオン頭につもってる」
「お前もだ、気付け」
リオンの言葉に口を尖らせたあと、はリオンの頭につもった雪をぱっぱっと手で掃った。
その後子供扱いされたようで気に食わなかったのか、つっこみも含めてリオンは不機嫌そうにに言った。
そんなリオンの言葉を聞いて初めて気付いたのか、は「あ!!」と驚くと自分の頭をぱぱっと掃った。
二人が呑気なやりとりをしていると、話終わったのかスタンとマリーがこちらに向かって歩いてきた。
「あ!マリー!どこいってたのよ!!」
「すまないルーティ。ちょっと海を見ていた」
リオンとのところまで来る途中、ルーティとフィリアが二人を発見して駆け寄っていた。
怒るルーティに苦笑いしながらマリーが謝ると、「でも、無事でよかったですわ」とフィリアがのほほんとした笑顔を浮かべながら言った。
フィリアらしい言葉に全員が笑っていると、マリーが「街で毛皮のマントを売っていると思うから買っていこう」と遠くを見ながら言ってきた。
「え・・・マリーさん、なんで毛皮のマント売ってること知ってるの?」
「マリー・・あんた、まさか記憶が?!」
ルーティがマリーに言い寄ったのだが、マリーはうーんと考えるとうつむいてしまった。
「・・・わからない。だが、確かそっちのほうにあるよろず屋で毛皮のマントが買えたはずだ」
「行きましょ!すぐ行きましょ!」
そうとう寒いらしい。(そっちか)
街へ入ると、全ての家が扉をしめていた。
よろず屋へ行くとやはりそこもしまっており、リオンとフィリアの説得によってやっと毛皮のマントを入手することができた。
大喜びするルーティとぼーっとするマリーをひっぱって、一行はスノーフリアを後にした。
「う〜〜〜・・・寒いなぁ」
「そんなこといったら俺やルーティはどうなるよ」
ハイデルベルグへと向かうため、一行はまずティルソの森へと向かっていた。
回りは一面雪、雪、雪。
毛皮のマントを装備していても、見ているだけで寒くなりそうな景色が続いていた。
「だってさー・・・、俺の村雪なんて振らないんだもん」
「え?!マジで!!?つまんねー」
「田舎だしねー」
「田舎は関係ない!」
ルーティがスタンに茶々を入れた。
その前に驚いたを見て、それまで会話を聞きながら笑っていたフィリアが質問してきた。
「さんの国は雪がふるのですか?」
「冬になるとね。あ、俺のいた地域ではふってたけど、ふらないところもあるんだ」
「へー。不思議なところね」
訂正をつけくわえたに、ルーティが小首をまげながら言った。
後ろでスタンが疲れている。
「場所が違う分気候も違ってくるんだよ」
「お前・・・・気候なんて言葉使えたのか」
「真顔で驚くな!!」
本当に驚いたような顔をしたリオンにが両手を挙げて怒った。
そんな二人のやりとりを笑っていると、やっとついたティルソの森の入り口でなにやら人の声がした。
「待ちやがれ!」
森の奥から数人の人影がこちらへ走ってきていた。
青い鎧を着た銀髪の青年が、数名の兵士たちに追いかけられていた。
弓を数発射られ、そのうち2発が青年の脇を掠り、青年はどさりと倒れこんだ。
「くっ、これまでか・・」
走ってくる兵士を見ながら、青年が苦々しそうに言った。
身体は血だらけ、息も絶え絶えだ。
「あ、あれは・・・まさか!ウッドロウさんっ!」
「ってちょっとスタン!!」
言うや否や、スタンはディムロスを引き抜きながら青年のもとへと駆けていった。
止めようと声をかけたルーティに見向きもせず走っていったスタンに「まったく!」と言ってため息をつくと、ルーティもスタンのほうへと走っていった。
「どうするリオン?」
「また厄介ごとをふやしやがって・・・」
「最近素がでるようになってきたね。下衆野郎とかv」
「周りの馬鹿どもに感化されたんだ」
ため息をつきながら言ったリオンの言葉にが茶々を入れると、リオンは不機嫌そうに言い返してきた。
その後スタンたちのいる方へ走り出したリオンを見て、残っていたとフィリアとマリーは顔を見合わせくすくす笑いあった。
「む、見られたか!」
全員が青年のもとへと走っていくと、兵士がチッと舌打ちしながらそういった。
構わん、目撃者は消せ!と兵士のリーダーらしき男が声をかけると、兵士たちは一斉に襲い掛かってきた。
倒れる青年をかばいながらの戦いだったが、スタンとマリー、そしてが前線を攻め、フィリアとリオンが晶術で後方から攻撃を仕掛け、兵士たちは一気に追い詰められた。
ルーティはサーチガルド中だ。(戦え)
「くっ!!これでも食らえ!!」
剣では敵わないと思ったのか、兵士の中の一人がウッドロウめがけて矢を射た。
しかし、その矢はちょうどウッドロウの前にいたリオンに向かってヒュッッと風を切っていた。
「!! リオン!」
声をかけるや否や、は身構えていたリオンの前に飛び出した。
その声を聞いて、リオンがはっと顔を上げたときにはもう遅く、矢はの肩に貫通して刺さっていた。
「!」
肩を抑えながらしゃがみこんだにかけよると、リオンは矢の先を切り落とし、矢を引き抜いた。
ずぶっ・・・という嫌な音と痛みに顔をしかめながら、矢が取れたのを確認してはほっとため息をついた。
サーチガルドをしていたルーティもさすがに晶術を唱え始めた。
「馬鹿野郎!なんで前にでてきたんだ!!」
肩を抑えながら眉をひそめるにリオンが怒鳴った。
リオンに怒られうぅ・・・と半泣きになりながら、はそんなこといたって・・・・と弱弱しく言葉を返した。
「あの位置なら掠る程度だったのに・・・」
「だって、なんかリオンには怪我してほしくなかったんだもん」
リオンの言葉をさえぎってが言った。
いじけたように言うに呆れると、リオンははー・・・とため息をついた。
「僕はか弱い女か」
「同じようなもんだ!」
「・・・・殺す」
「冗談だって。本気にすんな」
「まったく・・なにを言いだすのかと思えばわけのわからないことを・・・」
「しょうがないだろー?俺だってよくわかんないけどそう思ったんだから!」
「逆ギレか」
二人が微妙な口喧嘩を始めたころ、ルーティがにファーストエイドをかけた。
肩の傷がふさがりルーティにお礼を言うと、ルーティは「もう面倒ごと増やさないでよ」と一言いいまたサーチガルドを始めた。
それを見てリオンとが呆れていると、スタンたちが兵士たちをいつの間にか負かしていた。
「てっ、撤退だ!」
「ふん、逃げ足だけは速い奴らだな」
だーーっっと走ってもう見えなくなった兵士たちを、リオンが鼻で笑いながら罵った。
の腕をひっぱって立たせていると、スタンが青年の方に向かって走ってきた。
「ウッドロウさん!しっかりしてください」
「あんたの知り合い?」
「俺の命の恩人だ」
傷だらけだった体はルーティのヒールによって元に戻ってはいたが、気を失ったままだった。
肩をゆすっても反応のない青年を見て、フィリアが「気を失ってますわ」とスタンに言った。
「とにかく、街まで運ぼう」
「誰が持つの?」
「・・・・俺?」
「しかいないだろう」
の言葉に思わず固まってしまったスタン。
仲間たちを見回したあと、困惑しながら自分を指差した。
すかさずリオンがつっこむと、「そうだか・・そうだよね・・・・」と空笑いしながら青年をかついだ。
前線にいたスタンを中盤へ下げると、一行はゆっくりと来た道を戻った。
「・・・・」
いつも以上にぼけーっとしながら歩くを見て、リオンがため息をついた。
肩の傷が癒されたといえども、さすがに体力までは回復しなかったらしい。
「・・・これでも飲め」
「!!」
ぽいっと、リオンがなにやらに投げた。
「こ・・・これは・・・・!!!オベロナミンC!!!!」
目を輝かせるに、ルーティが呆れた。
「そこまで驚くもん?」
「馬っっ鹿!これめっさ旨いじゃん!!大好きだ〜〜〜〜〜vv」
「めずらしいね・・」
オベロナミンCを持ちながら嬉しそうにはしゃぐを見て、スタンが苦笑いしながらそういった。
青年が重そうだ。
「俺の国にオロナミンCって飲み物があってさ、これが同じ味なんだ〜〜vvもう大好物☆リオン大好きだーー!!」
「抱きつくな!!」
突進してきたの顔を手で押さえ、リオンはなんとか抱きつかれるのを阻止した。
「リオンさんは好物と知っていたのですか?」
「前にやったら相当喜んだ」
「任務中にもらったんだ〜v」
『あの時も相当酷い喜びようだったよね・・・・・騒ぎだして坊ちゃんに抱きついて』
シャルティエがなんだか暗い声で言うと、リオンがふー・・とため息をついた。
「はもらうだけで体力が回復しているな」
ルーティにシャルティエの言葉を教えてもらった後マリーが言った言葉に、リオンと以外の全員が笑った。
その後オベロナミンCを飲んで本当に体力を回復させたは、リオンとギャーギャー騒ぎながら道中をすごした。
続く
−−−−−−−−−−−−−−−
一週間ぶりくらいの本編更新☆(コラ)
文て難しいですねー・・・・。みんなどうやって文の勉強してるんだ!!!
国語か?国語なのか!!?(知るか)
フェイトさんともとうとうお別れでした〜。にしても、彼も・・・・彼も・・・・(涙)
さすが領主。伊達じゃない。(どういう意味でだ)
ていうかやっとウッドロウですよ!自分遅いなー。いや、お話はここから早く展開していく・・はず。(コラ)
ハイデルベルグさっさと攻略しちゃいましょう!!あ!ゲーム進めてない!!(痛)
・・・ハイ、すみません、失礼しました。
ここまで読んでくださった方、どうもありがとうございます!