フェイトがモリュウ領の街の人々の前に現れたのは、その日の早朝だった。
彼が領主として現れると、暗かった雰囲気が一気に吹き飛んだ。
事情を知っていた兵士たちは一夜のうちになにが起きたのかと驚き、事情を知らずに未だに我が物顔をしていた兵士たちも、元よりフェイトの味方をしていた兵士たちと街の民によって抑圧された。
あまりの喜びに街中の人々が城の前で騒いでいる間に、一行はバティスタの死体を裏口から町の方へと運び出した。
my way of living 24
〜一人身男と天然司祭。お風呂騒動再び・・〜
さすがにこの街の共同墓地を使うわけにはいかないと、街を出てすぐ、道から数メートルほど離れたひっそりとしたところにバティスタをおろした。
ストレイライズのやり方では嫌かもしれない、というフィリアの意見で、ストレイライズで活用されている土葬をやめてアクアヴェイルでの伝統的なやり方で埋葬することになった。
「どんなことするんですか?」
「火葬じゃない?」
スタンがジョニーに問いかけると、ジョニーが答える前にが返事を返した。
当たり、というジョニーの言葉を聞いて、「本当に文化が似ているわね・・」とルーティが感心したように言った。
も「自分でもびっくり」と苦笑いすると、さっさと始めようか、とバティスタの方へ向き直った。
「・・・どうする?」
「ファイアーボールでやるわけにいかないしなぁ」
「どあほう」
本気でやりかねないスタンにリオンが思い切りつっこんだ。
や、やるわけないだろ!と本人は言っていたが、いまいち仲間たちからの信用度は低かった。
とりあえずよく燃えそうな木や草を集めると、それをバティスタの体を包み込むようにしきつめた。
「じゃあ火、つけるよ」
「はい」
「着火!」
「どの道使うんじゃないか・・・(ブツブツ)ファイヤーボール!!」
が掛け声をかけると、スタンがぶつくさ文句を言いながら加減したファイアーボールを敷き詰められた木に向かってうった。
ボッボッという音がしたかと思うと、草木は勢いよく燃え始めた。
火が消えないよう木々を追加しながら燃やしていると、とうとう火はバティスタの体まで到達した。
もともと感電死したバティスタの体は焼け焦げて酷い臭いがしていたのだが、少し肌が燃えてきたのか、それはさらに強まった。
誰かがうっ・・と言ったのを聞き取ると、「火力をあげよう」とジョニーが指示をだした。
しばらく草木を投げ入れ、人の背ほどの高さの火をつくると、そこで一旦燃料を投げ入れるのを中断した。
「ここまでやればもう大丈夫だ」
「ふぅ・・・・」
全員がそれぞれため息をついた。
一晩中モンスターを相手にし、兵士に気付かれないよう気を使い、さらにはバティスタと戦ってそのあと死体を燃やすための木や草をさがしてきたのだからそれもあたりまえのことだろう。
「皆さん、本当にありがとうございました。先に宿へ行って休んでください」
「えっ、でもフィリア・・・・」
ジョニーの言葉を聞いてか、フィリアが全員に向き返ってそういった。
それを聞いたルーティが声を上げたのだが、フィリアはやんわりと首をふって言った。
「いいんです。ただでさえ一晩中戦って疲れているのに、私個人のことにここまで付き合ってくださったんですもの、もう十分ですわ。これでは私がもうしわけありません」
「でも・・」
「明日はトウケイ領へ行くのでしょう?体力を回復させなくては」
「フィリアの言うとおりだ。明日になって動けなくなったといわれては迷惑だからな。用のないやつはとっとと宿へ行くぞ」
「それに、これはそれほど時間のかかるものじゃありませんから。気にせず先に休んでください」
「うーん・・・わかった。フィリアがそこまで言うんなら、俺も先に行って休ませてもらうよ」
というスタンを初めに、ルーティやマリーやリオン、ジョニーも街へと入って行った。
「なにをやってるんだ単細胞!さっさとこい!」
「すぐいく!」
またもその場から動こうとしないを、リオンが街の入り口から大声で呼んだ。
それにが返事を返すと、リオンと同じくたちどまっていたスタンたちが「早くこいよー」と手を振り、ギャーギャー騒ぎながら歩いていった。
「さんも、早く宿の方へ行って休んでください」
「なーに言ってんだいフィリア。俺は用があるからここに残ったんだぜ?」
「用・・・?」
声をかけてきたフィリアに向き返ると、はチッチッチッと言いながら指をふった。
の言葉を聞いて首をかしげるフィリアににっこり笑うと、一言言った。
「葬送曲」
煩く騒ぐルーティたちも町の人間もいない森の中で、の声はよく響いた。
聞こえる音といえば、ごうごうと燃え上がる火の音くらいだった。
「葬送・・・曲・・・・」
「単なる自己満足なんだけどさ、実は・・・。俺、まだこっちの生活慣れてなくて」
目を見開いて固まってしまったフィリアに、「ジョニーさんから楽譜パクってきた」と言いながらがバツが悪そうに苦笑いした。
「歌ってすっきりしたいだけなんだけど・・いいかな?」
「・・・・はい。よろしくお願い・・・・します・・・・」
高く燃え上がる炎の中で、バティスタはまだ原型をとどめていた。
フィリアがそれをちらりと見た後、に向き直って掠れ声をだしながら深々と頭をさげた。
「自称色男の顔がまだ残ってるうちに歌わなきゃね。この下手な歌聴いてさっさと昇天できるように」
「ふふふっ。はいっ」
の冗談に、少しこぼれた涙を指でぬぐいながらフィリアが笑った。
よく聞いてろよ、と炎の中にいるバティスタの方を向き言うと、は大きく息を吸った。
成長途中のソプラノが、流暢な音を奏で出す。
朝靄の中、の声は耳に心地よく響いた。
段々と炎の中に消えていくバティスタを見ていたフィリアは、とうとううつむき泣き出す。
くぎりのいいところまで歌って、はフィリアに体を向けた。
「・・・フィリア」
両手で顔を覆って、段々と焼けていくバティスタを見る事もできないフィリア。
が声をかけると、フィリアはぐすぐす鼻をすすりながら涙を拭った。
「さん私っ・・・・今とても後悔してるんです・・・!あの時もっとちゃんと説得できていたら、ティアラを自分で掴み取る前に止めることができたらと思うと・・・・無力な自分がとても嫌で、悔しくて悔しくてしょうがないんです・・・・!!」
吐き出すようにフィリアが言った。
「フィリアは、本当に優しいんだね」
「え・・・?」
地面に座り込んでしまっていたフィリアに、がにっこり笑った。
そんなを、フィリアは驚いた表情で見上げた。
「バティスタのこと、本当に大事に思ってないとそんな風に思えなもん。フィリアはバティスタのためだけに悲しんでる・・・。敵に回った人間のことをここまで強く悲しめるっていうのはさ、すごいことだと思うよ。うーん・・・なんか上手くいえないけど」
というと、は「あわわわわ」と言いながら一人で慌て始めた。
「フィリアはさ、悔しいっていうのもあると思うけど・・・きっととても悲しいんだね。そこまで悲しんでくれる人がいて、バティスタはすごく幸せだと思うよ。だからさ、後悔してる分・・・今思い切り悲しんであげよう?助けられなかった分、ここで取りかえそう?」
呆然と見上げるフィリアの背中をぽんと叩くと、は「わけわかんないね」と照れくさそうに笑った。
いえ、と言うと、フィリアは懐かしむように微笑みながらバティスタの方を見た。
「さんの言うとおりかもしれません。・・・・バティスタは、私が夜遅くまで仕事をしているとよく「とろくせえなぁ。ったく」なんて文句言いながら仕事を手伝ってくれたんです。憎まれ口をたたいていても、誰よりも優しい人でした・・・・。今でも変わらないと思ってるんでしょうかね、私・・・・確かに今悲しんでいる・・・」
分かってしまうと案外気が軽くなるものなんですね、と空笑いするフィリアを見て、が何か思いついたように手をたたいた。
「歌おうよフィリア!楽譜あるからさっ。ほら、これ見て見て!こっから!」
「さん・・・」
「あと残りのちょっとだけだけど、二人で歌おう?・・・・バティスタと自分のために」
「・・・。はい!」
にっこり笑って元気よく答えたフィリアを、が「よーし」といって手をひっぱり立たせる。
そのまま手をつなぎながら、楽譜の端と端をふたりで片方ずつもって歌いだした。
フィリアは歌っている途中泣き出してしまったけれど、涙を流した程度でしっかりと声を張り上げていた。
歌い終わったあと、二人は顔を見合わせて笑いあう。
随分とすっきりした顔で、フィリアが燻りだした炎に体を向けた。
「バティスタ・・・・さようなら」
勢いがおちてきた炎の煙りにむかって、フィリアが静かに言った。
そのあとしばらく目をとじて黙祷すると、「もう大丈夫です」とフィリアがいつものようなのほほんとした笑顔でに振り返り言った。
それをみて「そっか」と言うと、も嬉しそうに笑った。
「にしてもおっさん、結局未婚のまま終わったか・・・・切ない人生だったな・・・・」
「大丈夫ですわさん。神は独身者にも未婚者にも平等にお慈悲をあたえてくれますもの」
「あははは!違いないね!」
めずらしくフィリアは冗談を言うと、と一緒になって笑い出した。
もう火は消えかかり、朝靄もとうになくなっていた。
「・・・・・・」
リオンは二人から数メートル離れた木陰にいた。
すぐくると言って中々こないに痺れをきらせ戻ってきたためだ。
結構始めのうちからそこにいたのだが、どうにも出て行くタイミングを逃してしまっていた。
「火消えたね。お骨拾おうか」
「そうですね」
という二人の会話が聞こえたところで、リオンは今来たかのように二人の前へ飛び出した。
「あ、リオン」
「あ、リオンではない。なにをやってるんだお前わ」
「お骨採取〜っ」
「・・・さっさとこいと言っただろう」
「すぐ行くさ。おっさんのお墓つくったらネ☆」
フィリア一人じゃ大変だろ?とへらへら笑いながら言ってくるに、リオンがはぁ・・とため息をついた。
「・・・とっとと終わらせるぞ」
「手伝ってくださるんですか?」
ため息混じりにそう言って骨を拾い始めたリオンに、フィリアが驚いたように問いかけた。
へらへらしていたも同じく大変驚いた様子だったが、リオンはそんなことは気にせず不機嫌そうな顔をしてフィリアの方をむいた。
「なにを聞いていたんだお前は」
「素直じゃないなぁ坊ちゃんvまあそんなところが好きなんだけどv」
照れ隠し〜と笑いながら言ってくるに、リオンはげんなりとした表情で答えた。
「・・・とりあえず勘弁してくれ」
『なんだか冗談に聞こえませんよ?坊ちゃん』
「あたりまえだ。冗談じゃない」
「うわ傷つく〜。めそめそ」
『目に傷がつきそうだね』
「あんたに目はないでしょがっ」
あははっと軽快に笑ったシャルティエに、が裏手突っ込みを入れた。
結果的にリオンの腰にむかって裏手をしたことになるのだが・・・・もちろん寸止めということは確かだ。
『コアクリスタルが僕の目さ☆』
「ボケとつっこみに回す手を仕事へ回せ」
「アイアイサー!」
黙々と作業をしながらリオンがそういうと、は手をずびっと額にやり自分も作業にとりかかった。
そんな二人のやりとりを笑うだけ笑うと、フィリアはにっこり笑いながら二人に「ありがとうございます」と礼を言った。
気にするなと二人が返事を返したあとはとくに変な会話もなく、とてもスムーズに作業は進められた。
見える範囲のお骨を集めると、それを入れる木箱やつぼをもっていなかったフィリアは、ジョニーにもらった白い紙にそれをおき、綺麗に丁寧に包み込んだ。
その間とリオンはご丁寧に用意されていた(byジョニー)スコップで、燃やすのに使った草木の灰まで入るくらいの大きな穴を掘っていた。
といっても、灰を移動させるのがめんどくさいといいだしたリオンの意見で、バティスタを燃やした場所の土を掘っていたのだが。
「入れました」
「よっし埋めるよ」
その穴の中心部にフィリアがお骨を入れると、とリオンが掘った土を埋めなおした。
土を元に戻すと、そこらへんでみつけた丁度良い楕円の大きめな石をお骨を埋めた土の上へ置いた。
「あとは線香でも立ててあげようか。花も一緒に添えて」
「線香?」
「これだよ。火をつけるの。仏様にとってはご飯と同じ役割をもってるんだって」
一人につき一本渡すと、はフィリアに頼んでクレメンテで炎を出してもらった。
吹いちゃダメだよ!というの指示通り振って炎を消すと、3人はバティスタの墓の前にそれをさした。
「これでやっと終了だね」
「思ったより時間はかかりませんでしたわ」
「坊ちゃんのおかげでしょうv」
「・・・嫌味か」
墓の前で手を合わせているフィリアの上で、リオンとがじゃれあった。
「お二人とも、本当にありがとうございました」
「いいっていいって!」
「・・・フン」
それぞれ反対の反応を返す二人を見て笑うと、「それじゃあ宿の方へ行きましょうか」とフィリアが言った。
それにとリオンが頷くと、三人は活気が戻ったらしいモリュウの街を軽い足取りで歩いた。
途中、朝ごはんーーー!と叫びだしたに、リオンがシャルティエでつっこみを入れた。
宿につくと、フロントで朝から無理やり部屋を取ることに成功したスタンにあった。
ルーティに「フィリアたちがまだこないでしょう?」と留守番を言いつけられたらしい。
謝ったり同情したり貶したりとそれぞれスタンに反応を返すと、それぞれの部屋へと向かった。
「フィリア、やーっときたぁ」
部屋に入ったとたん、待ちくたびれたと嘆くルーティにいろんな意味で熱烈歓迎を受けた。
フィリアとがルーティに謝ると、マリーが「そんなに時間もかかってないと思うが・・・」と横から口をだした。
そしてみごとにルーティに無視された。
朝ごはん食べに行くよ!というルーティの言葉に、が大喜びした。
さすがに朝食まですぐに準備できないという宿屋の主人の言葉を聞くと、男性陣も交えて街へとくりだした。
ジョニーの紹介により、街で評判のラーメン屋で朝食をとると、一行はのろのろとものすごいスローペースで宿へと戻った。
「お店開いててよかったね」
「そりゃあ領主が変わってまともな生活できるようになったから、嬉しくて嬉しくてしょうがないんでしょ?それよりお風呂入れないのかしら〜。あ゛〜〜〜〜お風呂お風呂お風呂ーーー!!!」
「入っていいって」
「マジ!?行きましょ行きましょvv」
あまりに煩いルーティの所為・・・・おかげか、宿の主人はお風呂の支度を事前にすませていたらしい。
キャーキャーはしゃぐと、ルーティは女性陣3人をひっぱっていった。
「あ〜〜〜〜〜〜〜〜・・・疲れが取れるわぁ・・・・・」
「本当に、いいお湯ですね・・・・」
「なんか俺寝そう・・・・」
「私も眠たい・・・」
「寝ちゃだめよ二人とも!!」
うとうととお風呂につかりながらしだしたマリーとに、ルーティが慌ててつっこんだ。
冗談だって!とが笑いながら言ったが、ルーティは思い切り疑っていた。
「ここも露天風呂なんだな」
「いいじゃん。露天風呂は開放的な気分にさせるんだよ〜〜」
「さんはいつも開放的ですわ」
「フィリア・・・・だんだん性格が良い方向に・・・・」
フィリアのもっともなつっこみに、がはらりと涙を流しながら言った。
ルーティとマリーがフィリアの台詞を聞いて大爆笑していると、男湯の方から例のあの人が声をかけてきた。
「へーい可愛いアーンド綺麗な女の子たちvもうちょっとこっち向いて☆」
「あ、ジョニーさんだ」
ジョニーさんだ。(何)
「またあんたたちまで入ってんの?」
「なんだよそれ。いつ入ろうが俺たちの勝手だろ〜?」
こっちだって汗流したいの我慢してたんだっ、というスタンとルーティが、仕切りごしに口喧嘩しだした。
始まったよ〜と他のメンバーたちが呆れていると、リオンが「言わなくていいのか?」とスタンに声をかけたのが聞こえた。
「え・・でも知らぬが仏って・・」
「そーそ。よく分かってんじゃんスタン!」
「何が知らぬが〜なのよ?」
「な、なんでもないよ・・・・」
歯切れ悪く返事を返したスタンに、ルーティが「あんたなんか隠してんでしょ」とつめよったが、スタンは口を割ろうとしない。
ジョニーの機嫌はよさそうだ。鼻歌を歌っている。
うぬ?と首をかしげると、がジョニーに声をかけた。
「ジョニーさん?」
「なんだい?」
「覗いてるでしょ」
「お、よく分かったね」
「「キャーーーッッ!!!」」
「・・・・ああ、大変だ」
の爆弾発言をジョニーが肯定すると、ルーティとフィリアが大声で叫んだ。
マリーは一テンポ遅れて手をぽんとたたいた。
ザバッと深く湯に浸かったルーティとフィリアとは反対に、はさばさばと風呂の中を歩き始めた。
「二人ともナイスリアクショーン☆」
「スタン!あんたなんで言わなかったのよ!!」
フィリアと抱き合いながらルーティが怒鳴った。
「だ、だって・・・・・」
「スタンも覗いたからさ」
「嘘言わないでくださいジョニーさん!!」
ジョニーの言葉をスタンが大否定し、リオンは呆れは大笑いした。
「ここかな。あ、ジョニーさんやっほー」
「おっと見つかったか☆」
「覗き返すな」
「ジョニーさんしか見えないから大丈夫だよー」
仕切りにむかって手を振る。男湯からリオンが思い切りつっこんだ。
そのつっこみにが口を尖らせながら文句を言うと、ジョニーがげらげら笑った。
「ルーティはともかくフィリアとマリーさんは見ちゃダメ!俺たちが独占するの」
「ちょっと、なによそれ!」
ジョニーから女湯が見えないように覗き穴があいている岩の前に座りこんだ。
ルーティがのお茶目につっこんだ。
あはははーと笑うにルーティがキレていると、ジョニーが仕切りの向こうから「むむむ〜・・・」と奇妙な声をあげた。
「も悪くないぜ。そのくびれた腰なんて最高じゃねーか。なによりタオル一枚、しかも濡れてて体にはりついてるって時点でもう」
「ジョニーさんてば親父発言☆そんな親父なジョニーさんにはこれだ!目潰し☆」
「どわっっ!!!」
「でかしたわ!」
「はいルーティさん、テープ」
「準備がいいなフィリア」
が指を穴から抜いた瞬間、ルーティがフィリアから受け取った強力なテープ(入手先不明)をべたべた貼り付けた。
ジョニーはちょっぴり目潰しをくらってうめいている。あたりまえだが痛そうだ。
「まったく・・・・風呂もまともに入れないのか」
「坊ちゃ〜んvそんなこと言っていっいのっかな〜♪」
「なんだ目潰し魔。気持ちの悪い」
楽しそうに声を弾ませて言うに、リオンが顔をしかめながら返した。
「まーたそんな素敵な名前つけちゃって☆」
「お前の頭も素敵になれ」
「シャルはいる?」
「シャル?シャルなら・・・・・・・・・・シャル!!?」
『坊ちゃ〜〜ん』
「シャル!?どこだ!?」
そういえば脱衣所でもうすでに姿が・・・・・と考えながらリオンは周りを見回したのだが、それらしいものはどこにも無かった。
『こっちですよ。女湯』
「何!?」
「なにがおきてんだい?」
「はぁ、リオンのソーディアンが女湯にいるそうなんです」
「な、なんだって!!?なんてうらやましい!!」
言った瞬間、ジョニーの頭上に数石石が落ちてきた。
スタンはもう開き直ったのか、何が起きても驚かなかった。
「なにをやってるんだお前は!」
『なにって、僕が自分からこっちに来れるはずないじゃないですかっ。に攫われたんですよ〜っ』
「!!」
「タオル巻いてあるから大丈夫だよ」
『せめて攫いまでしてお風呂入るならタオルとってよね、!』
「シャル・・・・」
『はーいすみません』
『シャルティエ・・・・』
『なに?うらやましいディムロス?クレメンテはうらやましがってたよ』
『そんなわけあるかっ!』
大声で言い返したディムロスに、とシャルティエが「素直じゃないなぁ〜もう」と声を合わせていった。
スタンが同情半分、笑い半分で複雑そうな顔をしながらディムロスを見ていた。
「、私たち先に上がってるわよ」
「うん分かったー」
「シャルを返せ」
「絶対やだー」
「・・・・・」
仕切りのすぐ近くから、リオンのどすのきいたこえがの耳に入った。
あとで怒られるよーというシャルティエに大丈夫☆と言葉を返しながら、は巻いていたタオルをとった。
『うわっ!なにとってるのさっ!!』
「タオル」
『だ、だめだって!!』
「ルーティたちもいないし、俺もタオル巻いてるし、問題ないっしょ」
『〜〜〜〜っっ』
タオルを取り終わってそこらへんの岩にシャルティエを立てかけると、は満足そうに笑った。
一方のシャルティエは勘弁してくれといわんばかりに情けない声を出している。
「なにをやってるんだ痴呆娘!!」
「シャルとコミュニケーションをば」
「今すぐやめろ!シャルが汚れる!」
「酷っ!」
『汚れはしませんよ坊ちゃん〜』
まだ怒鳴ってくるリオンに、が面白がりながら返事を返していた。
「とにかく返せ!」
「今すぐってんなら上登って届けてあげる。もれなく俺もついてくるけどね」
「遠慮しておく」
『判断早いですね』
ここまでの会話時間3秒。並じゃないスピードにジョニーもびっくりだ。スタンは慣れている。
言い争った挙句、シャルティエはそのままということになった。
「やっと一緒にお風呂入れたね〜シャルv」
『そういえばそうだね』
なんだかんだいって、二人はのんびり温泉に浸かっていた。
その後風呂をでたは、廊下で待ち伏せしていたリオンにシャルティエを奪われ(取り返され)た。
眉間にしわをよせているリオンに、「せっかくの浴衣が台無しだよ坊ちゃんv」と言いしわをぐりぐり指で押したは、しばらくスリル満点な鬼ごっこを宿内で繰り広げた。
続く
−−−−−−−−−−−−−−−
なんなんだこれは。アホなんだかまともにやりたいんだか。(謎)
涙そうそういいですよねぇ〜・・・大好きです!!
にしてもジョニーさん目潰しみごとはまってくれました。やっぱ一度はやっておかなきゃ☆(コラ)
やっとシャルとお風呂に入れたさーv!!
案外純粋っこだったシャル。
と思いきやその状況にもすぐに慣れてしまう適応能力の高さ。ありえん。(本当にな)
さーてまた資料なくなっちゃったYO☆ディステニーやるぞー。お〜〜。
・・・・こんなのに付き合っていただいて感謝です。