「あ・・まだやってたんだ。バティスタはどう?何か吐いた?」
「吐いたといったら唾ぐらいじゃね?ところでスタン、無事だったん・・・・だってわけでもなさそうだね」
イレーヌとともに帰ってきたスタンの傷だらけな顔を見て、は思わず言葉を失った。
後ろではイレーヌが苦笑いしている。
「あはは・・・・。コングマンとかいうのにやられて・・・」
「はぁ?あんなのに手だしたのお前?」
アホやん。とスタンに裏手つっこみを入れたに、スタンがだってさー・・といじけたように言った。
「あいつ、イレーヌさんのこと悪く言ったんだ」
「ダメよスタンくん!!!」
「・・・・。だとあのハゲーーーーーーー!!!!!!」
my way of living 18
〜若禿げとリオンばりの短気女と寂し悲しき一人身男〜
「煩い!」
急に扉の前で叫びだしたにむかって、リオンが不機嫌そうに怒鳴りつけた。
が、振り返るともうそこにの姿は無く、いたのは唖然としているスタンと慌てたイレーヌしだけだった。
「リオンくん、スタンくん、急いでを追って!!あの子一人であのハゲ・・ゥヲフンッ、コングマンのところに行くつもりだわ!!」
「なんだって!!?」
「あのバカ・・・!!」
「早く止めないと・・・危険よ!」
「・・・どっちが?」
「・・・・・・・・・・・行けば分かるだろう!!」
言うや否や、ばたーーんっと大きな音を出して閉まった玄関へとリオンは駆け出した。
スタンも焦ってその後を追い、残ったのはイレーヌと状況がわかっていないフィリアととりあえず気絶したバティスタだけだった。
「止まれ!!!!」
「お願いだから待ってくれーー!!」
「なにやってんのよ?」
玄関から出てすぐ、中央の道の上に位置する橋に向かって走るを二人は追いかけていた。
叫びながら走っていると、目の前にルーティとマリーが現れ、スタンが慌てて二人に説明した。
「!!」
そのころリオンはの姿を確認し、その後ろを追いつくか追いつかないかくらいのスピードで追いかけていた。
当のはというと、無視しているのか周りが見えていな・・・・いのだろう、(オイ)とにかく前だけ見て姿勢を低くし、出るだけのスピードを出して走っていた。
道にいた通行人を5・6人轢きながら。(道路交通法違反)
「単細胞!止まれといっている!!」
リオンの必死の呼びかけにも答えず−−−普通の人間でも答えはしないが−−−ひたすら前へ進んでいくは、中央の橋まで来ると、石でできた手すりを軽くたんっと蹴って下の道へ飛び降りた。
「チッ!」
『相変わらず身軽だなぁ・・・・じゃなくて。やばいですよ坊ちゃん!』
「分かっている!」
同じように橋まで来たリオンはシャルティエに答えると、同じように手すりを蹴って下の道へと降りた。
「ああ!リオン!」
遅れてきたスタンが橋の上で立ち往生し、ルーティが「向こうから降りるわよのろまっっ!」と蹴ったような音が後ろから聞こえたが、リオンはそのままの後を追いかけた。
《さあ次の挑戦者は〜・・・・自称無名の勇者だ!!おーっと!さっそく場内から名前に対してのブーイングがとびだしたー!》
その演説はよけいだ。(名前もどうかと思う)
「ふんっ、3秒でかたずけてやる!」
「そう簡単にはやられない!!」
すっ・・と手を胸の辺りまで上げてコングマンが構えると、挑戦者の自称無名の勇者も剣を構えた。
《両者が構えたところで試合を始めましょう!レディ〜・・・・ゴッ》
「じゃぁぁああああああまだぁぁああああああああ!!!!!!」
「おぶふぅうッッ!!!」
ものすごい砂煙とともに、自称無名の勇者はふっとんだ。
「げっほ、ゴホッッ!な、なんだ!?誰だお前は!!」
たとえはった押されて鼻血を出していたとしても、自称無名の勇者は声だけは格好良く張り上げた。
だが手にまで流れてきている鼻血が生々しい。
「なんだ誰だと聞かれたら。答えてやるのが世の情け」
どこかできいたフレーズだ。
「・・・・・なんて誰がテメェに情けなんぞかけてやるか!!というか今ここで張ったおしただけですませたのが情だ!とっとと帰れ!」
ずももももも・・・という音とともに(換気扇効果)現れたのは、ひょろっとして自称無名の勇者ほどの背もない一人の少女・・・だった。
の姿がそこに現れたとたん、会場に笑いの渦が巻き起こった。
例に漏れず(?)自称無名の勇者も笑っている。
「お前が私に情だって?どこで覚えたんだいお嬢チャン。さっさと帰りな。来る場所が違うよ」
「中央公園に桜でも見に行ってきなー!!」
「ガキはおよびじゃないんだよー!!」
ところどころから笑いと野次が次々飛んできたのだが、は表情と目線を変えはしなかった。
「おい、どけよ。俺が挑戦するところなんだ−−−ブハッッッ!!!」
片手で顔面を殴られた自称無名の勇者は、思い切り無様に転んだ。
笑いの渦が巻き起こっていた場内は水をうったようにしーんと静まり返った。
「挑戦者?無名の勇者?笑える名前してんのな。つかお前こそ来るところ間違えてんじゃねえの?そんなに人に見られたいならサーカスにでも行って来いってんだ雑魚!!!」
「ギャーーーーーッッ!!!」
どかーん。と、自称無名の勇者はギャラリーまで蹴り飛ばされた。
「ほーぅ。中々やるようだなお前。だが、所詮はこのコングマン様の敵ではなーーーい!!」
コングマンが「うをーー!!」と遠吠えを揚げると、場内は一気に盛り上がった。
それに水を差すかのように、が一言いった。
「はっ?バカじゃねえの?」
「だとゴラ!!!」
肩を竦ませて思い切りバカにしたに、コングマンがキレて怒鳴った。
「何年前の流行だよ。両手挙げながら「敵ではなーーーい!!」だって!バカ意外、お前になんの言葉がつく」
「言わせておけばこのガキ・・・・・・!!!!・・ん?お前、イレーヌのところのガキじゃねえか。そーかそーか。仕返しってわけか」
ニヤニヤと笑いながらコングマンが言うと、会場がざわっとどよめいた。
ああ、さっきの!と話すものもいれば、馬鹿にするものもいた。唯一つ観客の全員が共通していたのは、の答えを期待していることだった。
コングマンもが慌てふためくとでも思っているのか、余裕そうに構えている。
「・・・たりまえじゃこんハゲ頭ーーーーーーーー!!!!!」
「な、これは剃ってるんだ!!!!」
嘘だ。
そこにいた全員が思った。
「ガキだと思ってなめていたが・・・・もうゆるさねえ!!ぶっ殺してやる!女が来るところじゃないということを思い知れ!!」
「上ー等。イレーヌさんになめた口聞きまくったヤツをそうそう逃がしてたまるか!!つーか女だどうだなんて今時古いんだよヴァカ!!!
その固まった頭皮崩してくれるわ若禿げ!!!!!」
「禿げじゃない!!!」
「ちょっと待った!!!」
今まさに二人が戦いを始めようというとき、出入り口から声が聞こえた。
しっかりとチケット代を払って入ってきたリオンとスタンとルーティとマリーである。
ちなみに払ったのはリオンとスタンだ。
「あ。リオンと愉快な仲間たち!」
「愉快な仲間たちではない馬鹿者!」
「帰ろう!勝てっこないよ!」
キレたリオンの横から、スタンがまともに呼びかけた。
が、今更といわんばかりには思い切り「ノー!」と返した。
「お前が負けたからって誰も責めやしねぇよスタン」
「それでもう十分だ!!」
「ガキ、逃げるなら今のうちだぜ。「私が馬鹿でした。ごめんなさいコングマン様〜」と言えば許してやろう」
踏ん反りかえって言うコングマンに、が嘲笑した。
「俺よりバカなやつにどうして馬鹿でしたなんて言って謝る必要があるんだよ?本格的なバカだなお前は」
「ぶっ殺してやる!!」
「だから待てってば!!!」
「黙れスタン」
忠告も聞かずさらに相手を煽ったにコングマンが殴りかかろうとしたとき、スタンが声を張り上げた。
そのまま中へ入ってこようとしたスタンたちに、がしっかりとした声でそれを止めた。
「これは俺の喧嘩だ。多勢でこいつをつぶす気は無い。よく言うだろ?多勢で無勢をつぶすのは暴力。喧嘩は一対一のタイマン〜」
「でも・・!!」
「それ以上こちらに入ってきて邪魔をするというのなら誰であろうと許さない。たとえお前でもリオンでも・・・殺す」
コングマンから目を離さずに言い切ったに、誰も言い返せなかった。
カルバレイスの時と同じく、はすさまじく殺気だっていた。
「上等だ女。その度胸だけは褒めてやろう。だが・・・その強がりも後で後悔に変わるだろうよ!!」
「黙れ虫けら。貴様に本気で褒められたらわかめちゃんだって登校拒否になるわ!!」
ダンッと巨体のわりに早く動くコングマンがに向かって殴りかかってきた。
さっと左に避けただったが、またすぐにコングマンが右手を振ってきた。
「どーしたよ。避けてばっ・・・グワッ!!」
どかんどかんともぐら叩きのよう地面や空を殴っていたコングマンが、余裕綽々で言葉を喋った隙をついてが懐に入り込んだ。
そのまま手に回転をかけながら思い切り鳩尾に拳を打ち込み、バックステップをして十分すぎるほど間合いをとった。
が、さすがにチャンピオンをしているだけあり、コングマンの方はあまり効いた様子は無かった。
ただ少しむせたくらいですぐに体制を立て直した。
「ふん。口のわりに力はたいしたことねぇな」
「そんなに力あってたまるか。オリャボディービルダーじゃねぇっつの」
「弱いやつほど口は達者だなっ!!」
「フンッ」
じわじわと近づいて間合いに入った瞬間、コングマンはすぐに打ち込んできた。
打っては避け、打っては避けの攻防が数十分続き、コングマンが無駄口を叩くとが鳩尾に一発、また一発と、試合は中々進まなかった。
「ほらほらどうした?もう終わりか?随分と余裕がないじゃないか」
「どっちが?息が上がってきたみたいだけど?」
「お前みたいなクソガキには十分だ!」
「心の弱い人間ほどよく人を侮辱する・・・・」
「なんだと?!俺が弱いとでもいうのか!」
「言語理解力の乏しい猿には理解できないだろう。猿人」
「貴様あ!!」
「図星をつかれて怒ってるのか?弱い人間は人を侮辱することで自分が上だと錯覚する。怖いから、攻撃される前に先制攻撃をする。
そんなやりかたでついた地位じゃ、足元いつすくわれたっておかしかねぇだろうが。御高くついて我が物顔してんじゃねえよ。いつまでたっても成長なんてないんだろうよ」
「黙れ!」
が言い終わるか終わらないかのところで、コングマンが動いた。
「馬鹿がっ」
大きく開いた懐めがけて、同じ鳩尾に拳を突きたてた。
つっこんでいった分の力との力の分で威力が加算されたのにプラスして、何度も殴られた鳩尾がいい加減悲鳴をあげた。
軽く吐血をすると、コングマンは地面に膝をついてむせこんだ。
「相手を軽視すると攻撃に隙ができる。大体の人間はふりが大きくなる。結果どうなるか・・・分かっただろ?」
「・・・はぁ・・・はぁ・・・チッ」
動けないよう、コングマンの目の前に剣を突き出してが言った。
勝負あった、と誰もが思った。−−−が、司会者が「試合終了!」といおうとしたときだった。
が少し剣を下ろした瞬間、コングマンはの首をつかんで持ち上げた。
「・・・ぁ・・・ぐっっ・・!!」
「油断したなガキ。試合はまだ終わってない」
これで終わりだ、と、手に力を入れると、数秒後は抵抗していた手をおろした。
会場にいた人々はあっと息をのんだ。
「貴様・・・・よくも!!!」
リオンとスタンが飛び出しかけたときだった。
ガッ
「ぐぁああ!!」
「!」
意識を手放したと思ったが、コングマンの目を剣の柄で思いっきり突いた。
おわぁ・・・と、見ていた誰もが顔をゆがめた。
「・・・・痛そう」
「あたりまえだ」
スタンにリオンがつっこんだ。
「っっだーーーー危ねえ!!もうちょっとで死ぬところだっただろ?!はげ!はげ!!若禿げーーー!!!」
「死ぬのはこっちだっつのガキーーー!!」
「目の一つや二つなくなったところで死ぬか能無し!!」
「これだから女ってのは嫌なんだよ!!」
「世の女性だってお前みたいな禿バカ能無し自意識過剰男なんてこっちから願い下げたって叫ぶわコレラ菌!!!」
「俺は細菌じゃねーー!!!」
「黙れキングコング!!お前なんざ存在自体邪魔だ!肉貯まり!!」
がばっと起き上がると、二人ともさっきまでの緊迫が嘘のように大声で罵り合った。
コングマンがまた殴りかかり喧嘩(?)が始まると、観客からは二人に向けて色々な声援が送られた。
「死ねガキ!!」
「フンッ、やられた目の方がガラ空きだ」
剣を鞘に収めたままはコングマンのわき腹を横に掻っ切った。鞘に入っているのであくまで動作だけだ。
今度こそ本当に倒れこんだコングマンを見下ろすと、剣を鞘から抜き取った。
「飾りばかりの愚か者めが。戦いの意味が違うんだ。俺はお前に挑戦するものでもなければ正々堂々戦いを挑みに来たものでもない。・・・・というわけでイレーヌさんとスタンの侮辱への判決を言い渡す」
「・・・まさか、殺す気じゃ・・・!?」
スタンがはっと息をのんで言った。まさか!と目を見開いて、ルーティやマリーやリオンも同じようにを見た。
「な・ま・ゴ・ロ・しv」
「−−−っ!ギャーーーーー!!!」
にーっこり可愛らしく笑ったは、それはもう会場から出てくる人たちが青ざめながら口元を押さえるほどむごくコングマンを殺った。(嫌)
「!もう勝負はついてる!やめるんだ!!」
「イレーヌさんやスタンを侮辱した罪は重い。謝るまで殺る」
「ピコハン!!」
「ってギャーーーッッ!!」
どご。がす。ピコンッ。
スタンの話を流してコングマンを蹴っていただったが、リオンのピコハンによりベッド送りとなった。
ちなみに今更だが、に撃った場合にだけ、追加効果で軽く3・4個はピコピコハンマーが落ちてくる。
「相変わらずだなぁ」
「お前もな、コングマン!」
「・・・・・・は?」
医療室で、スタンは思い切りマヌケな声をだした。
他のメンバーたちもまけず劣らず、間の抜けた表情をして今目の前で起きている出来事を見ていた。
「あんた・・・こいつと知り合いだったの?!」
「うん。前に街のガキ相手になんかやってたところを俺がとび蹴り食らわせて、その後街中のガキどもとリンチした」
「え゛・・・・・」
「あの時はすごかったなぁ」
「かなりなぁ〜。流血ざただったし」
「・・・・」
絶対にコングマンだけ(流血したん)だ。と、誰もが思った。(実はフェミニスト?)
久しぶりだ、友よ。とうんうん唸っている二人を見て、スタンとルーティは「はあ?」と言い、リオンは呆れたようにため息をついた。
「少しは手加減しろよな。危うく死ぬところだったぜ」
「お互い様。つか毎回俺を怒らせるようなことをするな」
「いや、役柄的についな。ダリルシェイドへ行ったと聞いたが、上手くやってるようじゃないか」
「おう。みんな良い奴だよ。お前も上手いことやってるようだな」
二人がげらげら笑っていると、リオンをはじめメンバーたちが疲れたような顔をして医療室を出て行った。
「あ!皆待てよ!コングマン、じゃな。また会おうぜ!」
「おう!がんばれよ!」
そっちこそ。と言ってにかっと笑うと、は急いでリオンたちを追いかけた。
「聞いてませんよ。コングマンとが知り合いだなんて・・・・」
「だって、言う前に二人ともでていっちゃうんだもの・・・」
の傷の手当てをしながら、イレーヌがいじけるように言った。
いいとしこいて・・・・というリオンのつっこみは、幸いなことにイレーヌに聞こえてはいなかった。
「前はたしか街中の子供たちで彼をぼこぼこにしちゃって・・・」
「そうそう。で、変なことにヤツとの男の友情が生まれちゃったのよ」
「どんなだよ・・・・」
まったくだ。
とりあえず傷の手当て(といっても薬を塗る程度)を終えたは、リオンたちに「ごめんごめん」と謝罪するとそそくさと浴場へと向かっていった。
深夜2時。人間が深い眠りにつき、植物までもが眠るといわれるころあいであった。
激しいからだの痛みと痺れで、バティスタは目を覚ました。
「いてて・・・クソ!あのガキ本当に容赦なくやりやがった・・・」
辺りは暗く、あるのは窓から差し込む星の光くらいだった。
バティスタがきょろきょろと周りをみまわしているときだった。カチャッ・・・っと、静かに扉が開いた。
「よっ、おっさん。起きたかい」
「お前か・・・」
「フィリアじゃなくて残念〜」
けけけと笑いながら(怖)何かを持ってくると、はそれをバティスタの前へと置いた。
「食事だよん。力つけて、さっさといきな」
「・・・・自分がなにを言っているのか分かっているのか?」
信じられないといわんばかりに、バティスタは目を見開いた。
昼間あれだけ自分を捕まえるのに必死だった人物が、今度は自分を逃がすというのだ。
わかってるさ。と軽く言うと、はバティスタの縄をてきぱきと解いていった。
「ほら、さっさと食べる!みんな起きてきちまうぞ」
「・・毒でもいれてんじゃないだろうな」
「そんなものあったら昼間のうちにとっとと使ってるっつの」
「・・・」
バティスタは聞いておいて後悔した。
そして今度はあったかいうちに食べて、早く行け。と言うを疑わしげに見やった。
「油断した隙に殺すんじゃねぇだろうな」
「だったら剣でももってくるだろうがよ。手でも殺れるけど、そんなことする相手の縄わざわざとくかよ」
「俺がお前を今この場で殺そうとしたらどうするんだ」
「んな体力残ってもいないくせによく言うぜ」
「・・・・・はぁ。わぁったよ。お言葉に甘えさせていただきます」
嫌味ったらしく言ったバティスタに笑うと、はほらほら♪と料理を勧めた。
無くなった体力をとりもどすかのようにどんどんと食べていくバティスタをぼけーっと見ながら、はときおりあくびをした。
「おい、なぜ俺を逃がす」
「さあ。間がさしたのかな。あんたこのままじゃ本当に死ぬし」
「・・・・」
「なにより、フィリアがかわいそうだからね」
「さっきから、なんであいつがでてくるんだ」
パンを口に含みながら、バティスタは不服そうにに問いただした。
はあ?と思い切り呆れると、は「あんたって意外とバカなんだな」と笑いながらいった。
「フィリアは優しいからな。いくら敵といえども仲間が死ぬところを見るのはつらいだろ?なにより・・・気がありそうだしv」
「お前実は楽しんでるだろう」
「あ、分かる?」
笑いながら至極軽く言ったに、バティスタは思い切りため息をついてあきれ返った。
「もてる男はつらいねぇ」
「自分でいうか?そういうの」
ふざけて肩をすくめたバティスタに、今度はがつっこんだ。
気付かれないように二人でくすくす笑っていると、バティスタがふぅ、とため息をついて壁によりかかった。
「お前たちといたから、フィリアも変わったんだろうな」
「あ、変わったんだ」
「前はあんなに強く自己表現なんてしなかったからな」
「へー。よく見てんじゃん♪」
「そういう意味じゃないっつの」
きゃはーっっとわざとらしく喜ぶに、バティスタがつっこんだ。
「俺ももっと早くにお前らに会っていれば・・・違う道を歩けたのかもしれないな・・」
「今からでも遅かねーよ」
「いや、もう遅い」
「何でさ?」
「・・・・遅いんだ」
「意地、か。後で後悔するぞ」
「かもな。今なんとなく先がよめた気がする」
「ははっ。バカだねぇ」
が言い終わるとともに、さてとっと言いバティスタが立ち上がった。
「そろそろ行くわ。ながいしてたらつかまりそうだしな」
「だな。ま、がんばれや。次ぎ会ったときはきっと殺しあうことになるだろうから・・・・」
「そりゃーみつかんねえようにするか、力つけなきゃなー」
「・・・・逃げろよ、できるだけ遠くに。フィリアのためにも。あんたのためにも。・・できればまたこうして遊びたいからね」
「・・・・ああ。フィリアともまた話したいし・・・な」
「やっぱ気があるんだ〜vv悲しい一人身〜。独身生活〜♪わわわわー」
「煩い」
玄関まで音を立てずに行くと、律儀なことにバティスタはぱっと手を上げて走っていった。
「・・・敵なのに挨拶なんてしちゃって。律儀なやつ」
「楽しんでいるのはいいが、煩すぎだ」
「うわ!リオン起きてたの?!」
「あたりまえだ」
あれだけ騒がれたら嫌でも起きる。といったリオンの言葉に、はさっと青くなった。
「皆起きちゃったかな・・・・?」
「フィリアは一度寝ると一定の時間がたたなければ起きないしルーティは起きたとしても何事もないと判断して寝るだろう」
「あまりの睡魔に襲われて?」
「マリーは気付くかもしれないがめんどくさがるルーティに寝ろといわれるだろうし、スタンは例外だ」
「ていうかなんでそこまでデータ取れてんのさ」
のつっこみに、リオンは今までの行動の所為だと軽く答えた。
さいですか・・・というと、は安心したように顔を緩め、今度は物思いにふけるようにため息をつくと座り込んで空を見上げた。
月の出てない、星だけが空一面に輝く綺麗な夜空だった。
いくら栄えた町といえど、ノイシュタットにはこんな時間にまで空いている店はない。
飲み屋はあるが、主に旅人にしか活用はされていなかった。豪邸の並ぶこの町では、杯を交わすのは自分の家か他人の家だ。
「夜桜か・・・・」
こんなところにこんなものがあるとはな、というリオンに、は笑いながら「あ、それはね〜」とイレーヌの話しを教えた。
「俺もここに来た日にコレ見たんだ」
「昔はここまで大きくはなかった」
「ああ、そっか。リオンは昔からの知りあいだもんなぁ。知ってるか」
いいなぁというに、なにを言ってるんだ馬鹿がとリオンがつっこむと、今度は「どうして前来たときは気付かなかったの?」と質問してきた。
「僕が最後にここにきたのは半年前だ」
「うっわ桜さいてねぇー」
がげらげら笑うと、リオンはアホが・・と呆れた。
しばらく桜を見ていると、リオンが明日は・・・と話を切り出した。
「バティスタは追わない。ここで一旦休憩をとる」
「えっ、マジでっ、やったー!」
「大声をだすなバカ」
両手を挙げて喜んだにリオンがつっこんだ。
「なぁなぁリオン、一緒に遊びに行こうぜ!あいつらきっと喜ぶし!!」
「ガキの相手はごめんだ」
「どーせ本読んで暇にしてスタンいじめて一日過ごすきなんだろー?いいじゃんねーねー」
『いいじゃないですか坊ちゃん、たまには』
「そうだぜ坊ちゃん!」
ていうかシャル起きてたのね、というに『ほんとはすごく眠い☆』とハイテンションでシャルティエが答えていると、リオンが怨めしそうにシャル・・・・と言ってきた。
「シャルをいじめるのはやめてっ!かわりに私が・・・・」
『いいんだ!僕はこうなる運命だったんだ・・・!!』
「・・・なにバカをやっているんだ馬鹿者ども」
「うわ!バカ2回も言った!」
『2回も言われたよ!』
ギャーギャーと騒ぐ二人にいい加減折れたリオンは、明日につれられることにとうとうOKをだしてしまった。
折角の休日が・・・・とうなだれたリオンに、シャルティエが『きっと楽しいですよ坊ちゃん!』とフォローを入れていた。
ただ単に二人のやりとりを見て楽しんでいるということはばればれだったのだが。
「じゃ、明日はリオンとデートか!初デーツ☆」
「気色悪いことを言うのはよしてくれ」
うぇ・・・・と本当に気持ち悪そうにしたリオンに、が照れんなって☆と張り手をくらわせた。(哀)
そんなこんなで夜更かししまくった二人は、明日思い切り寝坊することになる。
続く
−−−−−−−−−−−−−
ていうかコングマンかよ。というつっこみがきそうです。
書いてて自分でも疲れました・・・・コングマンてどんな喋り方だっけ?(コラ)
戦うシーンて難しいですねー。あれ、苦労します。ドラゴンボールとか、よく書けるよなぁ鳥山先生!(先生かよ)
一番好きな漫画家は高橋留美子さん。らんまファンです。(笑)
んなこたどうでもよくて。リオンルックしたい今日この頃。やっぱ王子ルックは憧れるでしょう!
と、こんなの思ってる頃に書いたものですよ〜。(今書いてるんだけど)
ていうか、よく平気そうに話せるなコングマン。
つか勝てるわきゃねえよあんなデカブツ。
いや、でも格闘系って小さい方が有利だしな・・・・(どうでもいい)
まあまあなにはともあれ、こんな駄文につきあってくださった方、ありがとうございました。