リオンたちが帰ってくる3日目。はいつも通りの朝を迎えていた。・・・・・はずだった。
「・・・・・・」
「どうしたんだ?」
ヒューゴが「熱でもでたのか」と不思議そうにに問いかけた。
いつもの通り食事の後にコーヒーを飲んでいたのだが、いつも煩いくらいに話しだすの声がない。
「・・・・あ」
「あ?」
「頭痛い・・・・・」
「・・・・・。眠りすぎですよ」
心配そうに見守っていたマリアンが苦笑いしながら答えた。
my way of living 10
〜良い旅夢気分?してやられるパパの巻き〜
結局、昨日は夕食も食べなかった。
時間になったら必ず「お腹すいたー!」と元気に現れていたが、だ。
マリアンが呼びに部屋へといっても、すやすやと起きることなくずっと眠り続けていたのだ。
病気かしら・・・・と皆が心配していたのだが(オイ)、朝起きたらこの通り、相変わらずのボケっぷり。
「夜になっても眠っているし、夕食まで抜かしたから病気かと思ったけど、大丈夫そうね」
「病気?!そこまで!?って俺夕食抜かしてたの??!その所為だっ。絶対頭痛いのその所為だっっ」
「まさか」
どこまでも食べることに関心を向けるに、ああもういつも通りだと皆が笑った。
「ひっどいなーみんな。うぅ〜それにしても頭痛い・・・」
「理由が・・・・・分かったとしても直るものでもないからね。少し休むといい。熱はでてはいないんだろう?」
と言うと、ヒューゴがの額に手をやった。
「・・・・・ないようだな」
「うー・・・。ヒューゴさんの手冷たくてきもちいー」
ふにゃ、と力を抜いて目を閉じたから、ヒューゴはスッと手を離した。
「そうかい?子供の体温は高いからね」
「いじめだっ」
やっぱりリオンの父さんだーーーーー!!と騒ぎだす。
すっかりいつもの調子をとりもどしたはマリアンにプリンを作ってもらう約束をすると、本を読む!と自室へと戻っていった。
「少し精神をいじったんだ・・・そうすぐに体は動かないだろう」
ヒューゴのぼやきに気付くものは、もちろんいなかった。
昼食を済ませてから数時間後、は廊下をさまよっていた。
「ヒューゴさんはどっこかな〜。さっさと本読んじまわねぇとリオン帰ってくるしプリン食べれないし!」
大問題だっ!(プリン)ヒューゴさーん??
一人百面相しながら歩いていると、後ろからレンブラント爺に声をかけられた。
「どうしたのじゃ?」
「ヒューゴさんを探してるんです」
「書斎は反対側じゃよ?」
「・・・・・・」
「迷ったんじゃな」
「・・・・・・はい(1ヶ月もいて)」
目を泳がせていたを見て、レンブラント爺が悪戯っぽく笑いながら言ってきた。
だってこの屋敷広すぎですよ!と苦し紛れに言うを笑いながら、レンブラントは書斎への道を教えてくれた。
「ありがとうございます」
「もう迷子にならぬように気をつけるんじゃよ」
「ま、迷いません!」
迷子の称号を付けられたは、まだ笑うレンブラントからそそくさと逃げ書斎へと向かった。
レンブラントに教えてもらった通りに進んでいく途中、探していた人物が目に入ってきた。
背を向けていたため、こちらには気付いていないようだ。
「ヒューゴさーーーーーーーーん!」
リオンは不機嫌な顔で屋敷に帰ってきていた。
いけ好かない連中との任務と、更に増えてしまった彼曰く役立たずの所為らしい。
彼らとともに国王から船を出してもらう許可を得てきたところだった。
チッ、と内心舌打ちしつつも、その報告をヒューゴにするため不機嫌な顔そのままに、さっさと屋敷に戻ってきたのだ。
屋敷に入ってすぐ、ヒューゴは見つかった。
さっさと報告をすませようと足を進めたときだった。
「ヒューゴさーーーーーーーーん!」
「おっと、どうしたんだ?」
ヒューゴの後ろから走ってきたが、ヒューゴに抱き付いていた。マリアンにするのと同じように。
この場合突進したと言った方が正しいのだろうが、とりあえず目の前で起きている状況があまりにも彼にとってありえないことであったため、つっこみははるかかなたへ飛んでいってしまった。
本当に問題なのはこの後だった。
あのヒューゴが・・・・?と、リオンは心底驚いた。今まで見たことがないくらいに(実際見たことがないのだが)優しい雰囲気をだしているのだ。不思議に思わないわけがない。
「この本を返そうと思って。ついでに次のも借りに」
「もう読んだのか?」
「面白くってついつい早くなっちゃったんですよ。それにしても、これ続きものなんですね。すっごくいいところで終わってしまってもう気になって気になって・・・。書いた人絶対に悪戯好きですよ。これ」
続きありますか?と問いかけるに、ヒューゴはにっこり笑うとすぐに貸してあげるよ、と言った。
「あ、リオンお帰り!」
「・・・・・」
「ああリオンか、おかえり。国王はなんと?」
ありえない。
リオンは瞬時に思った。
につられて言ってしまったのかもしれないが、それでも本当にありえない、と、またもリオンは驚いた。(二度目の帰宅に言われるというのもかなりおかしい)
未だかつてこの男がそのようなことをこんなに穏やかに言ったことがあっただろうか。否。言ったことすらないかもしれない。
「・・・すぐに船をだしてくれるとのことです」
はっと我に返ったリオンはとっさに答えた。
「船を出すって・・・・まさか神の眼は」
「すでに盗まれた後だった」
「ってことは、これからずっとその任務に?」
「・・・・・そういうことになるな」
そこまで質問に答えてやると、はしばらく黙り込んだ。
「ヒューゴさん。今度は俺もついていっていいですか・・・・?」
うわっ、子供だ。子供がいる!・・・・・スタンだ。
後ろからのそんな言葉の通り、すっかりはおねだりをする子供のように見える。
(あいつ相手によく甘えられるな・・・)
呆れるのと逆にリオンは感心さえした。(オイ)
今のに犬耳がついたら間違いなく垂れ下がっているだろう。というマリーの(小声の)意見に、全員が頷いた。
「うーん・・・どうしても行きたいかな?」
なにいってるんだあいつは。
リオンは一瞬めまいがした。
パパよっ、今度はパパがいるっ!・・・・・ルーティだ。
困ったように笑いながら遠まわしに行ってほしくないといっているヒューゴはなんというか本当にいうなれば父親だ。
・・・・お前はいつどこぞの子離れできてない親に成り下がったヒューゴ。と、リオンは額に手を当てた。
しばらくそんなやりとりが続いていたが、とうとうヒューゴがため息を吐いて分かった、と言った。
「まあ、お父様のほうが折れてしまいましたわね」
「「フィリア・・・・」」
天然のため本気で言っているフィリアに、スタンとルーティがつっこもうとして脱力した。
「行くことを許可しよう。これ以上ここでなにをしてほしいということも特にないしな」
「やった!さっすがヒューゴさん!任務のついでに晶術の特訓もしてきます!」
「それはいい心がけだ。なら続きの本も持っていくといい」
「え、でも・・・」
「いいんだよ。さ、書斎まで行こう。リオンたちは船を準備するあいだ、大広間で少し休んでいるといい。マリアンが全員分なにか用意していると言っていたから・・・・」
「プリンだよ!」
すっごくおいしいよ〜と笑う。スタンやマリーがそれを聞いて喜んだ。
もちろん、リオンも顔に出してはいないが喜んだ。
(まさかこんなに早く会うことになるなんて・・・)
それじゃあ早く行きましょうというルーティに頷くと、4人はさっさと大広間へ向かっていった。
「旅にでる支度をしてからでいいですか?あんまりもたもたしてるとリオンにどつかれそうだし」
「ああ、そうだね。それじゃあ先に書斎で待っているよ」
話しながら歩いていくヒューゴとの後ろ姿を、リオンはスタンに声をかけられるまでしばらく呆然と見ていた。
何かがおかしい。と。
「これだったね」
「わーいやった!ありがとうございます」
本を受け取り嬉しそうに笑うと、ヒューゴも可笑しそうに笑った。
「それじゃあ、気をつけて行ってくるんだよ」
「うわぁっ」
親子がするような頬への軽いキスを受けたは顔を真っ赤にした。
おや?とそんなの反応を見て、ヒューゴが首をかしげると、自分の国ではこういう習慣は無かったとが教えた。
「そうなのか。なにから何までめずらしい国だね。アクアヴェイルに少し似ているな・・?」
「うーんそうかなぁ・・・・?あ、ヒューゴさん、リオンにしてこなくていいの?」
「・・・・・斬られてしまいそうだね」
「・・・・・やりかねないですね」
小さな頃はせがんできたのに・・・(半分嘘だけどしかもやらなかったけど)というヒューゴに、は笑いながらいじけないで下さいと言った。
「だからせめてにさせてもらおうかな、と思ってね。第三の父親として」
「あははははっ。そっか、そうだった。じゃあ行ってきます、お父さん!」
「!!」
ヒューゴがやったのと同じようにがキスをした。もちろん悪戯だ。
そんな突飛な子供の行動に、ヒューゴは驚いた顔で固まっていた。
あ、しまった早く行かなきゃプリンが!!と騒ぎ出したの言葉で我に返ったヒューゴが、笑いながら「早く行ってきなさい」と言うと、は元気よくそれに答えて部屋を手行った。
その後廊下を走る音が聞こえたので、ヒューゴはくすくすと笑った。
「あれはやめてほしかったな・・・・・」
われながら甘くなった、と本当に苦笑いをして頬に手をついたヒューゴは、一人書斎でため息をついた。
自分からけしかけた遊びではないかということをすっかり棚に上げて。
「マリアンさん俺のプリンーーーー!!」
大広間に入るなりプリンと叫びだしたに、リオンはため息をつきスタンたちは大笑いした。
「はいはい、残ってるわよ」
可笑しそうに笑いながらマリアンがにプリンを渡すと、とても嬉しそうにぱくつきだした。
「もう少し静かにできないのか、お前は」
「リオンこそもう少しくらい話せよ」
『二人を足して2で割ればちょうどいいんじゃない?』
シャルティエのつっこみを最後に、二人はプリンを食べることに専念しだした。
「なんか、いやな雲行きになってきたわよ」
船でダリルシェイドを経ってから数日、外で海を見ていたルーティがしかめっ面しながら食堂へと入ってきた。
「シケるのかな?それとも・・・・」
「なーに、まさか魔の暗礁のこときにしてんの?」
「だってさ・・・」
話を始めた二人の横で、はリオンに魔の暗礁って?と質問していた。
「無知」
「お前こそ俺がこの世界について何も知らないってこと忘れてんだろ」
勉強くらいしろ、というリオンに、は生活に支障はないさと言い返した。
リオンはため息をつくと、魔の暗礁について説明しだす。
その横で、スタンとルーティはまだ話していた。
「なに言ってんのよ!あんたって、見かけによらず臆病ねぇ。何も出やしないってば。今時、そんなの子供だって信じやしないわ」
「へー。スタンのこと結構いい印象で見てたの?」
「なっ、そういうわけじゃ!」
の言葉にルーティが慌てた。
「でもさ・・・」
「ふん、くだらんな。バケモノが出るんだったら倒せばいいだけだ」
「いやん。坊ちゃん頼もしい☆」
「・・・まずお前からたたっ斬ってやる」
「みなさん仲がよろしいですわね」
「そうだな」
「・・・・まとまりないの間違いじゃなくて?」
フィリアとマリーのボケをスタンがつっこんだところで、顔を真っ青にした船員が、大慌てで一向のもとへとやってきた。
「ば、ばばば、バケモがっ!な、なんとかしてください!早くっ!」
「いくぞ!」
リオンの声で一斉に立ち上がると、6人は甲板へと急いだ。
「なんだこいつは!?」
スタンが大声を張り上げて驚いたのも無理はなかった。目の前にはどでかい竜。
『なぜ海竜がこんなところに!』
「俺に聞くなよ!」
もっともだ。
『あなたたちの歯の立つ相手ではないわ』
「んなこと言ったって、こんな所じゃ死ねないわよ!」
ソーディアンとマスター同士、それぞれコントは始めたよ・・・・・とは面白そうにそれを見ていた。
どどどど、どうするんだよ!と噛みに噛みまくるスタンを見て、笑いは更に大きくなった。
「ぷくく・・面白ー。にしても、でっかいねー、リオン。俺竜って始めて見た!」
「お前は呑気でいいな」
「つったってこんなんでてきたらもうどうしようもないじゃん。勝てそうにないし。焦ったって意味ないんじゃない?」
「・・・・・・・まぁな」
だからといってこうするのもどうかと思うが、とつっこむリオンに、あっははーどうしよっか。とは笑ってごまかした。
ぼんやり前の連中のやり取りを眺めながら話していると、いつの間にやらフィリアが竜に乗り出し、マリーまでもがその後について行っていた。
「フィリアは大丈夫だ。みんな一緒に行くぞ」
「マリー、何言ってんのよ!」
「私に乗れと言っているわ・・・・」
「フィリア、待つんだ」
スタンも二人の後を追って竜に乗り込んだ。
「スタンっ!あんたまでなにやってんの!」
ほうっておけないだろ!とルーティにスタンが言うと、あー、もう、とルーティが竜に向かって走り出した。
「わかったわよ!手がかりを失うわけにはいかないからね!」
ほら、リオンもも来なさい!と言い、竜に乗り込むルーティ。甲板では、リオンが嫌そうな顔をして立っていた。
『どうします、坊ちゃん?』
「おい、船長」
シャルティエの呼びかけの後すぐ、船長に声をかけた。なんだ、という船長に、一時間で戻らなかったらかまわないから先に行け。いいな?と言うと、船長も・・・・わかった、と返事を返した。
「まったく、とんだ疫病神だ!」
『坊ちゃんが同行を許したんじゃないですか』
「煩い!黙ってろ!」
「坊ちゃんてば優しv」
「竜に食われろ痴呆娘。お前、たんにアレに乗りたいだけでついていくつもりだろうが」
「あったりまえよ!まさかおとぎ話でしか聞いたことのない竜にあえて、更に乗れるなんて・・・・!デスティニー最高v」
「何わけの分からないことを言っている。行くぞ!」
カルシウムたりてないね・・・とさりげにシャルティエに話したが、その後竜の中でリオンに嫌味の矛先を向けられた。
続く
−−−−−−−−−
やっとこさ皆と旅に出たのに、主人公全然話してませんね。
にしてもヒューゴさん・・・・・あわわわわ・・・・。(むしろ笑えましたねあれは)
ほっぺにちゅー事件できっと大騒動でしょうね。前の日にあんな・・・あわわ(止まれ)
あの時と主人公随分態度違うし。きっと後々許可だしたことを大いに悔やむことでしょう・・・・。(また勝手に言って)
リオンが万に一つの確立で(うわ低っ)手を出したらどうしようとか。スタンが(以下同文)
旅先でなにかあったらどうしようとか。お父さんて呼ばれるのちょっと痛いなとか。
・・・ま、そんな楽しい葛藤なんてかけないから予想だけで終わらせて。
ますますミクトランとヒューゴドリになるなぁと思う今日この頃。
・・・・でも彼いじめるの楽しいんだよね・・・プププ・・・(悪趣味)
えー・・・・お付き合いいただき感謝します(礼)