客員剣士として城で働くようになって、1年は経ったかな。
なんか聞き覚えのあるやつらを捕らえて来いと命令された。
「・・・ああ〜」
『ルーティというと坊ちゃんの・・・!どうします?坊ちゃん』
「ん。捕らえる」
「どうやら先行部隊はやられたようですな。いかがいたします?」
「めんどいし僕が行く。全員あいつらの周りを張れ。相手はソーディアンだ。僕が逃がした場合、一気に叩け」
僕も随分慣れたもんだ。
・・・慣れすぎてなんかもう馴れ馴れしいけど、誰も文句言わないしいいかな。
乗り気のシャルを抜いてスタスタ前に出れば、ごろごろ転がってる邪魔な兵士たち。
ため息が出た。
「こいつらは僕が片付ける。お前たちは退け」
「なーにこいつ?」
「子供か」
「ちょ、ルーティ!マリーさんも!」
こいつら性格悪いな。
若干一名かくじつに巻き込まれタイプだけど。アホだなぁ、こいつ。
「武器を捨てて大人しく投降しろ。でなければ実力行使で行く」
「上等じゃない。誰がアンタなんかに捕まるもんですか!」
「大人しく帰ったほうがいい。怪我をするぞ」
「仕事だから無理」
「へーそんな年でもう剣士かー。いいなー君、強いんだろうなー」
「(・・・どうしよう。馬鹿ばっかりだ)」
つっこみ、僕が回るしかないのかな。
「投降する気がないのなら、行く」
「ないわ!来るならとっとと来なさい!」
「後悔しても知らないからな」
先ほどまでの戦いぶりを見る限り、てんで弱い。
さくっとルーティを片付ければ、マリーがつっこんできた。
マリーも簡単に倒せた。
骨のあるヤツがいないな。
スタンは二人を見て真っ青になってから、ちくしょー!こうなったら!なんて叫んでつっこんでくる。
ここまで来たら普通、諦めるだろう。
仕方が無いからスタンもさっくり倒して、兵士たちにぐるぐる巻きにさせた。
「民間への被害は?」
「ありません」
「よし、ダリルシェイドへ帰るぞ!罪人どもを逃がすな」
「ちょっと、放しなさいよ!!」
「おい!俺たちをどうするつもりだ!?」
「どうするって、牢にぶちこむだけだ。僕の仕事はな」
『坊ちゃんに楯突こうとするからだよ。馬鹿な奴ら』
『その声は・・・!』
『シャルティエ!?』
今更になって騒ぎ出すソーディアンたち。
三人から武器を取り上げたのがじーさんだったから、僕の近くでぴーぴーぎゃーぎゃー騒ぎ始めた。
やかましいことこの上ない。
『お前、こんなところにいたのか!』
『ディムロスだって僕と同じく、ダリルシェイドに来る予定だったんだよ。それがどーしてこんなことになったのやら』
『そ・・・それはアトワイトのマスターがだな』
『ちょっと、私の所為みたいな言い方止めてくれる?』
『でも犯罪者がマスターじゃん』
「ちょっと!誰が犯罪者ですって!」
「あんただろ」
神殿から物盗んでうっぱらったんだから。
言えばスタンが聞いてないよルーティ!なんて騒ぎ出す。
こいつらうっせーなー、なんて顔で兵士たちが三人を眺めた。
ここまで呑気にしていられる罪人なんて、そうそうお目にかかれないな。
騙されたあんたが悪いんでしょー!開き直ったー!と騒ぐだけ騒いだ彼らは、静かにしろ、と縄を持ってる兵士に叱られてむすーとしかめ面した。
「ちょっとアンタ。同じソーディアンマスターならちょっとは見逃そうって気にならないわけ?」
「仕事は仕事だ。大体この年で犯罪犯して捕まりたくもないし」
「まるで私が犯罪者みたいないい方ね!」
「行動まるっと犯罪者だろうが」
ダメだこいつ自覚無しって。
いっぺんシメられたほうがこいつのためだろう。世のためでもあるな。うんうん。
「仕方ないでしょ!お金ないんだから!」
「金が無いの一言で盗みも強盗も許されるなら、法の意味が無い。それともアンタ、強い人間は弱い人間から何でも奪って良いとでも思ってるのか?自分より弱い人間を踏みにじって生きてくのが当たり前なんだな」
「・・・なによ!!」
こいつありえねぇ、と思ったらつい嫌味が顔を出した。
そしたらこの響よう、だ。
鬼気迫るってこういうことなのかな。
「あんたみたいなお坊ちゃんにはわかんないわよ!!金持ちに良いとこ取られて、働いても働いても貧しい思いしなきゃならない人たちの気持ちなんてっ!!他人踏みにじって生きてるのはあんたたちのほうじゃない!!」
「おー。怖い怖い」
「っあんたね・・・!!」
「別にその辺については否定しない」
メッチャ怖いなー怒ったルーティ。
けど論点ずれてるかな。
「確かに僕は屋敷にも生活にも恵まれてた。その生活がどうやって成り立ってるのかは知らないけど、アンタよりは苦労なんてしてないし誰かの生活踏み台にしていたのかもしれない」
多分ヒューゴのことだから踏みまくりだろう。
アレが綺麗に生きてるわけが無い。
「けど、アンタがやったことは犯罪だ。それは逃れられない罪だ。いくら正論並べようが無理なものは無理。自分の犯した行いでどんな影響が出るか、それすらも考えないやつが被害者ぶって偉そうな口を叩くな。罪人である自覚を持て」
ったく。
無駄な話してヒューゴへの悪戯考えられなかったじゃないか。
ルーティはようやく黙り込んだ。
「なぁ・・・ちょっと言い過ぎなんじゃないのか?」
「いいや。というか、捕まっておいてここまで減らず口開くほうが珍しいな。罵倒なら即効叩きのめして終わりに出来たのに」
『鬼畜の凹児様・・・!』
「シャール」
『はーい』
顔をしかめて言ってくるスタンをため息混じりに流せば、シャルが茶化してくる。
なんかここ数年でシャルのやつ、すっかりボケっ子だ。
つっこみは疲れるもんな。
ダリルシェイドについてすぐ、彼らを牢にぶち込んで報告書作りに走った。
じーさんも手伝ってくれるからまぁ楽だ。
「ほぅ。ソーディアンマスターが二人・・・」
「まだ使い慣れてはいないようだけど。資質はあっても、とんだじゃじゃ馬ばかりだったな」
「人のことを言えるのか、リオン」
「そーですね。誰かさんの育て方のおかげで!」
こんのクソガキ、なんて顔で見てくるヒューゴにめっちゃ笑顔を返す。
もう見慣れた兵士たちが笑いこらえてる。
僕の笑顔は価値があるらしいから、ここぞとばかりに活用している。
この前ガルドくれるっていうから笑顔浮かべまくってたら、シャルとかヒューゴとかに叱られたけど。身売りはするな、と。
してるわけじゃない。スマイル0ガルドじゃないだけだ。
ある意味にらみ合いをしていたら、王がお呼びだと召集かけられた。
一体何なのか。
「お前、任務前に下手なことをしていないだろうな」
「するわけないだろう。ただちょっとアンタの部屋にトイレの芳香剤おいといたくらいで」
「あの匂いはお前が原因か!」
「加齢臭のフォローですが、なにか?」
ちなみに本棚の上にジャンプしておいておいた。
見ればすぐわかる。
ちょっと戻って部屋を覗き込んだヒューゴが、リオォォォォオオオン!!とか叫びながら追いかけてきた。
はっ、ざまみろ!と僕はもちろん競歩で逃げる。
廊下は走っちゃいけません。
なので毎日こんな追いかけっこだ。競歩って結構早い。
「フローラルで万事解決。心落ち着くラベンダー臭お得サイズ340ガルド!」
「きつすぎて落ち着けるか!せめて匂い袋に留めておけ!」
「えー」
「えーじゃない!」
「つまんなーい」
「腕を振るな可愛くない!」
「アンタよりは間違いなく可愛い」
「40過ぎのオッサンが可愛くあって溜まるか!」
あ、自覚あったんだ。
ずかずかずかずか城を進んで、ついちゃった玉座の間。の入り口。
ぜーはー息を整えるヒューゴの隣で、僕は涼しい顔だ。ふふん。若いし。
さりげなく叩かれて、痛い!と文句を言ったらにらまれた。
「フン」
「こんのオッサン・・・!」
「お二人とも。王の御前です」
どうぞ落ち着いて、と声をかけてくるのは毎度お決まりで、兵士たちは僕らを宥める練習までしてるらしい。
どんだけ浸透してるよ、僕らのやりとり。
げんなりしそうだけど、ヒューゴと被るからやめておく。
「王の前で下手なことはするなよ」
「アンタの猫かぶりより全然マシだ」
「お前の猫かぶりほど気色の悪いものはないッ」
「フッ・・・そんなことを言ってもいいのか、ヒューゴ」
前髪払うくらいノリノリで嘲笑してやる。
あぁん?なんて言葉が出てきそうなしかめ面で、ヒューゴは僕を睨んだ。
「今ここで服破いて、涙ながらに部屋に飛び込み『ヒューゴが・・・!』なんて一言叫べば」
「 や め ろ 」
「ちぇ。絶対面白いのに」
「お前私を突き落とすためなら本当に手段をいとわんな」
「限度くらい考えてるさ」
ふーん。
ホントかよ、みたいな顔で見てくるから蹴りいれておく。入れかえされた。
コノヤローと二人で蹴りあっていれば、ごほんと咳払いされる。
とりあえずアホな行動を止めにして、深呼吸した。ヒューゴと被って嫌な気分になったけど。
兵たちが声をあげ、無駄にデカイ扉が開く。
進んでいけば、王自らに横で大人しく待機、と指示を出され(大人しく、をやけに強調された)僕とヒューゴは目だけで喧嘩して将軍たちと並んだ。
暫く待っていれば、牢にぶち込んだやかましい三人組が連れてこられる。
何かと思えば、陛下自ら罪人と話し出すんだから驚きだ。
この国結構アバウトなのか。
つーか、ルーティが手出しちゃいけないものに手だしたんだろうな。神殿に祭ってあるもの盗むって・・・大泥棒じゃん。
どう処分しようかな〜なんて流れになったその時に、ヒューゴがここぞとばかりに声をかける。
ソーディアンマスターが見つかったのなら、まぁ殺すの勿体無いと思うか。
ただ一緒にストレイライズ行けなんていわれるとは思ってなかった僕は、心底驚いた。
めっちゃ嫌だ。
むしろ一人のほうがいい。
「子供にそんなことまかせてもいいの?」
あ、こいつ殴りたい。
ルーティの一言にスタンが一人焦り出す。
今しがた付けられたティアラ、早速使ってやろうかな。
・・・陛下とか将軍とかヒューゴとか、とにかくみんなに目で訴えられた。やめろ、と。
「リオンの技量は7将軍にも匹敵するほどのものだ。心配には及ばん」
「それはそれは、とっても頼りになることで!」
「まーな」
「認めた!?」
「陛下、恐れながら申し上げてもよろしいでしょうか」
「なんだ?リオン」
ルーティに思い切り嫌味を返してスタンをシカトして、陛下に頭をたれる。
陛下はなんていうか、いつもながら孫を見る目だ。
騒いでるルーティは全員無視してる。
「7将軍までもが気にするほどの任務に、素人を連れて行くのは正直不安です。僕と毎度任務を共にしている、サリバン率いる小隊のほうが安心かと」
「あ、あんたねぇ!どんだけ私たちのこと馬鹿にしてんのよ!」
「現に弱いし。ついでにうるさい」
「悪かったわね!――きゃあ!」
「悪いと思うなら少し黙ってろ」
まったくホントにうるさいなこいつ。
「いくらソーディアンを扱えるとはいえ、陣形どころか意志の疎通も出来ません」
「いや意志の疎通は出来るからね!?」
田舎者ががんばってる。
とはいえ・・・マリーを見れば、一人ティアラを見上げてうっとりしてる様子。
全然話きいてない。
僕と同じくマリーを見たスタンが、がくりと頭を落とした。
「〜〜〜ったいわねこのクソガキ!!」
「ほら、意志の疎通無理だろ?」
「えー・・・と。まぁ、ルーティだし」
「なによそれ!きゃああ!」
「それ抑えとけ」
「は、はい・・・」
うっとうしいっつーか話すすまねぇ、と顔しかめながら指示を出せば、素直に従うスタン。
こいつだけならまだマシかもしれない・・・。
陛下を仰ぎ見れば、呆れた顔でルーティを見ていた陛下が、僕に顔を向け首を振った。
「今回の任務に、ソーディアンマスターは必須なのだよ、リオン」
「ソーディアンマスターが・・・ですか?」
「そうだ。今ここでは言えぬ。が、ストレイライズ神殿に行き、私の命で様子を見に来たと伝えれば恐らく分かるだろう」
とゆーわけでそいつら連れて行ってらっしゃい、といわれる。
・・・えー。
顔に出てたらしく嫌な顔しない、とつっこまれた。
舌打ちしたらダメかな。
「これは大変重要な任務だ。いつものように余計なことを考えて、無駄な失敗がないようにしろ」
「分かっています。ヒューゴ様こそ、僕がいないからといって気を抜かれないでください。密室トリック殺人事件なんて面白みの無い最期は期待してませんから」
「屋敷には寄らずとっとと行け!そして二度と帰ってくるな!」
「陛下の前で堂々職務執行妨害!?そんな勇気あったんですね父上!」
「誰が妨害をした!それと父と言うな!」
「二度と帰ってくるなって、つまりは任務失敗しろということですよね。ある意味尊敬しますよ。軽蔑もしますけど」
「ああ言えばこう言う・・・!!」
「ふふふ。僕が帰ってくるまで死なないでくださいね。楽しみが減る挙句、葬式に書類手続きにオベロン社の存続等々、面倒ごとが増えるなんてデメリットしかありませんから」
「お前は私の目が届く範囲で是非死ね!」
「時と場合による!」
「断らないのかリオンーー!!?」
陛下につっこまれた。
陛下アグレッシブだな。・・・僕らの所為か。
将軍たちはもう笑いこらえてるし。
僕は、真顔できらりと目を光らせた。
「ヒューゴを陥れることが出来るなら考えます」
「考えるなァ!!」
「・・・なにあいつら、親子なわけ?」
「のわりに、仲悪そうだけど・・・」
「そうか?楽しそうだけどな」
わいわい二人どころか陛下のつっこみまで入って言い合っていれば、将軍の誰かにぱんぱんと手を叩かれる。
準備してさくさく行く、と声をかけられて、はいと返事を返した。
「此度の任務、謹んで拝命いたします」
「うむ。ヒューゴと争う前に言うよう心がけろ、リオン」
「はっ!」
「ここからは私の独り言だが、今のは建前なので守らないように」
「陛下・・・!」
僕がいない間、陛下がヒューゴをいじってくれることだろう。
隣りでヒューゴが崩れ落ちてる。
前フリなく「よろしくお願いいたします!」と笑顔で言う僕に、陛下は笑顔で大きく頷いてくれた。縦に。
胃を抑えてるヒューゴを無視して、先に屋敷に行くぞとスタンたちに声をかける。
そーいえばアレか、神の眼をめぐる旅が始まるのか。
うーん。
暫くヒューゴで遊べないのは、ちょっとつまらないかな。
家でスタンたちに武器を返してから、僕らはストレイライズ神殿に向かって旅立った。
戦闘能力は低いんだけど、飲み込みはまあまあみたいだ。
ただルーティウザイな。ガチで。
「もー。あとどんくらいでつくのよー」
「この森を抜ければすぐだ。もうバテただなんて・・・老体を気遣えなかった僕に責任が」
「ないわよ!老体じゃない!!」
「じゃ、行くぞ」
「むっきー!!むかつくガキね!!」
「うるさいおばはん。黙って歩け」
「だーれがおばはんですってぇ!!」
「元気だなぁ。ルーティ」
ぎゃーすか突っかかられるけど適当に流す。
うんまあ、ヒューゴに並んでいじりやすいというか、響きやすいというか。
変なところで親子だな。血か。
これが姉かと思うと微妙だ。・・・微妙だ。
僕もっとまともだよ。
『いえ、いい勝負ですよ、坊ちゃん』
「どこが」
『えっ。うーん・・・・・・捻くれ具合?』
あと顔とか言われる。顔はまぁ・・・面影はある?
えーとぼやけば、まーまーガマンですってと宥められた。ガマンてシャル。
「おっ、あれがストレイライズ神殿?」
「うん、そうだ。・・・さすが、口車に乗せ徴収した金で権力の限りを尽くし作られた建物だな。デカイ」
「リオン・・・そういうこと言っちゃダメだって。神様信じてるからこそだろ?」
「素晴らしい精神だとは思うかな」
「どーかん」
金の面に関しては、無駄にルーティと気があう。
多分シビアだからかなー。
ヒューゴのヤツ小遣いくれなかったし。
と愚痴ればアンタお坊ちゃんじゃないとかやっぱりつっかかれた。
『坊ちゃんは小さな頃からヒューゴに悪戯しまくってましたからねー。ヒューゴも仕返しに勉強と剣術以外はなにも与えなかったんです』
「え・・・。じゃあ、一緒に遊びにいったりとかは?」
「ありえないな。知恵の限りを尽くして仕掛け作りまくったり悪戯しまくったりして、ヒューゴがそれに右往左往してるのを見て遊んでたけど」
「親子のふれあいじゃないわね・・・」
「欲しいものがあったときはヒューゴ脅すかレンズ換金するか、こっそりオベロン社の金横領するか」
「あんたもしっかり犯罪者じゃない!」
「大丈夫だ。オベロン社の金といってもヒューゴの給料だから。養われる立場の僕はそれを使う権利を持ってる」
「「なんつー屁理屈・・・!!」」
懐かしいなあの頃が。
とにかく知恵絞ってやりたい放題やってた。懐かしい。
こんな息子持ちたくない、とかルーティに言われて、城の大人たちはみんな言ってたかなと返したら頷かれた。全員に。
失礼な。
こんなに可愛らしいのに。
「見てくれだけでしょ」
「見てくれすら危うい挙句、素行まで危ういヤツよりマシだろ?」
「・・・なんか、世の中間違った方向に見てるよな、リオンて」
「あんなオッサン親に持ったら、誰だってグレる」
「ああ、グレてたのか」
マリーが一人ぽすんと手を叩く。
いやそこじゃなくて・・・なんてスタンが遠まわしにつっこんだけど、天然スルーだった。
「だからってこんなガキそだつ?普通」
「・・・。フッ」
「人の顔見て笑うんじゃないわよ!!」
うんうん。嫌味が通じてなによりだ。
ぶんぶんうで振り回してくるルーティから逃げて、追われて、スタンたちも慌てて追ってきて。
ついたストレイライズ神殿は、不気味なほどに静まり返っていた。
「怪しいな」
「怪しいわね・・・」
「え?どこが?」
「人の気配がしない。まずいことになったな・・・」
ガチで長期任務か。
知ってたけど。
「どこになにが潜んでいるか分からない。警戒していくぞ」
「言われなくとも分かってるわよ」
「スタン。ルーティが金品盗まないか見張っとけ」
「あ、うん、わかった」
「ちょっと!誰がなにするですって!」
「前科があるだろーが、前科が」
「二人とも、静かにしないとダメだ」
・・・マリーに叱られた。
はぁいと返事を返して、シャルを引き抜き進む。
なんか今の可愛いとか聞こえてきた。
こいつらにかわい子ぶっても・・・微妙だな。
(あ)(なによ)(どーした?)(アイテム持ってくるの忘れてた)(ぇぇぇえええええ!!?)(死んだら・・・まーそれも運命だな)((そんな運命嫌だ!!))