ただいまお菓子作成中。
の家にいるのは、フゥ太、ツナ、リボーンの三人。
ツナとフゥ太はゲームをして遊んでいる。
リボーンは、キッチンとカウンターの間にあるスペースに座ってエスプレッソ片手にブレイク中。
この前フゥ太にランキングを取ってもらった御礼だ。
「今日はなにを作るんだ?」
「あー・・・約束してたフルーツタルトだろ。あとブラウニー。と、レアチーズケーキも一応」
「組み合わせ無茶苦茶だな」
「うるせー」
ふっと息をつきながらつっこんでくるリボーン。
は顔をしかめて言い返しつつも手を動かす。
お菓子が出来上がって子供二人を呼び寄せ、お茶をしていると、ピンポンとインターフォンがなった。
誰かと画面を見てみればディーノだ。
「よ、ディーノ。久しぶり」
「よっす!じゃーん!コレ見ろ!」
あーー!!
笑顔で現れたディーノ。
後ろの部下たちから何かを受け取りだしてきたかと思えば――物凄く大きなテディベア。
は思い切り叫んで顔を輝かせた。
ディーノはテディベアを斜めにして、ひょっこり顔を出す。
「どうだ?かわいいだろ」
「ちょーーーかわいいーー!!(ディーノごと!!)」
「やるよ」
「サンキューー!!ディーノ大好きだ!!」
「(おっしゃ!)」
ぽすとテディベアを渡されて、はそのまま抱きつく。
ディーノはさりげなくガッツポーズ。
後ろからとたとた音がしたかと思うと、あ、という声が重なった。
「こんにちはディーノさん」
「お?ツナ!あ、フゥ太とリボーンも!何でいるんだお前ら?」
「僕たち姉にお菓子作ってもらってたんだ!ランキングとったお礼にって!」
「お前こそなにやってるんだ」
驚くディーノにフゥ太が答えてすぐ、いつの間にやらの肩に座っていたリボーンが問い返す。
ディーノは「あー」と声をあげると、ぽりぽり頬をかいた。
「お前に呼び出しくらって折角日本きたから、どーせならの顔見てこうかなって」
「ふーん・・・。で?これはどうしたんだよ」
「そ、それはだ!ゲームやってて偶然手に入れたんだよ!」
「・・・ー、戻って来ーい」
騒ぐ外野も気にせずというかもはやテディベアに抱きついたまま動かなくなったに、ツナが声をかける。ついでにぐいぐい引っ張った。
ハッと我に返ったは、あぶねーとぼやく。
いや(人として)危ないけどさ、とつっこみが入った。
「なんならディーノ、お茶でも飲んでくか?丁度お菓子食ってたとこだし」
「え?いいのか?」
「おー。まぁた無駄に作ったしな。部下さんがたの分もあるぜ。まずいのしかでねーけど」
「よってくよってく!おじゃましまーす!」
ノリよく返事を返してきたディーノは、手を上げて入る気満々発言。何故だかリボーンがため息をつく。
それならばとはツナとフゥ太と奥に入り、ディーノたちも続けて入って来た。
とりあえずテディベアをキョーヤの隣に置いて(なるべく見ないようにして)お茶を入れにいく。
リボーンが無駄にくっついてきてこの野郎と堪えつつ、ツナに白い目で見られつつ、なんとかお茶いれ成功。(何度もこぼしそうになった)
フゥ太たちの食べているフルーツタルトを切り分けて出すと、ぱくりと食べたディーノが、あ、うめー、と声を上げた。心底驚いたように。
「お前意外と料理できんだな」
「いや、それらは何度も作ってたから。手をつけたならなんでも極めるこれモットー」
「また言ってるし」
さりげなくツナからつっこみ。
親指を上げたところ手を振り替えされた。適当に。
他にもなんか作れるのか?と問いかけられて、バレンタインの時に作ったものは大体、と答えておいた。
「何度も同じの作って消化活動に恭弥駆使してたもんだから、恭弥のヤツお菓子作成禁止令だしてさー」
「・・・可哀相に」
「・・・野郎」
お菓子を食べつつケラケラ笑いながら言うと、ツナが遠い目をしてリボーンがぼそりとつぶやく。
ディーノは微妙な顔をした。
「じゃあそいつ、の手料理食い放題・・・?」
「ツナだって何度も食ってるって。まずいの」
「そりゃお店と比べたら失礼だよ」
「(え、ツナ!?)」
お菓子を食べながらツナがつっこんでくる。
ディーノが驚いていたがたちは気付かない。
お菓子を食べてノンビリお茶して、また来るなーと言いながらディーノたちは帰っていった。
暇じゃないんだなーといいつつたちはゲームだ。
ゲームをしていたのは、ツナとフゥ太だが。
「可愛い・・・」
「抱き締めていいぞ」
姉、本当に可愛いもの好きだね」
「・・・ただ俺を巻き込まないで欲しいけどな」
フゥ太の隣にテディベア。
ツナの腕の中にはキョーヤ。
二人の真ん中にリボーン。
はそれを眺めてへらへら笑っている。写メも撮っておいた。
ハッとすさんだ笑みをツナが浮かべ始めたところでフゥ太が「そろそろ危ないよ姉」とを呼び、はテディベアを抱き締めながらフゥ太の隣に座った。
時折、ゲーム中のフゥ太を撫でたりしつつ。
ふわふわ〜とテディベアの感触を楽しんでいると、ガチャリと玄関のドアが開いた。
「あれ。君また来て――、なにそれ」
「くま!」
「テディベアね」
入って来たのは恭弥。
が抱き締めているテディベアを見て怪訝顔。
は満面の笑みでテディベアを見せ、さり気にツナがつっこんだ。ゲームをしつつ。
一体どうしたのそれ?と問いかけられて、は元気よくディーノにもらった!と返事を返した。
途端ぴしりと固まる恭弥。・・・と、ツナ。
「・・・どういうこと?」
「さっき遊びに来てなー、ゲーセンで取ったからってくれた!」
物凄く不機嫌な恭弥も気にせず、はぎゅうぅとテディベアを抱き締めつつ答える。
幸せ絶頂なのはのみで、ツナは青い顔で震え中。リボーンはニヤッと笑っている。
の言葉を聞いて、恭弥はぴくりと眉を上げた。
「ここに来たの?」
「ん?ああ。お茶してった。あ、そーだ。レアチーズケーキ作ったぞ。食うか?」
さらりと流しては質問。顔は笑顔。
そこで初めて不機嫌な恭弥に気付いたは、きょとんと恭弥を見返した。
「どうしたんだ?」
「・・・」
「・・・不憫な・・・」
「そっとしておこうツナ兄」
が問いかけるが、恭弥はむすっとしたまま。
ずんずん近づいてきたかと思うと、どすんと隣に座る。しかし腕を組んで仏頂面。
が口を――開こうとしたが、急にテディベアが浮き上がってうわ!と声を上げてしまった。
「ランキングせずにいられない〜」
「なんでだよ!?」
「・・・ぇえーーー!!?
急にランキングしだしたフゥ太。
しかも次の瞬間叫びだす。
隣にいたはやはりきょとんとしながらフゥ太を見た。
「僕ランキング下がってるーー!!」
「・・・なんの?」
姉の好きな可愛いものランキング!くまに越された!くまが一位だ!」
「(まぁ貰ったばかりってものあるだろうしなぁっていうかそれがショックだったんだ)」
がーんとショックを受けたフゥ太は、そのままぱたりと座り込む。ランキングは続行中。
しょんぼり頭を落としたフゥ太は、そっと顔を上げて泣きそうな顔でを見た。
姉・・・僕もう可愛くない?」
「全然フゥ太超可愛い・・・!!」
「よし一位ゲット(小声)」
「やるなフゥ太・・・」
「(黒っっ!!)」
小動物のような顔で見上げられて、もちろんが堪えられるはずもなく。
ぎゅうとフゥ太に抱きついた。リボーンは隣で渋い顔。
その隣でツナが無茶苦茶引いている。
やったあと無邪気な声を上げたフゥ太は、に抱きつき返してきた。
は可愛い〜〜とさらに笑顔になる。
・・・俺は可愛くないのか?」
ちょこんとフゥ太の頭の上にリボーンが乗って問いかけてくる。
顔を上げたの目の前にはちょっとしょぼくれた顔のリボーン。
やはりが堪えきれるはずもなく。
ぐっと堪えるような顔をしたが、やはりにへらと笑ってリボーンを抱き締めた。
「リボーンも可愛い・・・っっ」
「ふっ」
「チッ。でもまだ一位だし」
「・・・。怖」
さりげにおきている激戦。しかしは気付かない。
ツナは一人ゲームを進めており、テディベアは浮揚中。
姉〜とフゥ太に服をひっぱられ、そしてフゥ太を構えばリボーンに、といじけたように声をかけられて、はほわほわしながら二人を抱き締めたり。
そんなたちをちらりと見たツナが、はぁとため息をついた。

「なんだ?」
「・・・(ヒバリさん)」
声をかけてきたツナが、電波を飛ばしつつ横を指差す。
リボーンとフゥ太を離して隣を見てみれば、むすっとしながら前を向いている恭弥。
は怪訝な顔で恭弥をじっと見た。
「恭弥?」
「・・・」
「恭弥ー?」
「・・・」
声をかけても無視。
しかもそのままふいとそっぽを向かれる。
恭弥〜?と声をかけて、は顔を覗き込もうとする。
が、くるりと体を回した恭弥はに背中を向けて三角座りした。
「恭弥?」
「・・・今日はもう口きかない」
「(いじけてるーー!!?)」
ぼそりと一言、不機嫌な声で言われる。
ツナがさりげなくつっこみ。(かなり驚きつつ引きつつ)
ぽかんとしたは――もちろん抱きついた。
「かっ・・・わいい恭弥いじけてる・・・!!」
「いじ・・・?!いじけてない!」
「いじけてんじゃん!なにその顔!めっちゃかわいーー!!」
「か・・・!――ホントにおかしいんじゃないか?」
「おかしくない!可愛い!」
しっかり言い返してくる恭弥。
しかし振り向いた顔がいじけた顔そのままだったためはさらに暴走。
顔を掴んできっぱり言い返したは、(さりげなく恭弥の体をくるりと自分の方に回して)ぎゅうと抱きついた。
恭弥はまた可愛いって言うし、とまだいじけた声で反論してくる。
やはりは止まらない。
「だからそのいじけた顔可愛すぎだっていってんじゃねーかよこの確信犯め!」
「確信犯とか勝手に決めるなよなにそれ?ていうかいい加減離せよ。口きかないって言ってるだろ」
「やだ!」
「離せ」
「やだ!」
平行線。そして止まらない。
顔を離して睨んでくる恭弥を見たは、やはりへらりと笑った。かぁわい〜〜と言うことも外さない。
「もう絶対に口きかない」
「ごめん!ごめんて恭弥!な!口きいてよ!」
「嫌だ」
「恭弥〜〜ごめんて〜!(ちょーかわえーー!!)」
「(なにこのバカップル!いや親子?もうなんでもいいから誰か止めろよ!)」
じゃれつくにそっぽを向く恭弥。
ツナがつっこみ放題だがはそれどころではなく気付かない。
リボーンとフゥ太は舌打ちしている。
また顔をがしっと掴んで無理やり向かせたは、ほわほわ笑いながらごめんて、とまた謝った。
「なんでもきいてあげるから」
「・・・本当?」
「うん本当」
「・・・じゃあ、いい」
「よっしゃ!」
頷くように膝に顔を下ろす恭弥に、がまた抱きつく。
うるさい、とツナからつっこみが飛んできて、ごめん!と上機嫌に謝っておいた。
「レアチーズケーキ」
「はいはーい紅茶入れてくれる?」
「・・・いいよ」
「よっしゃ!」
ぎゅうぎゅう抱きついていたが、ガッツポーズするとはスキップしそうな勢いでキッチンへ向かう。
恭弥は後からついてきた。
「それ失敗何作目?」
「これは二作目で成功。ちなみに失敗したのはディーノに食わせといた」
「・・・」
「まぁた可愛い顔するし〜。もう失敗しないから大丈夫だって!成功したのしか食わせないって!」
また不機嫌になる恭弥。
はまた抱きついてから手で払われて離れておいた。
やはりケーキを切るのも上機嫌。
恭弥は(に揃わせた紅茶セットで)紅茶を入れ、は半円ソファに座っているツナたちにも食べるかと声をかけた。が、返ってきた返事はもう無理、とのこと。
カウンターに座って恭弥をいじりつつ茶化しつつ、そして機嫌を取りつつ楽しいお茶会再び。
「ぁあ!恭弥兄に一位取られた!」
「チッ・・・あいつ狙ってやがんのか」
「恭弥兄は天然ランキング4位だから微妙なところだね。くそぅ・・・僕が一位だったのに・・・!まぁ余裕で二位だけど」
「可愛さでしか売れない俺たちへのあてつけとしか思えねーな・・・」
「(帰りてー。いや帰ってもかわんねー)」
後ろではこんな会話が行なわれていたりする。
ツナは一人げんなりだ。もうゲームの世界へ逃げようと、遠い目をする。
「しょーがねー。1位取ったからには商品やんなきゃな」
「あ・・・リボーン、それってさ」
「男は負けたら潔く身を引くもんだ」
「・・・とかいいながら確信犯だね」
リボーンが持っているのは動物園のチケット。
チケットを手ににやっと笑うリボーンに、フゥ太はつっこんでからウフフと笑った。
「好き勝手できんのは俺たちが小さなうちだけだからな」
「後で後悔しないよう今のうちに精々楽しんでおきやがれって配慮だね。さすがリボーン!」
「(なんでこいつらの黒さには気付かないんだろう)」
結局現実世界に戻ってきてしまったツナ。
そして気付かない二人は、相変わらずカウンターでノンビリ過ごしていたりする。
「ちょっとすっぱいかも」
「うーん・・・量間違えたか?ちょっと変えて作ってみよう」
「暫くは無し。今度作るならプリンかゼリー」
「はいはい」
ぱくりとチーズケーキを食べながら注文つけてくる恭弥。
は苦笑いして返事を返してから、へらりと笑って頭を撫でた。睨まれた。叩かれた。




















一位だとかなにかより、君に群れるヤツらが気に食わない。(ところでいい加減可愛いとか言うのやめてくれない?抱きつかれるのは結構だけど)