大晦日は大掃除なんてするはずもなく。
ミツコさんが保ってくれていた生活のありがたさを身にしみて感じていた。
「またちらかして。早く片付けなよ」
「・・・へーいへい」
そしてまだいる恭弥。もはや住人状態だ。
家に帰れよと言ったところ――何故かさらに着替えを持って帰ってきた。
本当にこの子馬鹿の子だと再確認してみたり。
吸殻を捨ててゴミをまとめて、ちらかしっぱなしのゲームを整理して、後は掃除機をかける。
広い部屋なんて嫌いだ、と言いつつやっていると、僕は好きだけどとの返事が返ってきた。
寝室掃除に任命。リビングに掃除機をかけてから押し付けた。
他の部屋は使わないしミツコさん来てからでいいよな、ということに。
ごみ捨てを恭弥に任せて、は洗濯。
乾燥機完備なので物凄く楽だ。
楽なのはいいがなんでもう他人の洗濯物も一緒にやっちゃってるんだろうと(そして慣れてしまったんだろうかと)ため息をついた。
思春期なのにあいつはいいのかとため息一つ。(面白そうだし聞いてみようかと思ったが咬み殺されそうだ)
服を適当にしまってからリビングに戻ると、ツナがいた。
「おじゃましてまーす」
「・・・お前さんも飽きないな」
「また来たの、君」
「(人のこといえるかよ)」
「(つっこんであげなよ)」
ゴミを捨てて戻ってきた恭弥が呆れ顔。
はそんな恭弥を見て呆れ顔する。
だってこれ一緒に出来るやついないしさ、と言いながらツナはさっさとゲームをセット。
は紅茶を入れている恭弥に、俺とツナのも、と手を振った。
昼食当番に変更、と勝手に変更される。
理不尽だがため息だけついておいた。後々煩い。どの道(料理)経験の少ない中学生なので手伝うのだから変わりない。
みんな大晦日だから来ないし暇だしランボたちウザイし、とツナは相変わらずの毒吐き。
はいはいと笑いながらツナの頭を撫でていると、取りに来い、と恭弥が命令。
見ればカウンターに座って自分だけ飲んでいる。その横にはカップが二つ。
はいはいとため息をついて立ち上がって、はカップ両手に半円ソファへ。
「ありがと」
「僕にはお礼の一言も無し?」
「ありがとうございます!!」
恭弥に言われた途端、ツナは大声でお礼を言う。
正当な理由だったら殴っても構わないよね、という恭弥の言葉に頷いたのは、つい先日だ。ツナも警戒しはじめた。
結局わいわい騒ぎながらゲームをして、お昼から飽きたなーとごろごろしていた。
のだが。
DVDをごそごそ漁ったツナがこれ見たい、というのでハウルの動く城を見ることに。
恭弥まで入って三人で半円ソファ、しかもジブリ。
物凄い構図だなとは顔を引きつらせる。笑いたい。
キョーヤを抱きかかえて見ていたは――終わる頃にはほわほわした笑顔で笑っていた。
「マルクルくぁわい〜〜ぃ」
「、アホ面してる」
「・・・ホント好きだよな、可愛いの」
両隣から呆れ顔が二つ。しかしは気にしない。
だって行かないでソフィー!とか可愛すぎだろおじいさんの変装して待たれよとか子供の声だぞかわいいだろ!と一人暴走。
「カルシファーもかーわーいーい〜〜っ」
「全然わからないよ」
「同感です」
やはり二人には呆れられる。
はいいじゃんと口を尖らせた。
「おばーちゃんのキャラがいまいち掴めなかったけど。ソフィーも可愛い。むしろステキだ良い女だ」
「へー」
「じゃあハウルは?」
「ん?かっこいい?」
恭弥が棒読み。ツナが首をかしげつつ問いかけてくる。
同じく首をかしげながら返事を返すと、二人に「え」と声を上げられた。
「・・・かっこいい?」
「うーん。ヘタレなところは可愛かったな。けど王子って感じ」
「王子〜?あれが?」
ツナは物凄く顔をしかめている。
は王子だろエスコート上手かったし強いし、とふらふら体を揺らしながら言う。
途中から黙り込んでいた恭弥が、ため息をついて肩に頭を置いてきた。
「どうしたよ」
「・・・別に」
「・・・」
問いかけても流される。
そしてツナはなんだか帰りたそうだ。
この歌もいいな〜とヘラヘラしながら歌を聴き終えて、はぐっと両手を伸ばした。
ツナがはぁ、とため息をつく。
「苦労しますね」
「咬み殺すよ」
「人の親切は素直に貰っておくものですよ」
「君それ本当に素?生意気すぎるからやっぱり咬み殺しておこうか」
ツナと恭弥が会話開始。
そして険悪になっていく。
ふっと鼻で笑ったツナは、裏なんてありませんから、とさらりと恭弥を流した。を指差して。
顔をしかめながら二人を見たは、首をかしげてからため息をついた。
ツナが帰ってから適当に夕食を取った・・・と、恭弥は、やはりごろごろしていた。
紅白始まったよーなどといいつつ、好きな歌があれば聞く。そうでなければ本を読んだりなんだり。
日付が変わると共に、テレビの中で花火が上がる。
はあー・・・とぼやいた。
「別段年が変わろうがなんとも思わないな」
「また年寄り発言だし。まぁたかだか日にち変わったくらいで何か起きても微妙だけど」
「だな」
だらだらするに、恭弥が本を読みつつ返してくる。
あけましておめでとー、と言うと、おめでとう、との返事が返ってきた。
ぱたんと恭弥が本を閉じる。
「暇だし初詣行こうか」
「めんどい。寝てからでいいだろ」
「それじゃあ遅いんだよ」
「咬み殺さなきゃならない群れが消えてか?」
「適度に酔っ払ったカモが消えるから」
どの道どうしようもない理由だ。
はため息をつくと、いってらっしゃーいと手を振って寝室に入った。
さりげなく舌打ちしつつ恭弥が後を追ってくる。
コロンと寝転がると、上にかぶさって行こうよ、とまだ言ってきた。
「だーから明日ー。風紀じゃねーんだろー?夜中に元気よくお前のストッパーできるかっつーの」
「どうせ銃で撃つんだろ?」
「正月を病院で過ごしたくなければ大人しくしてろ」
返事を返して退かす。
横に転がった恭弥はやはりふて腐れた顔をしていた。
「本当にもう寝るの?」
「寝ーる。おやすみー」
適当に返事を返して布団を被ると、欠伸が出る。
ため息が聞こえたが、目を瞑って無視した。
ベッドが揺れて扉の開く音がする。
ふー、と息をついて段々と眠りの淵に近づいていたは、扉の開く音を微妙に残った意識で感じ取った。
またベッドが揺れたかと思うと、布団をはがされる。
「おい」
「おやすみ」
顔をしかめて目を開けるが、目の前に映るのは恭弥少年の鎖骨辺り。抱き枕にされている。
おーい、と声をかけたが欠伸しか返ってこず。
はぁ、とため息をつくと、は諦めて目を閉じた。
朝起きてからは、(暇だったので)初詣にいってノリで挨拶をしなおした。
後日、恭弥と普通に新年の挨拶をしたと聞いたツナは無茶苦茶驚いていた。(あのヒバリが他人とよろしくって!!)
正月もノンビリ過ごしていた(暇だと恭弥と外に出て不良を噛み殺したり買い物したりカラオケにいったりとしたが)は、リボーンに呼び出されてめんどくさいなーとだらだら支度していた。
「・・・なんでまた僕の服着てるんだ?」
「笹川兄弟も来るから男のカッコしてこいって。かりるぞ」
顔をしかめている恭弥にだらだら返して、はよしと声を上げる。
恭弥はやはりため息をついた。
「夕方には帰ってくるんだろ?」
「ああ。お前もいっぺんくらい実家に顔出して来い」
「めんどう」
「言うと思ったけど。・・・あれ?ていうかお前マジでここに住み着いてね?」
靴を履きつつ喋っていたは、ぴたりと止まって振り返る。しかし恭弥は無視。
ため息をつくと、はいってきますと立ち上がった。
奥からはちゃんといってらっしゃいと返事が返ってきた。
くすくす笑ってマンションを出て、指定された場所へ。
河川敷につくと、ツナたちとディーノたちがわいわい遊んでいた。
「よーっす。楽しそうだな」
「よぉ!あけましておめでとー!」
「おめでとタケー」
ひらひら手を振りながら降りていくと、まっさきに武が返事を返してつっこんでくる。
がしっと抱きつかれて背中をぱたぱた叩くと、他のみんなからも挨拶された。
「おう。今日はカッケー格好してんな」
「よーディーノ。今日は転んでねーか」
「転んでねーよ!!」
武と離れるとすぐ、ディーノがやってきてがしっと肩を組む。茶化すと叫び返された。
ケラケラ笑っていると、げんなりしたツナが遅いよ、と声をかけてくる。
苦笑いして、悪い寝てたと軽く返した。
「でもが来たんならまだ勝てる!」
「は不参加だぞ」
「なんでだよ!!」
ぐっと拳を握るツナに、変な格好をしたリボーンが水を差すように言う。
ぎゃあぎゃあ騒ぎ出す二人を怪訝な顔で見ていると、リボーンがまた変なゲームをしてるんだとディーノにこそこそ教えられた。
聞いたは呆れ顔でため息だ。
「新年早々なにバカやってんだよ」
「おもしれーぞ。お前も見てろ」
高い椅子に腕を乗せてつっこむが、軽く流される。
はぁー、とため息をついてると、次の勝負行くぞ、とリボーンが笛を吹いた。
福笑いだの凧揚げだの、なんだかんだ言って楽しそうだ。ツナは一人青ざめているが。
「今日の格好は可愛くねーか」
「えー。微妙」
はリボーンと呑気にお喋り。
やる気なさ全開で返したところ、リボーンがむっと口を尖らせた。
「可愛くないの?」
「上目遣いすんな!」
「(どんなつっこみだよ!!)」
さりげなくツナからつっこみが。しかしはそれどころではない。
さっさと顔を逸らすと、応援していた京子とハルが目に入った。
「晴れ着着てるのか。可愛いな」
「えへへ。ありがとう。くんの私服って初めて見たね」
「やっぱりかっこいいです!」
頬を赤くして照れつつ笑う京子。
ぐっと拳を握ってハルが力いっぱい言ってくる。
はひょいと眉を上げてから、どーも、と言っておいた。
凧揚げの凧と共に飛んでいっていたイーピンが、なんとかツナに救出されて戻ってくる。
はひょいとしゃがんでイーピンの頭を撫でた。
「よ、イーピン。久しぶり」
「!」
ビックリしたあとに、赤くなるイーピン。そして額に浮かぶピンズ。
は「あ」と声を上げた。
「うわぁああなにやってるんだよ!!」
「いや、俺ただ頭撫でただけだけど」
「はひー!イーピンちゃん照れちゃってますーー!!」
「タケパース」
騒ぎ出すツナたち。
はひょいとイーピンを抱き上げると、武に投げる。
武はおーとキャッチしてから、ブンと空に投げた。
カッ!!と光って、空で大爆発が起きる。
わーすごいねーと京子と武は呑気に眺め、ハルや隼人たちはげんなりしながらため息をついた。
「あんまりちょっかい出すなよ。イーピンのヤツわかっててもダメみたいだから」
「んなこといわれてもなぁ・・・」
「は可愛いの好きだしな。天然ホストは俺だけじゃなかったわけだ」
疲れながら言うツナに、は顔をしかめながら返す。
がしっとまた肩を組んできたディーノは笑いながらを小突き、にやりと笑った。
はむっとディーノを見る。
「お前ほどじゃねーっつーの」
「またまた。俺は今も魅了されてどっきどきなんだけどな」
「なぁツナ、俺はここであまーーーーい!って叫ぶべきか?」
「・・・。まぁ、ディーノさんのために無視したほうがいいんじゃないかな」
「(ぇえツナ!?)」
さりげなく顎をとられたりするが、はツナに顔を向けて問いかけてみる。
物凄く呆れ顔で返された。ディーノはさりげなくショックを受けている。
かくりと頭を落とすディーノを見てなにやってんだ?と怪訝な顔をしているのもつかの間、へぇ〜と女の子たちの声が聞こえた。
「くんて可愛いもの好きなんだ。意外だね〜」
「ですね〜。でもやっぱりおんムグ!」
京子とハルがニコニコ笑いながら言ってくる。はしまったと一人青い顔だ。
ハルが女と言いかけたところでなんとかツナが止めてくれた。
は思い切り顔をしかめて顔を逸らす。
「悪いかよ」
「ううん。いいと思うよ。男の子でもそういう人いるし。私も可愛いの大好きだし」
「ハルも好きです!雑貨屋さんとか回るの大好きです!あ、この前デパートの前で素敵な雑貨屋さん見つけちゃって」
「ああ、表にレトロな自転車並んでる」
「そう!そこです!」
「あ、そこ私も知ってる!」
可愛いよね〜、と、何故だか女の子達と盛り上がる。
凹んでいるディーノは沈んだままだ。
コレ実はそこで買ってきたの、と小物を取り出したり品物の話をしたりと――気付けばはほわほわ笑顔。
いいよね〜、と盛り上がっていると、京子がくすりと笑った。
「なんだか君て可愛いかも」
「かわ!?」
「うんうん。可愛いです!その笑顔がステキです!」
「な、何言ってんだよお前ら・・・」
二人に可愛いといわれて、はとぎまぎ引いてしまう。
しかしそれも可愛い〜と喜ばれた。
ツナは羨ましそうに見てくる。
助けてくれてとSOSを送ったところ、助け方わからないから、と冷たく返ってきた。
凹んでにぶら下がっていたディーノが、急に復活する。
「はやらねーぞお嬢さん方」
「はひ!真性ホモです!」
「ハル、ホモは人類だからゲイだ」
「ってちげーよ!お前も何言ってんだよ!」
「わー。ゲイの人って初めて見た」
「だから違うって・・・!!」
ハルと京子の攻撃により、ディーノがまた凹みかける。
はケラケラ笑って――いたのだが、急にディーノにがばりと抱きつかれた。
「こうなったら開き直ってやる!!」
「きゃーー!ボーイズラブです!ツナさーん!!」
「なんでそこで俺を呼ぶんだよ!?」
苦しいくらい抱き締められてうめいてしまう。
騒いだハルがツナを呼んで叫び返されていた。
わあわあ騒いでいると、笑いながらディーノが腕を緩める。
ふへーと息をついたのもつかの間、ディーノが離れたかと思うと武が抱きついてきた。
「俺だって負けねー!」
「なにを張り合ってんだよお前は!!」
「山本くんくん大好きだもんねー」
「おう!」
つっこむが天然二人に囲まれて脱力。
ディーノがぁあ!!と叫んでいる。
「にっぶ・・・」
「あいつなにバカやってんですかね・・・べたべた無駄にくっつきやがってウゼー」
「はひ!もう一人ですかー!!あ。そういえばくん女の子だった」
「(おっせー!!)」
外野は外野で盛り上がっているらしい。
ツナのつっこみが聞こえて、はさりげなく頷いておいた。
ディーノが俺も俺も!と騒ぎ、武がさっき抱きついてたじゃないスか、と言い返している。抱きつきながら。
はため息をつくと、はいはい離れた、と手を振った。
満足したのか武は離れる。笑顔で。
「どうせだったらむっさい野郎じゃなくて可愛い女の子のほうがいいっつーの」
「え?じゃあ私抱きつく?」
「ぇえーー!!?(おい!!)」
「む!!京子はやらんが特別ボクシング部」
「断る」
とんでもないことをいいだす京子に叫ぶツナ。
ちゃっかり了平が勧誘してきたが一言でばっさり切った。
それまで傍観していたリボーンが、ひょいとに飛びついてくる。
は思わず両手でしっかり受け止めてしまった。
「どーでもいいから最後のゲームするぞ。かったりーから次で勝ったほうが優勝な。その変わり負けたら10億払えよ」
「コラリボーン!無茶いうなよ!(つーかぜってーディーノさんへのあてつけだし!!)」
いつもながら無茶を言いながらディーノをじっと見るリボーン。
ディーノはちょっと引いたが、フンと笑ってみせる。
ツナがつっこんだがリボーンは聞かず。
しかも餅つきをするらしい。アンコロ餅勝負。
ディーノたちは作り方がわからず首をかしげていた。
「やっぱり・・・(この勝負もらったな)」
「・・・。俺時折、疎外感を感じるよ」
「大丈夫だ俺がいる」
「(一番おかしなやつに言われても嬉しくねっつーの)」
ツナの黒さを見てつぶやいたところ、リボーンがニヤッと笑いながら言ってくる。はため息一つだ。
出来たあんころもちは、大変な出来に。
ディーノたちのものはボロボロ。
ツナたちのほうは、確かにちゃんとできていた。
途中までは。
「な!ポイズンクッキングーーー!!?」
「私も途中から参加させてもらったわ」
「ビアンキ!」
箱を開けて驚くツナ。着物を着たビアンキが現れて、隼人が倒れる。
あーあと隼人を見ていたは、ところで・・・と声をかけられて顔を上げた。
「なんで貴方はリボーンを抱き締めているの?」
「いるか?」
「貰うわ」
リボーン手渡し。ビアンキは嬉しそうに受け取る。
チッと舌打ちしたリボーンは、ひょいと先ほどまで座っていた椅子に戻った。今度はビアンキが舌打ちする。
「ていうかこれで逆転負けだーーー!!」
「どーしてそうなるのよ。料理は愛よ」
「な!?」
頭を抱えて叫ぶツナに、ビアンキがさらりと言う。
たまにはまともなこと言うんだなぁと(普段ツナの愚痴を聞く限り)傍観していたは、次の瞬間その認識が誤りだったことに気付いた。
「愛があれば毒くらい中和されるわよ。どうぞリボーン」
「・・・うっわぁ」
「(そのまま食ってくんねーかな)」
「(まてツナ)」
さりげなく聞こえた声につっこむ。舌打ちまで聞こえた。電波なのに。
青ざめるツナとディーノ。
じっとビアンキを見たリボーンは――鼻チョウチンを三つも出して眠りだした。
「(かつてないほど寝たーー!!)」
「仕方ないわね。あなたたちで確かめなさい」
「(な!!!)」
今度は本当にツナが青ざめる。ディーノも先ほどよりさらに青ざめる。
叫びながら逃げる二人を、ビアンキが走って追っていった。
「元気いいなー」
「いや・・・まぁ命かかってるんじゃな」
「両ボス逃亡か。これじゃ勝敗はつかねーな」
「つーか元々そのつもりだっただろ。おい、隼人、もう大丈夫だぞ」
ケラケラ笑う武。もう起きたリボーン。
呆れ顔でつっこんでから、は隼人を起こした。
う・・・と呻きながら隼人が起き上がる。
「や、やつは・・・」
「ギャランドゥーならツナとディーノ追っかけて向こう。もちでも食ってのんびりしようや」
ぜぇはぁ息をする隼人の肩を叩くと、は立ち上がってお前ら茶にするぞ、と手を叩く。
はーいと返事をしたハルたちは黒服たちと共にシートを敷き始め、はツナたちのチームの作った残りのもちを見に行った。
「む・・・」
「ん?どうした」
「ギャランドゥーがあったか」
表情を硬くするに、武と隼人がやってきて声をかける。
グッと拳を握ったは、ダンッとテーブルを叩いた。
みんながびっくりしながらを見る。
「粒餡のアンコロ餅なんて外道だ!!」
「・・・。なんだよそれ」
力説するに隼人が呆れる。
認めねー、とぶつくさいいつつ、は腕まくりして手を洗った。
「富山にほどちかい新潟出身者としてはこんなものアンコロ餅とは呼ばない」
「それ書いてるヤツだろ。しかも地域限定だろ新潟県民関係ねーだろ。裏話出すなよ」
「えぇい黙っとけ!タケ!そのアンコ潰してこせ!」
呆れ顔でつっこんでくる隼人にびしっと言い返して、はさっさと餅に手をかける。
りょーかーいと言って武はアンコを潰し始め、は隼人にも手を洗って手伝わせ始めた。
「もちは一口サイズにする!」
「うるせーな一々」
「、こんでどうだ?」
「む・・・もうちょっと細かくこせ。笹川兄もアンコ潰すの手伝う!」
「それじゃあボクシング部に!」
「座ってろ」
騒ぎつつ製作。
出来たアンコロ餅をちゃくちゃくと大きな皿に並べて、全部作り終えた頃にようやく息をついた。
「でけたー!」
「はぁー・・・」
「おお!なんか美味そうじゃん」
「わー!すごーい!」
叫ぶ。疲れている隼人。喜ぶ武と女の子たち。
みんなで食うぞーとシートまで運んで、お茶と並べて食べることになった。
は隼人と共に煙草を吸いながらだったが。兄弟みたいだと茶化されて肩を組んだら殴られた。
「こりゃうめーな。が優勝か」
「勝負終ってんだろーが大体俺は不参加だ」
隣で食べていたリボーンが、もぐもぐ餅を食べながら言ってくる。
がしらけた顔でつっこむが、リボーンはにやっと笑った。
「ツナとディーノで1億だな」
「・・・ディーノはともかくツナに払えるかっつーの」
やはりしらけながらつっこむ。
まーまーガキの言うことだし、と武はケラケラ笑ってきて、はやれやれと笑ってお茶を飲んだ。
「」
声をかけられて顔を上げれば、上の道に恭弥少年。
どうしたよ、と声をかけると、そろそろ帰るよ、との返事が返ってきた。聞いてむっとするのは武と隼人だ。
空を見上げてから、はしゃーねーな、と立ち上がる。女の子たちが二人で騒いでいた。
「はひ!怖い人です!私服初めて見ました!」
「くん仲良いね」
「チッ。なんだってんだあの野郎・・・」
「飯集りにきたんだろ。これちょっと貰ってくぞ」
舌打ちする隼人に適当に返しつつ、はアンコロもちを少しだけ貰っていく。
じゃーなと手を振ると、それぞれ返事を返してくれた。
「餅つき大会でもしてたのかい?」
「正月の遊びを全てやってた。スーパー寄って帰るかー。コレ土産」
「・・・アンコロ餅がお土産?」
ぽんとアンコロ餅を渡すと、怪訝な顔される。
帰って食おうぜ、と頭を叩くと、はスタスタ歩き出した。
一応実家に顔を出してきたらしい。しかしその後不良を噛み殺していたとか。
懲りないなと、ため息をついてから、は笑みを浮かべて煙草に火をつけた。
残ったハルたちが、ホモ三号だのなんで一緒に帰るんだだの盛り上がっているとも知らずに。
年明けから君と過ごせるって、結構幸せだと思うんだけど。(今年もよろしく。いい年になりそうだ)
でもなりませんでした。(いい年)