今日もツナが遊びに来ていた。一人で。
恭弥も相変わらずの家にいる。
今は円のソファで本を読んだり、時折欠伸したり。
鉢合わせしてから何度かこういうことがあったが(恭弥が夏休み以上に入り浸っているというか泊まりっぱなしだ)、あんまりにも会いすぎてなれたらしい。
互いを適度に無視することに。
「おっしゃ来た!!」
「、うるさい」
「家主俺な」
「(それって遠まわしに逆らうなら帰れって言ってるよな。って腹黒)」
「(お前には負けるって)」
の一言で恭弥は黙り込む。そしてツナがつっこんでくる。
両方さらりと流して、はツナとゲーム中。毎度これだ。
ツナをボコろうにもがいれば恭弥は手が出せない。
ということで、ツナは脅えこそしつつも(内心余裕で)過ごしている。
「どーしても最後のアイテム見つからないんだよなぁ。どこにあるんだろ」
「よし、こういう時こそ最先端技術だ」
「単に攻略サイト見てるだけだろ」
「(たしかに)」
「るせーよ」
二人からつっこみがきて一言で返す。手には携帯電話。
結局ツナとわいわい騒ぎながらゲームをして、恭弥につっこまれてつっこみかえしてボケてハリセンで叩かれたり。
食事はが作るか、食べに行くか買いに行くか。
クリスマス前日から、ミツコさんは休暇。
というわけで家事は恭弥を手伝わせてなんとかしている。
気付いたら恭弥の着替えが増えててちょっと脱力した。
本日はが食事を作ることに。
昨日は恭弥に手伝わせたが今日は手伝わないらしい。他人がいると絶対にやらない。
スパゲティだけ作って出せば、せめてサラダもつけようとと恭弥が文句を言ってくる。
流しつつカウンターで、両隣を挟まれて昼食を取った。
「つーかツナ、お前朝から来てるけどいいのか?」
「うん。ぶっちゃけ家にいると色々ウザイ」
「・・・だろうよ」
「・・・。案外腹黒?」
今更恭弥が問いかけてくる。
ゲームをしながら愚痴っていたにも関わらず。ツナも一瞬呆れ顔した。
え、いや、には負けます、とツナがとぎまぎ返すと、ふぅんと恭弥は適当な返事を返した。
はよくやるよとしらけた顔でツナを見る。
ツナはそしらぬ顔でパスタ摂取中。
「赤ん坊は今日は来ないのかい?」
「寒いと動きたくない、らしいです。の家に行くって言えばついてくるんだろうけど」
「ツナ、素が漏れてる。つーかお前どこいくって来てんだよ」
「山本の家とゲーセンと本屋。あとは適当に」
さりげなくつっこんでみるが、もうどうでもいいらしい。
恭弥が訝しげな顔でツナを見ている。
はため息をついておいた。
お前もよくやるな、と言うと、安全と快適な休みのためならなんでもやるよとの辛辣な返事が返ってきた。
「・・・毎度苦労してるみたいだしね」
「分けたいくらいです」
「いらないよそんなの」
「ほんとにな」
呆れたように言う恭弥に、ツナがスパッと返す。
すぐさま恭弥が辞退し、もさりげなくつっこんでおいた。
ツナははぁとため息をつく。
またランボたちが暴れたか、と問いかけると、最近はディーノさんも入ってきててんやわんやだよ、との返事が返ってきた。
「また転んでんのか」
「あの人はどこでも転ぶよ。山にみんなでいくことになったんだけどリボーンに無理やり滝に打たされて、その後巨大化した亀から逃げようとして、ディーノさんがドジ踏んでつり橋切断しちゃって遭難」
「お前軽く言うけど内容濃いよな」
「が風紀の仕事あるって嘘ついてこなかった日の話しなんだ」
「へー初耳〜」
軽く流しておく。
恭弥がさりげなくしらけた顔で二人を見ている。
ツナはスパゲティを食べながらホントつかれたよあれは、と言った。
「ビアンキが出てきて獄寺くん潰れるし」
「うわぁ」
「山本は的確に判断して薪拾ってきてくれたんだけど、火炎瓶取り出した獄寺くんをビアンキがわざととしか思えない天然で気絶させて山火事に発展。逃げようとした洞窟はランボが爆発」
「ホント濃い内容を軽く言う子だね」
しらけ面しながら恭弥がつっこみ。
はこっくり頷いたあとに、ため息をついてんで?と問いかける。
ツナが疲れたようにため息をついた。
「リボーンに無理やり死ぬ気状態にさせられて、水脈ぶん殴って山火事は抑えたけど、水吸った亀がまた巨大化」
「ワオ。デッドオアアライブだな」
「救出されたのは元の大きさに戻った亀探してから。やめろっていってるのにディーノさん無駄に鞭振って怪我増やすし。捜してる時も転ぶわ間違えて毒キノコ持ってくるわ冬眠中の蛇みつけるわ。自分のことも見直せない大人ってちょっとどうかと思うよね。アレがなければ純粋に憧れるのになぁ」
「今思ったんだけど、君純粋って言葉似あわないね」
ため息混じりにつらつら言うツナを、しろい目でみつつ恭弥が言う。
はすさんだ笑みを浮かべた。
ツナは今更純粋なんてね、と物凄く現実的なことを言っている。(きっと内心鼻で笑っている)
こんな子だったんだ、とつぶやく恭弥に、ツナは現実主義者だと言っておいた。
ツナはまたため息をつく。
「ハルは隙あらば抱きついてくるし。山道は歩きづらいんだっつーの考えろよ」
「俺のつっこみ移ってるぞ」
「ああつい。もうホント、が来てくれてたらなぁ。私利私欲のために好き勝手するリボーンもウザイランボも使えない獄寺くんもいらないビアンキも意味ないディーノさんもやかましいハルも、銃で撃って止めてくれたんだろうに。山本の天然につっこみいれたりとか。まともなイーピンはなに喋ってるかわからないし」
「俺、心底その日参加しなくてよかったって思うよ」
いっそ笑ってしまう。
恭弥は顔を歪めながら見てくる。
流しておけ、と肩を叩いておいた。
「今度なにかあったら参加してよ。もう俺一人じゃつっこみきれないよ」
「お前のそのつっこみを外にさらけ出せば十分だと思うぞ」
「うん。本当に」
恭弥まで同意。
まだツナについてこれないらしい。
ツナはふっと笑うと、また食事を再開させた。その無言が怖い。
「はぁーあ。ボンゴレファミリーの10代目なんてなる気ないのに」
「俺はどうなるんだっつーの」
「わぁ。俺たちまるで運命共同体だね」
「お前明らかに流すつもりだろ」
つっこみつつ食べる。
恭弥はなんだか疲れた顔で食事を取っていた。
こんなに可愛いのになぁ、といいながらツナの頭を撫でる。
ツナは嬉しくないよ、といいながら気にせず(無視ともいう)スパゲティを食べた。
「せめて京子でもいたら変わったんだろうに」
「は?!無理だよ。アホなところ見られて終わりだって。大体あの濃いメンバーに囲まれるんだよ?」
「京子は下手したらタケを超える天然だろ。余裕だって」
「可愛いよねぇそこがまた。純粋っていうか」
「お前にはないものを持ってるもんなー」
両手を組んでほぅと息をつくツナ。顔が緩んでいる。
はケラケラ笑って相槌を打ち、恭弥が横でため息をついた。
あんな子そうそういないよ、とまだ惚気るツナを、は笑ってはいはいと返した。
「なんであんなに簡単に話せるわけ?」
「そりゃお前、俺が元々女だからってのもあるだろ」
「あぁそうだった」
「(え、これ天然?それともこの子狙ってるの?)」
普通にたちが会話をする横で、恭弥が怪訝な顔でこちらを伺っている。
忘れんなよーとつっこむと、どっちでもいいじゃん、との返事が返ってきた。
確かに、と恭弥とで被る。
食べ終えてコーヒーを入れてあげると、ツナがふぅと息をついた。
恭弥もはぁと息をついている。
は洗い物を終らせてもとの席に戻った。
煙草をつけるがお咎めなし。
「正月もきっとなにかあるよ。ていうか最近ビアンキが家を我が物顔で使ってるしホントありえねーあのアマ帰れよ」
「(ワオすごいよこの子)」
「元々図太い人だったんだろ?いまいちまともに会話したことねーんだよなー」
「(流してるし)」
「まともに会話成立させてるとこみたことないよ。問題があるとしたらビアンキだから安心していいと思う」
「(現実主義っていうか・・・物事はっきり言いすぎだろ)」
「あーそうなんだ。なら安心だ」
「(するなよそこは流すなよ)」
のんびりコーヒーを飲みつつお喋り。
恭弥が物凄くつっこみたそうな顔をしている。ハリセンを装備して。
帰ったらきっとランボうざいなーと顔をしかめながら言い出すツナに、はケラケラ笑いながらお疲れお兄ちゃん、と頭を撫でた。
「どうせならが家庭教師なら良かったのになぁ」
「あはは。ろくに勉強教えらんねーよ」
「うん期待して無いから」
「それはっきり言っちゃうんだ」
「え?だってそうじゃないですか」
思い切りつっこむ恭弥。
ツナはきょとんと首をかしげながら返す。見てくれだけなら、人畜無害。
はくすくす笑って恭弥の頭を撫でた。恭弥はむっとして手を払う。
ツナははぁとため息をついた。
「勉強とかぶっちゃけどうでもいいから、平和な生活が欲しかったよ」
「まぁ、楽しくていんじゃね」
「全然。毎日苦労して騒ぎに巻き込まれて何か起きたら全部俺の所為。どうよこれ」
「・・・まぁ、否定もしたくなるね」
「ですよねー」
「(うっわぁ恭弥が・・・)」
とうとう話しに入ってしまった。
ツナは普通にもう返している。一応敬語だが。
は顔を引きつらせてしまう。
これで恭弥の器がまた一回り大きくなったかなと。
ツナは、俺は静に生きて特に悪い事もしてなかったのに、と疲れたサラリーマンのような台詞をのたまっている。
窓際族みたいになってるよ、と恭弥がつっこんだ。
あぁつっこんじゃってとはもう笑う。
ツナはもう慣れました、と軽く返している。
「大体、リボーンも獄寺くんもディーノさんも、俺じゃなくてボンゴレ10代目だけを見てる。山本は天然で俺のこと期待株だなんて勘違いしてるし」
「バーカツナ」
ふぅ、とため息混じりにツナが言う。
は笑みを浮かべてツナを小突いた。
ツナがむすっとした顔でを見てくる。
「心配しなくとも、みんなお前を見てるっつーの」
「・・・心配なんてしてないよ」
いじけたような声が返ってきて、はくすくす笑ってしまう。
ゲーム再開、と言ってツナが立ち上がった。さっさと半円ソファにいく。
カップを流しに置いてくすくす笑いながら、はツナの隣に座って頭に手を置いた。
「ほんと、お前って可愛いよな」
「の可愛いの基準てわかんないよ。ディーノさんも可愛いって言うし」
「あんなのまで可愛いって言ったの?」
恭弥も呆れ顔しながらやってくる。
円のソファに座って、ふあ〜ぁと欠伸した。
可愛いって言った挙句抱きついたみたいですよ、とツナが言う。
恭弥が不機嫌になった。
「、それホント?」
「あぁ・・・酒飲んだ時かなぁ」
「ロマーリオさんたちが言ってたよ。すっかり子ども扱いされてたって」
「・・・。へぇ」
「(あれこいつさりげになんか楽しんでない?)」
恭弥がむすっとしながらツナの言葉に反応。
ツナがさりげなく笑ったのを見て、は怪訝顔する。
しかしツナにうわぁここの敵すっげー強いんだけど、と言われて、すぐに思考が逸れた。
遊ぶだけ遊んで、ツナは帰っていく。
嫌だなぁと言いつつ。
笑いながらツナを見送ってから、はソファに座って息をついた。
「彼中々激しいね」
「そうか?ストレス溜まってるだけだろ。毎日リボーンに遊ばれて」
ちょっと遠い目をする恭弥に、はくすくす笑いながら返す。
そうかなぁ・・・と恭弥は怪訝な顔をしたが、はそうだって、と返しておいた。
文句ばかり言うけど、ホントはみんな大好きだもんな。お前。(言えば否定すンだろーけど)