ツナは鞄片手に、のマンションに向かっていた。その足取りは軽い。
軽かったのだが、それもつい先ほどくずれてしまった。
「てめーはくっつきすぎなんだよ!」
「こんくれーいいじゃねーの。照れるなって!」
「・・・はぁ」
途中で会った獄寺と山本も行くことに。
愚痴が半減するなぁ、と思いつつ、まぁいいかとツナは二人とともに歩いた。
友達と共に友達の家に遊びにいくという感覚が、なんだかくすぐったい。
先ほど電話しておいたから、恐らく起きてはいるだろう。
マンションについて、エレベーターで最上階に上がる。
もうツナも慣れたもので、第二の家のように普通にセンサーに指紋を通して部屋に入った。
「おはよー」
入ればカウンターで朝食を取っている。ツナを見て笑みを浮かべる。
「よーツナ。あれ?タケと隼人も来たのか」
「よっす!暇だったからついてきた」
「おー寒ぃ。ここストーブねーのかよ」
「ねーよ。キョーヤでも抱いてろ」
山本は早速手を上げて挨拶。
獄寺は体を抱きながらちゃっかり文句を言っている。
キョーヤと聞いてヒバリ!?と獄寺が叫び、と一緒にツナまで笑ってしまった。
「違うよ獄寺くん。あの人形のこと」
「は?・・・これ魔女宅のジジじゃねーんスか」
ソファまで行けば、転がっているどでかいジジ人形。
がキョーヤって名前をつけたと教えると、趣味悪!と獄寺は素直に叫んだ。山本爆笑。ツナも笑う。
ぱくりとパンを食べながら、はそーかなー結構あってると思うけど、と言ってきた。
まあ猫に似てるけどさ、とまだ山本は爆笑中。
ツナは周りを気にせず(無視ともいう)鞄からゲームを取り出した。
「!」
「ん?ぉお!!ツナ!なぜそれを!!」
びしっとゲームを突き出して名前を呼べば、振り向いたが驚いて顔を輝かせる。
へへへーと笑ったツナは、ゲームをPSにセットした。
「発売日と風紀の仕事被って買えねーかもっつってたから、持ってないかなと思って」
「でかしたツナ!さすがだ!」
出たのは昨日だ。
はわざわざ見に来て、ばしばし背中を叩いてきた。ちょっと痛い。
よっしゃー大画面!とうきうきしながらツナはまん前を陣取って座る。
山本がうわーと声を上げながら隣に座ってきた。反対側には獄寺が座っている。
野郎三人固まってキメーなおめーら、とがカウンターに戻りながら余計なつっこみを入れてくる。
うるせーよ、と獄寺が返し――たところで、がちゃりと寝室のドアが開いた。
「・・・なにこれ?」
「ヒ、ヒバリさんーーー!!?」
「おう。ゲームしにきた」
「な、なんでヒバリがここに!?」
「泊まってったから」
出てきたのは寝起きらしいヒバリ。
しかもツナ達を見て不機嫌な顔をしている。
は気にせず答えたが、獄寺とヒバリがそうはいかない。
すでにダイナマイトを持ち出している獄寺、さりげなく身構える山本をおろおろ見て、ツナは真っ青になった。
「ここで喧嘩起こしたら全員窓から落とすからな」
「「・・・」」
「や、やらないからやめてよ(なんでヒバリのこと言わなかったんだよ)」
「ツナ、ボスは責任を取るものだ。つーわけでお前も落下決定な(わり、忘れてた)」
の一言でぴたりと全員止まる。ツナ以外。
ツナがさりげなく逃げるが、は許さず。
というか、獄寺を釣る餌にしている。顔を向けているのは、獄寺。
腹黒めと電波が飛んできて、どっちが、と返しておいた。
「チッ・・・!」
「・・・はぁ。、ごはん」
「そこらにあるぞ」
獄寺は舌打ちして無視の方向。
ヒバリはため息をつくと、スタスタの元へ。
ひらひらが手を振ると、作って、と普通に言い出した。
ツナはアーこりゃ大変だと呆れる。見えないのをいいことに。
「残りもんでいいだろ」
「味噌汁と目玉焼き。あとサラダ」
「はぁ・・・。サラダはお前が作れよ」
聞こえてくる会話に微妙に緊張する。怖いんだか笑いたいんだかつっこみたいんだかで。
山本はじっと二人を見ている。獄寺は、不機嫌な顔で煙草を吸いまくっている。
ツナははぁとため息をついて、とりあえずゲームに集中。
新作でもう心がウキウキし始める。周りは、放っておく方向で。見ていて楽しいが。
「具は?」
「お腹すいたし卵とわかめでいいや」
「うっわちょー楽」
「じゃあサラダも作って」
中々所帯じみているというか、すっかりヒバリがとけこんでいる。
ちらっと見ればキッチンに立つ二人。
微妙すぎる。ヒバリがの真っ白なジャージを着ているのも微妙すぎる。
笑いたくなって堪えた。
「お前目玉焼き舐めんな。焼き具合が大変なんだぞ」
「焦げてなければいいよ」
「俺はエスプレッソな」
「「なんでお前がここにいんだよ!?」」
思わずツナまで振り向いてつっこんでしまう。
何故かリボーンがキッチンとカウンターを挟んだ間に座っていた。
ヒバリは普通に「やぁ」と挨拶している。さすがと思ってげんなりしたツナだ。
暇だから来た、というリボーンに、は脱力。どんまい、と電波を送ったところウゼーと返ってきた。
「つーかエスプレッソなんてねーよ」
「大丈夫だ買ってきた」
「準備いいね」
しっかりエスプレッソの元を取り出すリボーン。カップに固定してお湯を入れるタイプ。
ヒバリは普通にリボーンに返事を返しており――さらに脱力しているを見て、ツナは心底同情した。聞いたとおり天然ボケの節があるらしい。
はぁー、と深くため息をついたは、ヤカンを取って火をつける。
棚からカップを取り出すと、ヒバリも黒いマグカップを取り出してよろしく、とに渡していた。はまた脱力。
僕も貰うよと言うヒバリに、リボーンはいいぞ、といいながらエスプレッソの元を渡した。
あーもーダリーといいながら、はだらだら味噌汁支度中。
ヤカンがピーッとなってのろのろエスプレッソを作っていた。三人分。
「お前らもなんか飲むか?」
「えっ。えーっと・・・じゃあコーヒー?」
「俺も」
「じゃ、俺も」
ツナが答えると、獄寺が次に答えて最後に山本が手を上げる。
んーエスプレッソでいっか、とはさらにカップを取り出し、山本が立ち上がって手伝う、と歩いていった。
「(よくあそこいけるな山本・・・)」
ツナは感心してしまう。
キッチンまでいった山本は、さりげなくヒバリと火花を散らす。
しかし気付いたのウゼー、の一言で終った。リボーンはそれを見てふっと笑っている。
「ん」
「あれ?これ勝手に入れていいのか?」
「ツナの分量はわかってっから」
コーヒーの乗ったお盆を持った山本が首をかしげると、がひらひら手を振りながら答える。ジュー、と物の焼ける音がした。恐らく目玉焼き作成中だ。
へ、なんでだ?と問いかける山本。ヒバリもを見ている。
しょっちゅう遊んでるし、とが答えると――こちらに来る視線。
流れを読んでテレビに顔を向けたツナは背中で受けた。
山本がやってきてコーヒーを受け取る。
向こうでは出来た朝食をが盛って、ヒバリが受け取っている。うわぁと内心声を上げつつ、ツナはテレビに顔を戻した。しかし気になる。山本はバッチリ見ている。
リボーンはもうエスプレッソを飲んで、ヒバリはご飯と味噌汁を持ちつつカウンターへ移動。
箸とサラダ、カップ二つを持ったが隣に座った。
座ってエスプレッソを飲んでから、は煙草に火をつける。
ゲームより周りのほうが面白い。そんなこと思ってもツナは口には出さないが。
「ちょっと薄い」
「あ、味の素入れ忘れた。わり」
ダメ出しまでしている。しかも普通に謝ってる。
俺も食いてーな、とリボーンが言い出して、お前食ってきただろ、とが呆れたように言った。
「お前がそういうの着てるの珍しいな」
「そうかい?ここくるといつもこれ着てるけど。、これ頂戴」
「つーかもはやテメー専用みたいな扱いだろうが」
リボーンの言葉に普通に返したヒバリが、に進言。が呆れながら返事を返す。
二人の言葉を聞いて反応したのは、山本。あーあとツナは内心声を上げる。
「あーあ。新しくジャージ買ってくるかな。・・・それ気に入ってたのに」
「同じの買ってきたら」
「黒があったから黒買ってくる」
「・・・そっちの方が良いな」
「テメーで買え」
なんともいえない会話続行中。そしての鈍さにツナは笑いそうになる。
お前しょっちゅう来てんのか、というリボーンに、ヒバリはああとさらっと答えた。
「煩くないし。綺麗だし。寝やすいし。好き勝手できるし」
「飯でるしテレビでかいしなー」
「変わりにアッシーやって朝起こしてあげてるだろ」
二人の会話にやはり反応するのは山本。
ツナは顔を引きつらせる。・・・笑いそうになって。
リボーンが俺もここに住むかな、と言い出すと、が力を込めて絶対追い出す、と言った。
そこで山本が、口を開いた。
「なー」
「なんだー」
「俺も今度泊まっていーか?」
でた。とツナは顔を引きつらせる。笑いそうになって。
はおーいつでもこい、と普通に返した。部屋いくらでも開いてるしな、と呑気に続けているが、ヒバリの空気が尋常じゃない。
「じゃあ俺も泊まるかな」
「お前はツナの家庭教師だろ」
「ツナも泊まればいーんだろ」
「ツナだけなら大歓迎」
ニヤッと笑(っているだろ)うリボーンに、が(きっと)顔をしかめながら答える。
その言葉に空気をかえるのは、山本とヒバリ。さりげにリボーン。お前もかとツナは内心つっこみ。
ずっとたちを見ていた山本が、くるりと体を回してきた。
「な、ツナ。・・・お前ってここまでと仲良かったっけ?」
「え、うん、まぁ、ゲーム仲間だし。愚痴とか言い合ってるし(ここにいる全員の)」
「(お前明らかに楽しんでるだろ)」
中々に真剣な山本に、ツナはとぎまぎしながら答える。
電波が飛んできて、まさか、と答えたが笑いそうになった。バレバレだっつのとツッコミが飛んでくる。(電波で)
ふぅんと声を上げたのは山本。しかし後ろからも視線が飛んできている。
ごちそうさま、と後ろからヒバリの声が聞こえてくる。
あの人育ちいいよなと思ってみたり。多分いいと思うけど変、と電波が飛んできた。激しく同意した。
「歯磨いた?」
「お前が間よく起きてきたからまだ」
「はいはい」
二人の会話を聞いて、うっわぁと思ってしまう。
しかもそのままヒバリはを引っ張って洗面台へいったらしい。山本の視線が物語っている。
洗面台(のある脱衣所)からは二人の馬鹿な会話。歯磨き粉付けすぎた、だの口に入れば同じ、だの。
何で普通なんだ・・・とつぶやくと、獄寺があの野郎、とさりげにつぶやいた。だからは女だってと内心つっこむ。
山本がふぅ、とため息をついたのに気づいて、ツナは苦笑いした。
出てきた二人は円のほうのソファに座る。
は煙草を吸いつつノートパソコンを立ち上げ、ヒバリはその横で読書開始。
リボーンは気付いたら円のソファに座っていた。
「おい。これいつのだ?」
「あぁ、一昨日の。金髪とピルクルと赤シャツのところ」
「・・・オメーらそれ風紀委員か?」
ぴらりと紙をヒバリに見せる。ヒバリはちらりと紙を見てすぐに答える。
リボーンのつっこみにツナは同意。どんなあだ名だと思ってみたり。(特にピルクル)
ヒバリは普通にああと答えた。ぱらりと本をめくる音がする。
「伊藤と後藤と斉藤だっつっても名前覚えねーんだよ」
「覚える必要もないし。わかるならいいじゃないか」
「わかんのか」
「・・・伊藤は年中金髪不良。後藤は毎日ピルクル不良。斉藤は毎日赤シャツ不良」
「なるほど」
リボーンと同じくなるほどと思ってしまう。が呆れたようにため息をついた。
カタカタはパソコンを打ち始める。
リボーンはエスプレッソを飲みながらを眺めているようだ。
時折確認をとりながら、は手を動かしている。いつもこうらしい。
「お前こんなのいつしたんだよ」
「が生理痛って嘘ついてサボってた日」
「嘘じゃねーよ。来てたんだ。夢の中で」
どんなだよ、と思った瞬間スパァン!!と小気味良い音が響く。見ればヒバリがハリセンでを叩いている。
ぷっとツナは噴出した。獄寺も噴出しかけている。山本はまだ微妙な顔。
「ってーな」
「それを世間一般では嘘っていうんだよ」
「電話きたとき俺はまだ夢の中にいたんだ」
「午後三時過ぎに夢の中にいる人は早々いないだろ。黙って手動かす」
「はい文句一つ。やりすぎだ馬鹿の子」
「あのことばらすよ」
手を上げて言うに、本を読みつつ返事を返していたヒバリが顔を上げて笑みを浮かべる。
はぐっと押し黙った。舌打ちするとまた手を動かし始める。
しかしそこで、リボーンがニヤッと笑った。
「」
「なん・・・・・・・・・なんだよ」
一瞬が止まって、ツナは思わず顔を向ける。
見ればのすぐ横にリボーン。
ちょこんと座ってを見ている。は体を引きつつ見ている。
「なんだ。赤ん坊は知ってたのか」
「ああ。知ってるぞ」
笑みを浮かべて言うヒバリに、リボーンがじっとを見上げながら返す。
は「な!」と声を上げて二人を忙しなく交互に見た。
気付けば全員に注目。はリボーンを見て引いている。
「」
「な、なんだよってかくんなっ」
可愛らしい声で名前を呼ぶリボーン。はずるずる下がる。
怪訝な顔の獄寺。首をかしげる山本。
ツナは、なに(楽しそうなこと)やってるんだよリボーン、と声をかけた。
が下がるたびリボーンは近づく。
そして下がる。ヒバリに引っかかって動けなくなった。
そのヒバリは、変わらず笑みを浮かべてを見ている。(は表情の変化がわかるらしいが、ツナは全然分からない)
ぴったり横にくっついての太ももに両手を置いたリボーンが、口を開いた。
「なんで逃げるの?」
「っ!」
「かまって」
「〜〜〜だぁぁあああ!!」
可愛らしくリボーンが言った瞬間、震えていたが大声を上げてリボーンをぽーいと投げる。ツナがコントローラーを持ちながらキャッチ。いらない選択ボタンを押されてさりげなく舌打ちした。
そしてなんだかが面白いことに。
ヒバリにぴったりくっついて震えながら唸っている。
ヒバリは、やはり変わらぬ笑み。・・・全然表情が読めない。
「ひでーな。投げるなんて」
「でもしっかり加減されてるじゃないか」
「るさいお前ら!!」
ヒバリにしがみつきながら、赤い顔のが怒鳴る。
にやっと笑ったリボーンが、またの元へ行った。山本がかなり顔をしかめている。
「」
「くんな!!」
「・・・あいつ子供平気じゃなかったッスか?」
「・・・うん。むしろ・・・好きなんじゃないかな」
切羽詰ってるを見て、獄寺がこそっと問いかけてくる。ツナは頷きつつ、観戦。
手を払ったの元に、リボーンがまた迫ってぴったりくっついた。
「なんでかまってくれないの?俺のこときらいなの?」
「っっ!うわぁぁん!!」
ぐっと固まったが、また目を瞑りながらぽーいとリボーンを投げてくる。またツナがキャッチ。
泣きそうな勢いでヒバリにしがみつくを見て、ヒバリがにやりと笑いながらの頭を撫でた。
「もういいんじゃない?ここまできたんなら」
「るさい絶対嫌だ!!」
「・・・なァ、一体どうしたんだ?ランボは平気じゃねーか」
「はかわ」
「わぁぁああああ!!」
顔をしかめて問いかける山本に、リボーンがにやっと笑いながら答え――ようとしてに邪魔される。
くすくす笑ったヒバリが、キョーヤを取ってにぽすりと当てた。
「ほら。ジジ好きだろ?」
「それはキョーヤだ!」
「・・・ジジ」
「キョーヤ」
「どっちでもいいだろ」
「(ほんとにな)」
ついつっこむ。つっこんだリボーンはまたの元へ。
ヒバリはにやりとまた笑うと、リボーンにキョーヤを渡した。
リボーンはにやっと笑って受け取っている。
「。キョーヤも遊びたがってるぞ」
「だからジジ」
「お前らホント死ね!!」
物凄くコントじみている。
そしてが一杯一杯だ。こんなは初めて見る。
わあわあ騒いで、結局リボーンがまた飛んできた。ツナは三度目のキャッチ。
「つーかお前くっつきすぎ」
「(うっわー獄寺くん勇気ある)」
うわぁぁあんとランボのような声を上げながらヒバリにくっつくに、獄寺が顔をしかめながらつっこむ。ツナは内心拍手。
がヒバリにくっつきながら頭を振ってうるさい!と叫ぶと、やはりヒバリとリボーンがにやりと笑った。
「だから、は」
「わぁぁああムグ!!」
「はい赤ん坊」
「は可愛いもの好きなんだぞ」
「「はぁぁあああ!!?」」
出てきた言葉を聞いて、ツナは獄寺と叫んでしまう。山本はぽかんとしながらリボーンを見た。
ヒバリの拘束を解いたが、ハリセンでヒバリをスパァン!!と殴っている。
先ほどから思っていたが痛そうだ。いつだかスリッパで殴ったときのようになっている。
「だから俺が近づいたら拒否反応が出たんだ」
「なんでだよ」
「秘密にしてたから。ついでに俺を認めたくねーから」
「(なるほど)」
物凄く納得する。
山本はなぁんだ、と声をあげ、獄寺にいたってはニヤニヤ笑いながら真っ赤なを見ている。
「お前が可愛いもの好きねぇ。ふぅ〜ん」
「んだよ!」
「なんか意外だなー。可愛いけど」
さらっと山本が口説く。
しかしはツナのほうが愛らしい!と豪語。呆れてしまう。
ヒバリは無表情になっていた。が、電波でうわ呆れてる、と聞こえてくる。
あれ呆れてたんだとツナはなんだか疲れながらヒバリを見る。
ケケケ、と獄寺が笑っていると、というわけで、とリボーンがまたの元へいった。
「もうバレバレなんだ、いくらでも可愛がれ」
「お前アホだろ」
「本性でてるぞツナ」
「え?なに?」
「(しらばっくれやがった)」
リボーンにつっこまれるがツナはスルー。
はまだヒバリにひっつきながら、ちらりとリボーンを見た。
よくよく見ると、目が輝いている。頬もちょっと赤くなっている。しかし泣きそうだ。
うぅ、とが唸ると、ヒバリが噴出した。はすぐにヒバリを睨む。ヒバリは口を押さえながら笑っている。
リボーンがにやっと笑いながらにぴったりくっつこうとしたが、はあわわわと手を振って距離をとった。
「なんでだよ」
「だ、だってさ・・・」
いじけた顔をするリボーン。
ぐっときたらしい。は物凄く困った顔だが、目が輝いてる。
「潰しそう」
「「「・・・」」」
「そこまでやわじゃねーよ。――、だっこ」
「あー・・・すっっげームカツク・・・!!」
「(わっかる)」
わざとらしい可愛らしい声。
はまたヒバリに頭をくっつける。激しく同意したツナだ。
うぅ、と唸ったがキョーヤを抱き締める。
うわぁと思わず声を上げてしまった。リボーンがチッと舌打ちする。
「俺じゃなくてそいつを抱き締めるのか?」
「・・・キョーヤは潰れないし」
「だからジジ」
「(どーでもいー・・・)」
内心呆れつつつっこみ。
しかしヒバリはむすっとしている。あ、これは分かったとちょっと嬉しくなった。すぐどうでもいいやとげんなりした。
の服をぐいぐい引っ張って、リボーンが〜〜と駄々を捏ねる。う〜とまたが唸った。
はぁ、とツナはため息をつく。
「リボーン、あんまりいじめてやるなよ」
「・・・チッ。わかったから、抱け」
「(だからそれがいじめだっつーのっつかどんなだよその掛け声)」
「言葉に出してつっこんでくれツナ!」
「え?なに?」
「(しらばっくれやがった!)」
切実にに叫ばれる。ツナはきょとんと首をかしげた。がびしっと固まる。
両手を伸ばしたままのリボーンは、むっと口を尖らせて早くしろ、と命令口調。
がリボーンを見る。物凄く物ほしそうな顔だ。
そっと手を伸ばして、がリボーンを両手で持つ。
ぽす、と膝の上に乗っけると、にへら、と笑った。
ツナたちは思わず固まってしまう。(あんな顔見たことないよじゃない!と)
「赤ん坊は可愛いか」
「ちっさい。軽い」
「手震えるほどガマンしなくてもいいだろうに」
さりげなくヒバリがつっこむ。よくよく見れば手が震えてる。
だって潰しそうだろ!?と、がヒバリに勢いよく顔を向ける。ヒバリは知らないよとそっけなく返した。
だから大丈夫だ、と言って、リボーンがぽすぽすの腕を叩く。
「・・・・・・かぁわい〜〜」
「ふっ。俺に掛かればこんなもんだ」
「ジジと同系列だけどね」
「キョーヤには負けねぇぞ」
「だからジジ」
だからどうでもいいっつーの、とさりげなくツナはつっこみ。(キョーヤはヒバリも含まれてるんだろうなと思いつつ)
そしてはほわほわした笑顔でリボーンのほっぺたを突いている。
やらかーいつるつるだーと喜んでいるらしい。
構われ放題のリボーンを見て、ツナは顔を歪める。
「・・・キャラ変わりすぎだろ」
「女らしくていーんじゃねーの?」
げんなりしている獄寺。山本はいつもの笑顔で軽く流す。
ツナはため息をついた。(もう終わりかよと)
最終的にはリボーンをぎゅうと抱き締めており、しらけたような表情のヒバリにいいから仕事しろよ、とつっこまれていた。もうちょっと、と駄々を捏ねていたが。
「。あんまりやらないとゲーム見れないよ?」
「うっをそれやべー!」
「・・・ゲーム最優先か(ツナめ)」
ツナの一言にが復活。
きっと死ぬ気で仕事を終らせる。リボーンは舌打ちだ。(鼻で笑ってやった)
リボーンをソファに置くと、はパソコンを構い始めた。先ほどよりも機嫌がいい。
さりげなくキョーヤを持たされていたヒバリがため息をつくのを見て、ツナは耐え切れずぷっと笑った。
でもキョーヤと同系列なのはあなたも一緒だろ。(だって俺たち全員、彼女にとったら“可愛い”なんだから。口に出してないから聞こえないんだろうけど)