ツナが入院したと聞いて、はお菓子片手に病院に来ていた。
昨日からどこかの誰かも入院中なので、ついでに顔を出そうかなどと考えながら。
「よーツナ――て、隼人、なにやってんだ?」
「!?」
「まあっ、またステキ・・・」
受付で聞いた病室に行ってみれば、何故か血だらけの隼人。武も大人ランボもいる。
ツナは大きな船を持って驚いていた。(何故だか、看護婦さんが頬を赤らめている)
「若きさん!お久しぶりです!10年前の貴方にまた会えるなんて・・・!」
「ああ、ランボ・・・だよな?おっきくなったなー」
がばっと抱きついてくるランボの頭を撫でて、は呑気に挨拶する。
はいはい病院でじゃれてんなよ、と武がランボを離し、はツナの元まですたすた歩いた。
「ほれ、上納品だボス。お前もドジだな」
「うるさいよ・・・(上納品てなに)」
サイドテーブルにお菓子の箱を置きながら茶化せば、ツナはげんなりしながら言い返してくる。
ケラケラ笑うと、隼人が死にそうになりながらテメーなに言ってやがる!と怒鳴ってきた。
「お前は無理してんなよ。つーかなんでそんな大怪我なんだっつーの」
「来る途中焦りすぎて何度か弾かれただけだ。これくらい平気だ!」
「平気じゃねーのは頭だな。見てもらえ」
血を吐きながら喋る隼人を呆れながら見て、はさらっと返しておく。
さらに隼人が騒ぎそうになったところで、何故だかなだれ込んでくるナースたち。
目の保養だなんだの騒ぐナースたちに、主任と呼ばれた看護婦がなにやら言い返して追い出した。
たちも追い出されてしまう。
ため息をつくと、は仕方ないと別の病室へ向かうのに踵を返した。
「あれ?帰んねーの?」
「ああ。どっかの馬鹿が入院しててな。その見舞い」
「・・・まさかヒバリ?」
思い切り顔をしかめて問いかけてくる武に、はそう、と頷く。
あいつが?!と思い切り驚かれて、はくくっと笑った。
「あいつ風邪引いたんだって。考えらんないよな。あの恭弥が」
「・・・ヒバリも人の子だったんだなー」
「おいおいあいつは馬鹿の子だぞ。――ん?隼人?」
顔中で驚いている武に笑いながら手を振ったは、武の横で倒れている隼人に気付く。
しゃがみこんで名前を呼ぶが反応がなく。
武もおーいと肩をゆすったが反応がなく。
「あー・・・もしかして」
「うっわやべ!誰かーー!!」
呆れ顔するの横で、武があせりながら声を張り上げる。
何事かと駆けつけた看護婦に隼人を見せると、慌てて運ばれていった。
「・・・はぁ。馬鹿ばっかだな」
「あー・・・じゃ、俺あいつの様子見てくるよ。は早くヒバリ見にいったほうがいんじゃね?」
「それもそうだな」
頭をかきながら言ってくる武に、はため息をつきながら返事を返す。
顔見せてさっさと帰って来い、と言われて、はケラケラ笑いながらできたらなーと返しておいた。
さきほどから、何故だか聞こえる爆発音。
まぁたツナじゃねーだろーな、とため息をつきながら、は恭弥の部屋を聞きに受け付けに向かった。
面白がって相部屋にした沢田綱吉に起こされて、雲雀は咬み殺しておいた。
沢田綱吉は今、床の上にぼろぼろになりながら倒れている。
ナースコールを押すと、暫くして慌てた様子の看護婦が入って来た。
「は、はい雲雀様!!」
「この子――」
「なーにやってんだよ」
移しといて、といおうとしたところで、入り口から不機嫌な声が聞こえてくる。
声だけで分かる。だ。
顔を向ければ、冷めた目で雲雀を見据えている。
頬を少しだけ赤くする看護婦を見て、雲雀は目を細めた。気付かれる前にに顔を戻す。
「ゲームをしていたんだよ。彼が負けたんだ」
「どーせまたくだらねーゲームだろうが。おい、ツナ、生きてるか」
「・・・・・・」
しゃがみこんだが、沢田の頭に手を置く。
死にそうな声を上げる沢田を見て、ははぁとため息をついた。
「この病院じゃ落ち着いて過ごせないみたいだな」
「もう・・・最初からわかりきって・・・」
「あーはいはい。しゃべんな」
「君一体なにしにきたわけ?」
死に掛けの沢田を抱き上げるを見て、雲雀は顔をしかめながら問いかける。
は呆れ顔して雲雀を見てきた。
「見舞い」
「のわりに、上納品もなければ挨拶もないみたいだけど。しかもなんで僕の服着てるの?」
「お前が馬鹿なことばっかしてるからだろうが馬鹿の子が。服はまぁ・・・うん、目に付いたから?ったく風邪ひいたっつーから来てみれば、全然元気じゃねーの」
「(上納品て・・・流行?)」
不機嫌に言いながら、は沢田を抱き上げて立たせる。
あーあー怪我増やして、と言うと、はまたため息をついた。
「家来るか。そのほうがゆっくり休めるだろ」
「ちょ、ちょっと困ります!!」
「は?入院患者に余計に怪我増やしておいてよくそんなこといえんな。訴えられたっておかしくないぜ」
慌てる看護師を目を細めて睨みつけて、は不機嫌に言い返す。
心底助かった、といわんばかりに沢田はため息をついている。
雲雀が眉根を寄せたところで、院長が入って来た。
「悪いけど医師の許可がないと退院できないんだよ」
「ヤブ医者の許可なんざこっちから願い下げだ。医者は他にも沢山あるんだからな。――恭弥になにされたかは知らないけど、邪魔するなら無理にでも連れて帰らせてもらう」
ジャキ、とが銃を構える。
看護婦も院長もヒッと悲鳴を上げて顔を青くした。
じゃあそういうことで、と銃をしまって、は歩き出そうとする。
「待ちなよ」
「なんか用か」
雲雀が声をかけると、が投げやりに返事をしながら振り替える。
雲雀ははぁとため息をついた。
「だったら僕がの家に行く。ここじゃ静かに眠れないみたいだしね」
「は?しらねーよ」
「変わりに彼がここの病室に入ればいいだろう?――院長」
顔をしかめるを無視して話を進める。
声をかけると、院長ははい!と声を上げてすぐさま沢田をから攫った。空いているベッドにすぐに横にする。
おい、とが声を上げている間に、雲雀はカーディガンを羽織り少ない荷物を持つ。
「行くよ」
「は?おい、ちょっと」
ぐいとを引っ張って、雲雀はずんずん歩く。
最初引っ張られて歩いていたは、ため息をつくとあわせて歩き始めた。
「お前ホント我が侭」
「知らない」
呆れたような声に、つんと返事を返す。
またが隣でため息をついたが、雲雀は無視して歩いた。
病院の入り口にはタクシーが手配されている。がうわぁと声を上げた。
タクシーに乗って、のマンションまでいく。
金を払おうとしたに運転手のもう貰いましたから!という言葉が発せられると共に、雲雀は手を引いてさっさと降りた。
やはりは呆れたようなため息をついてついてくる。
エレベーターに入ると、持っていた鞄を取られた。
しかもそのまま、ぐいと頭を引っ張られる。
気付けば、目の前にの顔。
「お前熱上がってんじゃねーのか。馬鹿」
「・・・無理に動かしたのも熱が上がったのもの所為」
「なんで俺の所為になってるんだよ」
の(相変わらず鈍い)言葉に、雲雀はため息をついてしまう。
怪訝な顔をしたは、ったく、と言ってから今度は雲雀の手を引いて歩き出した。
部屋に入れば、外とは違って丁度いい温度。思わずほっと息をつく。
はぐいぐい雲雀を引っ張って寝室に入った。
はいさっさと寝る!と言ってベッドに転がされる。(ミツコ節)
次いですぐさま布団をかけられる。(ミツコ節)
ちょっと激しすぎじゃない、と顔をしかめると、激しい運動してた馬鹿はどこのどいつだ、との言葉が返ってきた。
また額同士くっつけられる。
「・・・8度ちょっとってとこか」
「・・・よく分かるね」
「体温計は中学で卒業したから」
訳のわからないことを言って、は離れる。
薬は、と聞かれて、鞄に入ってると答えておいた。
「飲んだのか?」
「・・・飲んだ」
「・・・。ま、寝とけ」
目を逸らして言ったところ物凄く怪しまれた。
ぽんと頭を叩いてから、はすぐに部屋を出て行く。
じっとを見送ってから、雲雀はため息をついた。
しん、と静まり返る。
の家は全部の部屋が防音加工になっているので、窓を開けない限り外の音は入ってこない。
確かに寝るには最適だけどとため息をついて、雲雀は目を閉じた。
寝心地が他とは比べ物にならないほど抜群にいいベッドで、いつものごとく熟睡。
どれだけ眠ったのか、物音で雲雀は目を覚ました。
お盆を持ったが部屋に入ってきている。
「起きたか」
「・・・うん」
半分くらい寝ぼけながら返事を返す。
はベッドの上にお盆を置くと、どうだ?と問いかけてきた。
起き上がれば、少しだけふらつく。
「飯作ったけど、食える?」
「なに?」
「おかゆ」
「・・・」
見れば片手鍋におかゆが湯気を立てている。土鍋とかさ、と思ってみる雲雀だ。
「梅干も一応持ってきたけど」
「うん」
ごそごそ動いてサイドに座って、はぁとため息をつく。
茶碗におかゆをよそったは、ほれ、と言ってスプーンと共に渡してきた。
受け取って食べ始めると、はまた外に出て行く。
ちらりとを見てため息をついて、雲雀はとりあえずおかゆを食べた。
暫くしてから、またが入ってくる。
見れば手に薬と水。雲雀は少しだけ眉根を寄せた。
「食べたらちゃんと飲めよ」
「・・・分かってるよ」
「はいはい」
くすりと笑いながら頭をぽんと叩くと、または外に出て行く。
むっとしながら見送って、また食事を再会した。
食べ終えて、少し睨みあってから薬を飲む。
水を飲んでほっと息をついていると、がタオルやらなにやら持って入って来た。
「汗かいたか?」
「・・・。多分少し?」
「はいそれじゃあ体拭いて着替える」
「シャワー浴びた方が早い」
「ダメだ」
一言でばっさり斬り捨てると、はぽすとベッドに持っていたものを置く。
タオルと着替え一式。恥もなにもあったもんじゃないとまた雲雀はため息だ。
食器やら空になった薬の袋やらをお盆に載せると、はまた部屋を出て行った。
はぁ、と息をついてから、服を脱いでタオルで汗を拭く。
着替え終えてぱたりと倒れたところで、が着替え終わったかーと部屋に入ってきた。
「あー。ちゃんと布団入れよ」
「・・・めんどくさい」
「馬鹿言ってないでかぶる。ほら」
小言を言いながら、はばさりと布団をかけてくる。
勢い余って頭の上まで布団が飛んできて、雲雀はむっとしながら布団をはいだ。
は着替えた服とタオルを集めている。
ぼーっとそれを見て、立ち上がったの手をぱしっと掴んだ。
「なんだ?」
「暇」
一言言えば呆れ顔。
雲雀はぼーっとを見上げる。
「風邪引いてるんだからしょうがないだろ?大人しく寝てろよ」
「暇なものは暇なんだよ」
「だったらさっさと寝て直す。トンファーは外だからな」
言い聞かせるように言って、はくるりと手を外す。
それでも雲雀はまた手を取った。がめんどくさそうな顔で見てくる。
「じゃあここにいてよ」
「・・・」
言ってから、しまったと後悔する。
しかし後の祭りだ。表情に出さないよう雲雀はじっとを見る。
は目を瞑ってため息をつくと、ベッドに座ってまた手を外した。そのまま頭を撫でてくる。
「わかったから、ちょっと待ってろ」
「・・・」
軽く頭を叩くと外に出て行く。
暫くすると、本片手に戻ってきた。
「自分は本?」
「お前は睡眠」
顔をしかめながら言うと、はベッドに座りながら返してくる。
いいから寝ろ、と言いながら、また頭を撫でてきた。それからまた額を当ててくる。
一瞬目を瞑った雲雀は、また開いてみた。
近い。
「まだあんまり下がってねーな」
「(これじゃあ下がろうにも下がらないって)」
内心つっこみを入れるが外には出さない。
は顔を離すと、まだまだ寝ろ、と言ってぽすぽす頭を叩いてきた。
その手をぱしっと掴んで、額に当てる。
少しは熱さましになる。横に転がって目を閉じた。
「おやすみ」
「・・・うん」
の笑った気配がする。
きっと可愛いとか思ってるんだろうなと思いながら、雲雀も小さく返事を返す。
ぎし、とベッドのきしむ音。気配が移動している。が壁にでも寄りかかったんだろう。
かさりと本をめくる音がする。
段々と薄れていく意識。自分以外の体温がすぐ傍にある。
ページをめくる音と、時折、感じる視線。
くすぐるように、額に当てている手――親指が、そっと眉の横を通る。
自分の息遣いとページをめくる音。
それ以外は無音の部屋。
意識はどんどん遠のいていって、最後にはなにもわからなくなった。
「だから部屋で寝ろっつーに」
「だってつまんないし」
次に起きたときは、が夕飯を作るのに立ち上がったとき。
音と離れていった手ですぐに目が覚めた。
雲雀は今カウンターに座って、頬杖をつきながらぼーっとが料理を作っているのを眺めている。
窓の外を見ればもう暗い。冬至はいつだったかとぼんやり考えた。
「なんでここ、たたでさえ高いところにあるのに完全防音なの?」
ふと疑問に思って問いかけた。
煩いのはあまり好まない雲雀にはとても好都合な部屋。ただ、今日は少し嫌になった。
問いかけてみれば、はちょっとだけ顔をしかめる。すぐに戻った。
「俺の体、身体能力が全体的に上がってるって言っただろ?」
「うん。――ああ、聴力」
「そ。無駄に耳良くなりすぎてな。これでも外の音ちょっと聞こえるんだ」
の言葉を聞いて、雲雀は驚いてしまう。
今は窓を閉め切った状態。付けられているテレビの音以外、外の音なんて聞こえない。聞こえるはずが無い。
完全防音加工なうえ、マンションは10階。
ただでさえ下の音が遠くなるだろうに、さらに防音をしても聞こえるという。
思わず雲雀は眉根を寄せた。
「それ辛くない?」
「まぁ、慣れたさ。長時間人ごみにいるとか騒音酷いところにいるとそこらじゅう破壊したくなるけど。上がったのは図太さと順応性もみたいだな」
問いかけてみれば、案外飄々とした答えが返ってくる。
ため息をついてしまった。どうせ最初は辛かっただろうことは予想がつく。ここに引きこもっていた理由も学校に長くいられなかった理由も分かる。煩すぎるだろう。
よくあんな煩い連中と一緒に居られるね、と言ったところ、だから脳みそがこれで慣れちゃったんだって、との返事が返ってきた。
「脳もレベルアップしてるっぽくてな。処理能力よくなったのか無駄な音が多くても平気。ただ俺の性格的にウゼーと思うだけ」
「・・・(心配して損したんだけど)」
物凄く呆れてしまう。
はちらりと雲雀を見て、くすりと笑った。
夕食はやはり昼の残りのおかゆにする予定だったらしい。お腹すいたからやだ、と言ったら舌打ちされた。
しゃーねーなーと言いながらは手を止めて冷蔵庫を開け始める。
魚やらなにやら取り出してまた手を動かし始めた。
「なにしてるの?」
「風邪引きさんの所為で予定変更」
問いかければ帰ってくる嫌味。
雲雀はむっとする。
はくすりと笑って、いいからお前は寝とけっつーのとつっこんできた。無視してやった。
出されたのはおかゆと味噌汁と煮魚。漬物。煮物。
力付きそうにない、と言ったところ、煮物に入ってる鶏肉が増やされた。じと目で見てみるがは無視。
食べ終えてから、はベランダの外で煙草を吸う。寒いだろうにそのままの格好で。
雲雀は半円ソファに座ってテレビを見ており、煙草を吸い終わって入って来たが悪化するぞ、と言ってきた。
動いてないからしないよ、と返して、黒猫の人形を取る。
ジジなのにはキョーヤと勝手に呼んでいる。
抱き締めて顎を乗せると丁度良く、だらけながらテレビをぼーっと見た。
後ろから「はわ」という奇声が聞こえてくる。
振り向けば、目を輝かせながら口を押さえている。雲雀は呆れながら笑ってしまう。
「アホだね」
「・・・っく!アホだ畜生!」
悔しそうに(そしてテンション高く)叫んでから、はずかずか脱衣所に入っていく。先に風呂に入るつもりなんだろう。
ぼーっとテレビを見るが、つまらない番組しかなくて雲雀は欠伸する。
手触りのいいジジ人形に頬を乗せてうとうとしていると、ぺたぺた足音が近づいてきた。
「・・・お前いい加減襲うよ?」
「(それはどうなんだろう。人として)」
思わずしろい目で見てしまう。はバツの悪そうな顔でちょっと後ずさった。
ため息をついて、雲雀は人形に顎を乗せる。来るなら来ても別にいいんだけど、とは言えない。そんなことを考えるよりまず先にしろい目で見てしまったが。
後ろでため息をついたは、雲雀のすぐ後ろでしゃがみこむと頭に手を置いてきた。
「寝るなら部屋で寝ろって」
「お風呂入ってない」
「風呂入ったらすぐに寝ること」
「じゃあまだ入らない」
切り返しよく返していくと、がまたため息をつく。
かと思えば、あ、と声を上げた。
「お前薬飲んでない」
「・・・」
すっかり忘れていた。むしろ忘れていて全然よかったんだけれど、とは思っていても口に出さない雲雀だ。
は薬と水を手に戻ってきて、ほら飲む、と渡してきた。
少し顔をしかめつつ、雲雀は受け取って飲む。飲んでからふーと息をついた。
コップを置きにいったが戻ってきて部屋に入ってろって、とまだ言ってくる。
暫く攻防戦をしてから、諦めたらしくはため息をついた。
「」
「・・・なんだよ」
名前を呼んで、ぽんぽん隣を叩く。
怪訝な顔をしたが、隣に降りて座った。
雲雀は満足げに笑みを浮かべると、ころんと寝転がる。頭はの膝の上。
上からおい・・・と声が降ってきたが、知らない振りして目を閉じた。
「ゲームしてもいいよ」
「お前な・・・」
「昼間寝すぎて眠くないんだ」
とはいえ欠伸が出そうになる。
呆れたような声を上げていたは、ため息をつくとはいちょっとごめんよーと言って雲雀を膝からおろした。
むっとしながら雲雀は顔を上げる。しかしはさっさといなくなる。
なんだよとつぶやきながら転がっていると、またこじらせるだろうが、と文句を言いながらがばさりと布団をかけてきた。
「ほらどけ」
「・・・ん」
ひらひら手を振られて、雲雀は体を上げる。
先ほどと同じところに座ったを見て、ふっと笑ってからまた膝に頭を乗せた。
は雲雀に布団をかけ直すと、チャンネルを変えててい、と足を伸ばす。
ゲーム機の電源を入れた。ついでにコントローラーまで足で寄せている。
器用な・・・とつぶやいてから、雲雀はコントローラーを取ってに渡した。
大きな画面にゲームの題名が出てくる。テレビの両脇にあるスピーカーからは、ステレオサウンド。
テレビを見すぎると目が乾いてきて、雲雀は目を閉じた。気付けばジジは抱きっぱなしだ。
くすりと笑ったが、雲雀の頭をさらっと撫でた。
「甘えん坊」
「・・・煩い」
茶化されて、むすっとした声を返す。
くすくす笑いながら、は雲雀の頭を撫でた。かわい〜と間抜けな声が聞こえてきてまた呆れたが。
ただ、ゲームが始まってからは、ゲーム優先。
ちらりと見上げれば真剣な顔。呆れてしまう。
ゲームの音が煩かったが、特に寝る気もなかった雲雀は目を瞑りながらの体温を感じる。
風邪を引いたら、今度から薬だけ貰っての家に居座ろうと、勝手に決めて少しだけ笑った。
だってなんだかんだ言って君は構ってくれるから。(気を使ってくれる君を見ると、大事にされてるようで嬉しくなるんだ)