体育祭が近づいてきたと、いつもより多く仕事を任された。
中身を見てみれば、必要なモノを取り寄せるための注文表。
「・・・こういうのってさぁ、普通生徒会がやるもんじゃね?」
「なるべくその中で経費を削減して、残りの金を活動費に回す」
お前が整理しろ
足を組んでついでに腕も組んで堂々座っている恭弥に、はばさりと紙を落とす。
なにするんだよと顔をしかめて見上げられたが、はしらけた目で見てから前々に割り当てられていた仕事を始めた。
「君はいつサボってもいいんだから時間空いてるだろ?」
「馬鹿だな恭弥。時間と言うものはどれだけ持て余すかで人生楽しめるかが決まるんだ」
「へぇ。それじゃあは僕に人生を楽しませてくれないと」
「お前毎日楽しんでるだろうがよ。今を生きろ学生」
言い返しつつカタカタキーボードをうつ。
やはり体育祭に関するものが多くて、はため息をついた。
どれを買うだのどれを減らすだのを決めたのは恭弥。
しかし電話やら注文は全部がやらされることに。
「電話かけて」
「・・・テメェ」
「帰りにいい所寄ろうか。イチゴのムースに焼きたてアップルパイ。ティラミス。桃のコンポート。新作ベリータルトにミルフィーユ。・・・可愛いの沢山並んでるところ、あったよね」
「・・・てめー・・・!」
ぐっと拳を握って、は心底悔しそうに声を上げる。
笑みを浮かべると、じゃあよろしく、と恭弥は注文表をばさりと投げてきた。
っかーマジむかつく、といいながらは携帯を手に持つ。
「○○社さんですか?並盛中学校のと申しますが」
「やっぱりこういうのが一人いると楽だなぁ」
テメーまじ殺す!――はい。はい。そうです。在庫ございますでしょうか」
優雅にお茶(緑茶)を飲む恭弥に、は電話を抑えて怒鳴ってからまた営業声。
さりげなく風紀委員の活動費の箱からお金を取り出している恭弥を発見して、ぶん殴っておいた。



体育祭前日、無駄に笹川了平が熱くなっていた。
どんと教卓を叩き、無駄に生徒たちを煽る。
ツナの隣に座っていたは、Tシャツを指でひっぱりながらダリーと声を上げた。学ランは腰に縛ってある。
「(・・・せめて今だけは真面目でいて・・・)」
「(いいかツナ。俺が不真面目であればあるほどお前が際立つんだぞ)」
「(あぁそっか!ってその手には乗らないよ明らかにそれから回りするよな。物語で空回りする主人公のベタストーリー路線だよな)」
「ツナは相変わらず鋭いなー」
のセコさには負けるって」
あはははは、と二人で笑いあう。
わけのわかっていない武と隼人たちは首をかしげるばかりだ。
あー今頭上げないで、と電波で伝えられて、はハイハイと答えておいた。
ウゼーっすねと文句を言い出す隼人から始まり、ツナがおろおろし始める。
はため息をつくと、熱弁する笹川了平を見た。
「・・・ていうかあの人、確か二年じゃ?」
「うん。そうなんだよね。なのにお兄ちゃんいつの間にか総大将になってて・・・また押し切ったのかなぁ三年生
「え」
どうやら隣は京子。
不審な言葉を聞いて、は顔を向けてしまう。
よくやるんだ困っちゃうよ、と困ったような顔で笑う京子に、はそれは大変だな、と呆れたような、引きつったような顔で返しておいた。
君は競技なにに出るか決めた?」
「いや・・・ダリーし。なるべく短時間で済むものかな。どっかの委員長が煩いから時間明けとかなきゃ」
「ふふふ。仲良いんだね、委員長さんと」
「ねえねえちょっと、。ヒバリさんて皆怖がってるけど、アンタ怖くないの?」
何故だ京子と普通にお喋りしていると、京子の向こう側からなんとか花が話しかけてくる。
顔を向けたは、眉根を寄せてなんでと問い返した。
「だって無茶苦茶強くて怖いんだろ?」
「まー・・・強いんだろうけど。人の話し聞かなくて常識ずれてて自己中で馬鹿の子なだけで、後は普通」
「そこまでいったらもはや会話からして成り立たないじゃん」
「んー。まぁ適当に流しときゃなりたつんじゃね?面倒見いいし、結構面白いからそんなでもねーんじゃね。我が侭なお子様相手にしてると思えば簡単簡単」
ひらひら手を振ってから、はふあぁと欠伸する。無駄に周りが熱い。
へーと二人で声をあげると、なんとか花がにやりと笑った。
「・・・あんたやる気ないだけかと思ってたけど、案外いい男だな」
「まー、伊達じゃねーかな」
答えてにやりと笑う。
ツナにつんつん引っ張られて、はん?と顔を向けた。
「な、なに楽しそうに話してるんだよっ」
「え。おにーさんがどうして総大将なんだろうなって話とか恭弥となんで会話成立すんだとか。切々と」
コソコソ問いかけられて、も小声で言い返す。
なんだーっていうかそりゃあ全校の謎だよミステリーだよといわれて、は笑ってしまった。
1−A沢田ツナだ!!
「「へ?」」
急に名指しされて、ツナが前を向く。も前を見た。
それからなにが起きたのと京子達に聞く。ツナが総大将に指名されたらしい。
周りが一気にざわつく。
「おおお!」
「10代目の凄さを分かってんじゃねーかボクシング野郎!!」
「はっ!え!?なんで!?」
「はいはーい。沢田ツナじゃなくて、沢田綱吉でーす」
ンなことどうでもいいからーーー!!
手を上げて間違いを指摘したところ、ツナに思い切り突っ込まれる。
あそう?と言いながら手を下げてニヤッと笑うと、・・・と恨めしそうな声で唸られた。
しかし周りは勝手に話を進めていく。
笹川了平が命令し、獄寺が脅し――多数決もクソもなく笹川了平が押し切ったところで、
「ちょっと待てよ」
声を上げたのは
全員がに顔を向ける。
「なんだ!えぇとお前は・・・風紀委員!」
「はいはい風紀ですよ。周りの意見もろくに聞かない、ましてやツナ本人の意見もろくにきかない。そんなで勝手に決めて、あんたホントにリーダーか?」
「ちょ!!?」
立ち上がって目を細めつつ問いかけると、ツナが隣から服を引っ張ってくる。
はさらに目を細めて笹川了平を見た。
「周りの意見も聞かずに脅しや命令で勝手に決めるだなんて、我が侭な女みたいじゃねーか。ちゃんとした意見集めて、堂々決めろよ男なら
男ならを強調して言ってみたところ、ぽかんとしながら固まる笹川兄。
回りもしんと静まり返っている。
その内ざわざわざわめきだしたかと思うと、風紀委員に言われてもね、という声が聞こえてきた。
ツナが周りを見て、またの服を引っ張る。
「・・・フッ。お前、名前は」

「フフフフ・・・ハハハハハ!!気に入ったぞ!是非ボクシング部に」
断る。話し脱線させないで、さっさと決めてくれ」
高笑いついでにお気に入りついでに勧誘されただが、全て言い切る前に斬り捨てる。
じろじろを見ながら悪口を話す周りを見て、ツナはの服を引っ張った。
しかしは無視して、真っすぐ笹川了平を見る。
「それではもう一度多数決を取ろう!総大将・・・沢田ツナでいいと思うやつ!!ヤツが嫌だと言う場合、!お前が総大将だ!!」
辞退する
「どこまでもはっきり言いすぎだしーーー!!(節きたーー!!)」
「普通にダリーし」
ツナが横からつっこみ。
ざわついていた室内は、(ひょろくて風紀な)を総大将にするくらいなら、と次々手を上げていく。
結果的にツナが総大将に決まってしまい、はため息をついて肩を落とした。
「悪かったなツナ。逆効果だった」
「いや・・・うん、いいよ。ごめんな、俺の所為で」
「お前が謝る必要ないっていつもいってんだろ。バカバカ謝ってんじゃねーよ」
「・・・うん。ありがと!」
「はいはい。どーいたしまして」
くしゃくしゃツナの頭を撫でると、はそのまま歩き出す。
しかし隼人にテメー!と引き止められた。
「一人で美味しいとこバッカ取ってってんじゃねーぞ!!」
「気付かないで喜んでたくせになに言ってんだよ。バーカ」
「んだと!?」

ざわついていた教室が、一瞬で静まり返る。
は振り向いて恭弥を見ると、ため息をついて隼人の手を払った。ぽんぽんと頭を叩く。
「気遣いなんていらねーよ。マックのチキンフィレオセットで
きっちり受け止めてんじゃねーか!
びしっとつっこんでくる隼人にケラケラ笑うと、はひらひら手を振って恭弥の元へ。
「遅すぎるんじゃない、終るの」
「わりーな伸ばしたの俺」
「・・・最終調整、サボろうたってそうはさせないからね」
目を細めて言ってくる恭弥にはまさか、と目を泳がせながら笑みを浮かべる。
無言での頬を抓って引っ張った恭弥は、行くよ、というと踵を返した。(無茶苦茶痛い)
「待て!!」
「・・・なんスか」
ダルさ全開で振り返る。恭弥も振り返った。
「是非ボクシング部に!!」
「こと――」
言葉の途中で、ぐいと引っ張られる。
を引っ張ったのは恭弥。
がっしりに腕を回して、笹川了平に向かってにやりと笑っている。
「あげないよ」
一言言うと、足でぴしゃりと扉を閉める。
中がまたざわついていたが、と恭弥はため息をついて歩き出した。
「まさかあのクソ熱いのに気に入られたのかい?」
「・・・なんか、それっぽい。だりー・・・」
やる気のなさ全開のを見て、恭弥はくすりと笑う。
とりあえず仕事したらマックよって帰ろう、と言う恭弥に、はおーと適当な返事を返した。・・・結局来るらしい。
明日は早いから泊まり、と読まれて答えられる。
それはどーも、と答えておいた。
どの道目的はベッドと飯だと分かっている。
応接室で最終調整らしい仕事を終えると、は恭弥のバイクの後ろに乗って帰宅。
帰宅途中に、川で騒ぐツナたちを発見した。
「あれ何やってるか分かる?」
「・・・。水浴び?」
問いかけられたも、首を傾げてしまう。
少人数で棒倒しの練習をしたって、普通に無駄だ。
馬鹿は放っといて帰るか、と言われて、そうしよう、とは恭弥に背中をあずけた。


















どうして俺の周りって、こう変な人間しか集まらないんだろう。(ところでさ、君とあの人、変な噂立ってるんだけどあの子のお兄さん含めて)