テストも終わってあとは結果を待つばかり。の、夏休みまでの開放的な時期。
恭弥が来ずとも電話が無くとも起きたは(最近新作のゲームも本も買ってないのでちゃんとした時間に寝ている)、欠伸をしながらのろのろ歩いていた。
学校の近くになれば人も増えてくる。
やはり風紀委員というだけで人は避けていくが、〜と後ろから声をかけられて振り向いた。
「よ!今日は起きれたんだな!」
「最近面白いゲーム出てないしな」
「夏休み入ってすぐに出るよ。RPG二個!アクション一個!八月頭にアクションもう二個!」
「お、マジで?」
やってきたのは武とツナ。
早速武は肩に腕を回し、ツナとはゲームで盛り上がる。
よっしゃまたやりこむぞ、とにやりと笑うに、俺も参加、とツナもにやりと笑った。
えー俺もいれろよーと武がケラケラ笑いながら二人をどついていると、テメェコラ山本ーー!と後ろから声が聞こえてくる。
「よー隼人。今日も熱いな」
「そうだなー今日三十度以上まで上がるんだってよ」
「え、マジで?」
「(天気の話しに摩り替わってるーー!!)」
ツナのつっこみも健在。
のんびり二人で話しているとやはり隼人が後ろからつっこんできて、はひょいと武の腕から逃げた。武は一人転びかけている。
あぶねーなーと言いながらもケラケラ笑う武に、隼人がぎゃあぎゃあ騒ぐ。
「平和だな」
「どごかだよ止めろよ」
のほほんと二人を見るに、ツナが早速つっこんだ。
周りを歩く生徒はくすくす笑ったりちらちらと四人を見たり。
ツナは周りの反応を見て、そして京子にくすくす笑われているのを見て、ずーんと沈み込んだ。
「はぁ・・・今日もなんか朝から笑われまくってるし」
「いーじゃねぇの。笑いがあったほうが面白くて良いだろ?」
「そりゃはいいかもしれないけどさー」
ケラケラ笑いながらツナと肩を組めば、ツナはいじけたような顔をしてを見上げてくる。
はぴたりと止まると、ぎゅうとツナを抱き締めた。
「うわっ!ちょっ、なんだよ!?」
「あー!お前なにやってんだよ!」
「そうだぞずるいぞツナ!俺も俺も!」
ってちげーーー!!
すごんでを睨む隼人。
笑顔で両手を広げて駆け寄ってくる武。
に、ツナが必死に叫ぶ。
べり、と隼人にはがされたはあ〜〜と声をあげ、ツナはげんなりしながらため息。しかし顔が赤い。
ほーら俺にも抱きつけよ!とケラケラ笑いながら武はガバッと抱きついてきて、はしゃーないなーと笑いながら抱き返した。
それを見て顔をしかめるのは隼人。
物凄い勢いで呆れるのはツナ。
「むっさくるしー野郎どうしなんて・・・」
「獄寺くん・・・一応は女の子・・・女の人?だよ。今は野郎だけど」
「そうか隼人、お前も抱擁されたいか!タケ!行くぞ!」
「お!そうか!よーし獄寺!」
「っだーーー!!くんな馬鹿二匹!!」
両手を広げて隼人を追いかける二人。隼人は顔を青くして本気で逃げる。
げらげら笑いながら追いかけて捕獲すると、は武と共に隼人を締め上げた。
ツナがなんとかとめたのは言うまでもない。



授業を二時間程度受けてから、は早速飽きて応接室へ。
パソコンを使っていつも通り処理活動だ。
暫くするとチャイムが鳴り、やはり気付かないうちに昼休みが来た。
がらりと音がして扉が開く。
「よー恭弥」
「・・・」
顔も向けずに声をかけるのはいつものこと。
しかし返事が返ってこない。
不思議に思って、は恭弥に顔を向けた。
恭弥はソファに座ってぼーっと外を見ている。
なんなんだと首をかしげて、はとりあえずパソコンを落とした。
パソコンを落としている間に、リーゼントが来て弁当を置いていく。
飯買ってこなきゃなと立ち上がったは、パソコンに布をかけてファイルを閉じた。
「・・・今日」
「ん?」
扉の前までいったところで、恭弥が声をかけてくる。
なんだか低い声。
は振り返って首をかしげた。
「朝から暑苦しく群れてたね」
「あぁ・・・あれか。まぁ、しょっちゅうやってるだろ」
適当に返すと、恭弥は両腕を膝につけて前のめりになる。
元気がないというか、先ほどから低い声で話す恭弥に、は訝しげな顔をして近づいた。
むしろ機嫌が悪い。
「どうかしたのか?」
「群れてるの、嫌いだって言っただろ」
「言ったな。で?」
「・・・」
さらに返せば、無言で睨まれる。
なんだよ、と顔をしかめて問い返すと、恭弥は顔をおろしてはぁとため息をついた。
「やめてくれない?ああいうの見ると本当に腹が立つんだよね」
「はぁ?ンなこと言われてもな。見なきゃいんじゃね」
「やめろっていってるんだけど」
「なーんでお前に指図されなきゃならないんだよ。俺はお前じゃないんだから別に群れたってなんとも思わないし、腹が立つなら見なきゃいいだろ」
強い口調で言ってくる恭弥に、は眉根を寄せて言い返す。
ため息をつくと、恭弥が横目に睨んできた。
「目に入るからやめろっていってるんだ」
「だから、見なけりゃいんだろ。目に入ったなら逸らしとけ」
「無理」
「なんで?」
即答で返事が返ってくる。
が怪訝な顔で問い返すと、恭弥は目を泳がせた。しかも首をかしげる。
ますますわけわからんこいつとが呆れ顔すると、恭弥がため息をついて背もたれにぽすりと背中を投げた。
「学校に居れば嫌でも目に入るんだ。があいつらと群れなければいいだろ」
「それ自分勝手すぎだろ。俺が誰といようと俺の勝手じゃねーの」
「・・・だから目に入って腹立つっていってるだろ」
「だから目に入れなければ良いって言ってるだろ」
「はぁ。聞き分けないな。やめろっていってるんだ」
完璧に命令口調。
は眉根を寄せて目を細める。
「お前に指図されるいわれはないって言ったはずだけど?」
「じゃあどうしろっていうんだ?嫌でも目に入るものを見て腹を立てろと」
「それでいんじゃね。無理だってんなら。どうしろって俺の台詞だっつーの・・・はぁ」
とんでもなく意味不明なことを口走る恭弥に、は脱力してため息をつく。
刺さるような殺気を感じて、は顔を上げた。
恭弥が睨んでいる。
は顔をしかめて腰に手を当てた。
「お前一体どうしたいんだ?ていうか、なにがいいたいんだ?」
「さっきからずっと言ってるだろ」
「無茶苦茶すぎだろ。俺に友達作るなと」
「群れるな、っていってるんだよ」
「無理だろそれ。大体なんでお前の考え押し付けられなきゃならねーんだよ。つーか・・・それ言ったらお前、俺とお前で一緒にいんのはどうなるんだよ。それはよくてあいつらはダメなのか?」
が問いかけると、恭弥は無言になる。
真っすぐ前を見てひたすら沈黙する恭弥を見て、はまたため息をついた。
「一体どうしたいんだよ。なにがそんなに気に食わないわけ?」
「・・・だから群れてるのを見ると腹が立つって言ってるだろ!
腰に手を当ててだるさ満載に問いかければ、何故だか怒鳴られる。
びっくりして目を丸くしたは、すぐに怪訝な顔をした。
「なにが言いたいんだ?」
「・・・だから」
「群れてるのを見るのが嫌だ」
「・・・」
無言で肯定。
一体なんなんだこの馬鹿の子は、とはめんどくささを顔に出す。
ため息をつくと、ソファの背もたれに手を置いた。
「お前さぁ、ンなこといってると一生友達できないぞ」
「別にいらない」
「・・・捻くれてるねぇ。じゃあ俺も友達じゃないわけ?」
しゃがみこんで両腕を背もたれに乗せつつ、その上に顎を乗せては問いかける。呆れ顔満載。
恭弥は訝しげな顔をすると、に向けた。
「・・・友達?」
「友達」
「・・・僕とが?」
「・・・そうじゃねーの?」
訝しげな顔でが問いかけると、恭弥は思い切り顔をしかめる。
は思い切り眉根を寄せた。
「なにそれ」
「・・・なにそれってーか、なに、そうだと思ってたんだけど」
「勝手に決めないでくれる?いつ君と僕が友達になったわけ?」
「今までこれだけ色々やっといて、友達じゃなかったと」
「変な言い方するのやめろ」
のんびり確認するように言うに、恭弥が目を細めて嫌悪するような顔で言ってくる。
は呆れたように目を細めると、ため息をついて立ち上がった。
「お前はずっとそう思ってたんだ?」
はずっと友達だと思ってたんだ」
「・・・はぁ・・・。ほんと、疲れるなぁ」
「こっちだって疲れるよ。朝早くからわざわざ他人起こしに行ったり、めんどくさがってこないから電話で呼び出したり」
立ち上がって背もたれに腰掛けるに、恭弥がぐだぐだ言い返してくる。
はやる気なく目を細めて息をつくと、そ、と一言返した。
「じゃあ風紀委員やめるか。迷惑しかかけてねーし」
「やめたら?やる気無いんだったら。邪魔なだけだし」
「・・・そうか。んじゃあ、やめるわ。今日限りで終了。悪かったな」
ため息混じりに言って、はばさりと学ランの上着をソファに投げる。
邪魔なんだけどコレ、と言われて、扉を開けてまさに出て行く寸前だったは「ゴミ箱にでも投げとけよ」と返しておいた。
扉を閉めてから――携帯電話が鳴る。
なんだよとめんどくさそうにつぶやいてディスプレイを見ると、リボーンだった。(無理やり交換させられた)
、今何処にいる?』
「今?応接室の前」
『そうか。今すぐ来い。二階の西階段から三番目の消火栓にいる』
「いや、わけわかんねぇからそれ。ついでに飯買ってねーし」
『飯ならすぐ用意できるぞ。いいから来い』
「へいへい・・・」
ため息混じりに返事を返すと、ぴっと電話を切る。
ちらりと物音一つしない応接室を見てから、は移動し始めた。



















お前、時折めんどうだ。(だってなんで怒んだよ?理解力はあるはずなのに。・・・馬鹿の子だった)